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「教養」・「研究」・「臨床」―深化と調和―をテーマに
第22回日本柔道整復接骨医学会学術大会が開催される!

2014/01/01

去る平成25年11月23日(土)・24日(日)の2日間にわたって、「教養」・「研究」・「臨床」―深化と調和―をテーマに「第22回日本柔道整復接骨医学会学術大会が東京有明医療大学にて開催された。主催は、日本柔道整復接骨医学会。後援は、文部科学省・厚生労働省・東京都・江東区・公益社団法人日本柔道整復師会・公益財団法人柔道整復研修試験財団・公益社団法人全国柔道整復学校協会である。

 

第22回・大会会長講演は東京有明医療大学・佐藤達夫氏が
『足とアシクビの解剖序説』と題して行った。

日本柔道整復接骨医学会会長であり座長の櫻井康司氏より講師紹介が行われた。佐藤氏の講演内容は、解説の深化を図るために、いくつかの形態学的視座も導入し足とアシクビの解剖として、骨格、関節、靱帯、筋、腱、血管、神経の概要について実際の解剖所見を映像を交え解説された。

人間の足の形は他に類をみない。特に二足歩行を行う非常に貴重なもので、他の霊長動物とくらべると脳と共にヒトに特異な構造物として足があげられる。直立することで手の自由を獲得し、更にヒトの足は全身を支持して立位の姿勢を保ち二足歩行支援タイプに改修されている。足を検討する場合には、足は手とどれだけ似ているのか、同時にどれほど手と隔たってしまったかという視点を取り入れて考えることが必要である。

足を構成する26個の骨は、内側群(距骨・舟状骨・3つの楔状骨・第1-3中足骨・趾節骨)と外側群(踵骨・立方骨・第4-5中足骨・趾節骨)に分類され、前方では内側群と外側群は平置しているが、後方では踵骨の上に距骨が重なってのっている。この構築は一方で足アーチをつくり、他方で、距骨の上下に関節(距腿関節と距骨下関節)を生み出し、屈伸と内・外反の2種類の運動を可能としている。距骨が占める特異な位置は足の理解の要である。また手根骨と足根骨の比較、距骨と踵骨の重なり、足根骨の配置、距骨下関節(内反・外反)、足アーチ(足底弓)の形成などを解説し、ハイヒール着用時の筋電図を示し、つま先立ちすると距骨の幅が狭いため、揺れて立っているのが辛くなる。

アキレス腱というのは医学的な名前であり、整形にも柔整にとっても関心の高いものである。アキレス腱は踵骨につくところが非常に強力である。アキレス腱の上を辿ると、腓腹筋の深層でヒラメ筋と接続しており、腓腹筋の外側頭を切り内側頭も切って裏返すと腓腹筋の外側頭の下に紡錘状の小さな筋が見つかる。この足底筋の腱はアキレス腱の内側に加わっている。アキレス腱の主要構成筋はヒラメ筋で、ヒラメ筋は脛骨と腓骨の両方にまたがって付着した強力な筋である。所謂アキレス腱や足底筋との間に内返し、外返しの差があり、作用が異なる筋肉の間にできるという風に考えておきたい。根拠の問題点は何所かというと、両方とも屈筋で、筋肉は、幾層に幅広くても、放散するところでは非常に細くなって、その細くなったところが重なり合うことになって、それはどのようにしてできたのかということが今大きな課題になっている等話し、足の形態に潜むさまざまな問題点について臨床解剖学の立場から考察を加えた。

 

特別講演Ⅰは、田渕整形外科クリニック院長・田渕健一氏が
『足関節内反損傷』と題して講演を行なった。

学校法人米田学園理事長で座長の米田忠正氏が講演前に講師紹介を行った。講演で田渕氏は、〝私が考える捻挫と皆さんが患者さんを診る捻挫、また患者さんが言う捻挫は全て違う。それを今までは厳しく決めてきたが、診断ができて診立てが出来る、捻挫という概念をもっと大きく拡げてもいいんじゃないかと考えました。今日初めての提案で、今までの反省を込めてやってみたい。診断もしない内に「何時から練習に復帰できるの?」と聞かれるので、これを正確に見極めることが要求される〟と述べてから本論に入った。

捻挫の重症度は2週間程度で治る軽症、4週間かかる中症、6週間以上かかる重症との3段階がある。だがこの決め手はあるのか?外力の強さ、痛みの強さ、歩けるか、可動域制限の程度、腫れや皮下出血の大きさは大事であるが、これだけでは判断できない。どこまで捻挫症候群にするのかということを中々言えない。

前距腓靭帯(ATF)は関節内靭帯で短い靭帯である。前距腓靭帯の損傷をどのように証明するか?距骨下関節はいまだかつて証明できていない。前距腓靭帯の断裂があれば、足部が内旋しながら引き出される。遠位脛腓靭帯結合部は、外旋によって損傷され離開する。次に他の部の損傷の有無を判断する事が必要である。捻挫時には、外側の靭帯が損傷し同時に内果も衝突して損傷される。足関節捻挫症候群というべきで、靭帯損傷だけではなく関節内の軟骨も損傷される。距骨下関節には外側に踵腓靭帯と下方に洞靭帯という強い靭帯がある。バレーの選手などがジャンプして着地した時に洞靭帯がやられることがある。

実際に行っている足関節捻挫の診察は、A.仰臥位(仰向けで寝た姿勢)B.側臥位(横向きで寝た姿勢)C.腹臥位(うつ伏せで寝た姿勢)D.座位(座った姿勢)(E)立位で行う診察を紹介。「ねんざ」は必然的に種々の損傷を含み、「ねんざ症候群」とでもいうべき病態である。治療がそれぞれ微妙に異なるのもやむを得ない。狭義の足関節捻挫の治療は①亜脱臼を整復する②「ねんざ」は夜悪くなる③荷重した方が治りが早い④Toe exercise である。

足関節、距骨下関節の亜脱臼が無いか?足関節「ねんざ」時に腫れや皮下出血は軽度で、骨折が無いのに痛くて足がつけない、動きの制限が強く、歩けない。靭帯の緩みが証明できない。この時亜脱臼と考え整復を試みる。亜脱臼の時は足関節は軽度底屈、踵部内転している。距骨と舟状骨の整復は、舟状骨を距骨頭の外側にすべらせる。凸なる方を凹なる面にすべらせる。この整復をやってあげると患者さんはあっと喜ぶ。ギプスを巻く時、踵を突きあげないように配慮する。

テーピングでは、1.スターアップ(踵腓靭帯)距骨を脛骨下面に押し付ける。2.サーキュラーを両果のすぐ上に巻く。3.ホースシューと足部が下がらないためと脛腓靭帯を寄せる。4.ヒールロックは選手が好む。テーピング法は競技種目毎に異なる。スパイラルは前距腓靭帯の損傷に最も効果が有る。サポーターは足首を一周するバンドは下がらないように止める。スターアップ効果と脛腓靭帯結合部を寄せる効果がある等、卓越した講演を行った。

 

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