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(公社)日本柔道整復師会 第8回大阪学術大会 開催

2014/11/14

去る11月8日(土)・9日(日)の2日間にわたって(公社)日本柔道整復師会 第8回大阪学術大会が〝一人一人の熱い思いが業界を変える!〟というキャッチフレーズの下、南御堂「御堂会館」において開催された。

 

第1日目

安田会長開会式が開かれ、(公社)大阪府柔道整復師会副会長・徳山健司氏による開会の辞があり、同会会長・安田剛氏は、〝今回2日間にわたり皆さんと共に「学ぶ」という企画をさせて頂きました。柔道整復業界は厳しい時代を迎え、特に大阪では柔道整復師が6200人を数え、学生の皆さんにも厳しい状況です。

国民にとって柔道整復は療養費という有難い一番身近な医療として未来永劫守り続けていかなければならないと考えています。それには国民・大阪府民のニーズに応えるためにも皆さんと共に「学ぶ」という姿勢をしっかり根付かせなければ国民の支持と大切な医療財源である療養費の死守をしていくことは難しいと思います。そういった思いをもって、柔道整復師の先生方が一堂に会する第8回大阪学術大会を迎えて頂きたい。この大阪の地には、日整で「帰一章」という最高栄誉賞がありますが、その各務文献先生が学ばれた絲漢堂という志を一つに集まった塾が当会の会館がある大阪西区にありました。また実験生理学の祖といわれる伏屋素狄先生の墓碑も西区の和光寺に建てられています。そういった歴史的な背景を考えるとやはりこの大阪で根付いた柔道整復を歴史を考えながら今後の医療の中で更に発展させるためにもう一度しっかり学んでいく、明日は「統合医療の必要性」ということでご講演頂き、学生発表、会員発表等いろいろあります。そういった積み重ねによって皆が学んでいく姿勢をしっかり示していくという大阪の思いが2日間にわたって開催することに顕われています。皆さんと共に勉強していきたい〟等、挨拶。

 

府民健康づくり講座

特別講演1『新しい創傷治療』
練馬光が丘病院・傷の治療センター科長 夏井 睦 氏

夏井氏皮膚損傷での悪化要因は、創面の乾燥と創面の消毒の2つで、改善要因は湿潤に保つことである。「傷は乾かさない、消毒しない」という2つを守れば、薬剤を使わなくてもどんな皮膚損傷も非常に早くきれいに治癒する。細胞が生きるためには湿潤環境が絶対に必要で、創面からは細胞の増殖に最適のサイトカインを豊富に含んだ浸出液が分泌されているため、創面を何かで覆えば創傷治癒物質に富んだ液で湿潤に保たれることになり、創は急速に上皮化する。この「創の閉鎖による湿潤環境の維持」のために開発された創傷被覆材を紹介。更に様々な事例で治癒過程を紹介し、ガーゼを使うと創面が乾燥し、創治療が遅れることに医者は100年気がつかなかった。火傷したら大学病院だけは避けてください等、実に衝撃的な講演内容であった。最後に〝無断改編無断コピー等、大歓迎です。何故かというと科学と医学の知識に著作権は存在しないからです〟と締めくくった。

 

特別講演2『足腰の手入れと運動療法』
大阪産業大学人間環境学部スポーツ健康学科教授 大槻 伸吾 氏

大槻氏Jリーグ・セレッソ大阪のチームドクターでもある大槻氏は、まずロコモティブシンドロームの概念について、筋力低下や関節・骨の問題で徐々に体を動かす器官が弱くなって動きがとれなくなってくる状態と説明。

ロコモティブシンドロームには7つの項目があり、1つでも当てはまった場合には、ロコモティブシンドロームの危険性があるとされる。平成13年頃から骨粗鬆症が随分言われるようになり、骨を輪切りにすると骨粗鬆症は中が空けている。また骨は、鉄筋コンクリートを考えると分り易く、カルシウムだけあってもコラーゲンやビタミンDがしっかりしていないと骨は丈夫にならない。骨が弱ってくると大体折れる所が決まっていて、足の付け根、背骨、手首である。60歳を超えてくると半分以上は骨折に繋がるとして、市町村を中心に転倒予防を行っている。4割位の予防率だといわれている。足の内転、外転をしっかりやっていくのも役に立つ。自分たちのクリニックでは、足のグーチョキパー体操を行って、2か月位トレーニングをすると2割位足首の痛みが減少し、足首の安定性にも何らかの影響を与えている。運動は続けなければ効果がない。訓練をやっている人の2~3割は、2~3年先に続けていない。患者さんの嗜好に合わせた運動計画が必要であり、楽しく継続できることがポイントである。

最近聞こえてきているのは脊柱管狭窄症で、脊柱管狭窄症の根源には変形性の腰痛症がある。高齢者だけに限らないのでスポーツ現場でもチェックは必要。また背景に動脈疾患もあるため、チェックしておく必要がある。日常の診療という中で生活を改善してあげてナンボという現場に先生方も我々も立っているので、人間の運動器としての本来の機能をどうやって回復させるかという運動処方をしていくことが良いのかなと学ばせてもらっている。危険な症状が幾つかあり、腰でいうと神経の痺れが常に伴っている、熱を伴う、じっとしていても痛い等あれば要注意。運動だけやっていたらよくなるということもないので、しっかりチェックして直ぐに適切な対応、病院に送ることは必要である。まとめでは足腰に関する疾患の治療の基本は保存療法(運動療法と物理療法と薬剤療法)であり、危険な兆候を見逃してはいけない、運動を始めるのに「遅すぎる」はないと述べ、終了後に理学療法士の林氏が、ベッドサイドで行っている運動療法や体幹のトレーニングのデモンストレーションを行った。

 

 
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