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これだけは知っておいて【第33回:柔道整復師業界、「日々勉強しなければいけない!」状況となっているか?】

2017/09/01

明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦

患者さんにより良い柔道整復を提供するには日々勉強である。
特に接骨院にて患者さんを診ている柔道整復師は日々の業務に追われて勉強どころでない!という意見もあるだろう。

過当競争の中、集客やポスティングなどのマーケティングセミナー。健康保険治療から自費治療への移行セミナー。そのための治療理論や手技のスキルアップセミナーなどに、ほとんどの土日曜日参加している柔道整復師もいる。
情報の収集と獲得と実践なのであろう。これも大切な勉強である。

大半の就業柔道整復師は保険対応の接骨院で働いている。
症状の改善のために設定されている保険請求における算定基準にある項目での初検料、再検料、冷罨法料、温罨法料、電療料、後療料などを理解し、携わる柔道整復師が何故それを行うのかを患者さんに説明出来なければならない。
また、算定の論拠を保険者に問われた場合、速やかに回答しなければならない。
行っていないものは算定できない。当たり前のことである。

ところが現実には、いわゆるレセコンのカレンダー部分をクリックすれば各々の項目が一括で算定される。そうした中で算定項目ひとつひとつを説明できる柔道整復師が何人いるのだろう?

ベッドひとつで他に物理療法機器が何もない施術所も多く見られる。
冷罨法料、温罨法料、電療料という項目は、患部を冷やしたり、温めたり、電気刺激を与え、治癒に導くためのものです。

何回も言いますが実施しないと算定できません。
平成30年4月入学生より新しいカリキュラムで柔道整復師の養成が始まります。
養成施設でも保険に関わることや医療経済のことを学びます。
臨床実習で接骨院経営や患者さんとの関わりを学びます。
85単位から99単位、最低履修時間は300時間以上増えます。
既存の就業柔道整復師は、より深い知識と倫理観を備えた平成30年4月以降の柔道整復師と現場で共存しなければなりません。是非、既存の就業柔道整復師は後述、増える新しいカリキュラムを学んでもらいたいと思います。

 

厚生労働省
柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会 報告書

2.改正の内容

(1)総単位数の引上げについて
現行の85単位に、以下のカリキュラムを加え、総単位数を99単位以上とする。
なお、教育内容及び単位数は別添1、教育の目標は別添2のとおりとする。

(2)最低履修時間数の設定について
最低履修時間数は、平成12年の改正前に総履修時間数として規定されていた2,480時間に、以下のカリキュラムを加え、2,750時間以上と設定する。
また、各養成施設が特色のある教育を行うべきとの意見があったことから、総単位数99単位以上、最低履修時間数2,750時間以上ということだけでなく、各養成施設における独自のカリキュラムを追加することが望ましいとする努力規定を設けることとする。

[追加等カリキュラム]

高齢者の生理学的特徴・変化(専門基礎分野)1単位 15時間
高齢者への施術に当たり、高齢者の特徴を理解したうえで施術を行うことが求められることから、高齢者に関する身体機能維持・改善における運動訓練の影響などに係るカリキュラムを追加する。
競技者の生理学的特徴・変化(専門基礎分野)1単位 15時間
競技者への施術に当たり、競技者の特徴を理解したうえで施術を行うことが求められることから、競技者に関する身体機能維持・改善における運動訓練の影響などに係るカリキュラムを追加する。
柔道整復術の適応(専門基礎分野)2単位 30時間
柔道整復師が業務を行うに当たり、患者に対する医療安全の観点から、対象となる運動器疾患が業務範囲にあるかどうかを適切に判断し、柔道整復術を適切に実施できる能力を身に付けるためのカリキュラムを追加する。
職業倫理(専門基礎分野)1単位 15時間
柔道整復師は開業することが可能であることから、免許取得後すぐに開業する者も一定数いることを踏まえ、職業倫理に関するカリキュラムを追加する。
社会保障制度(専門基礎分野)1単位 15時間
柔道整復師は開業することが可能であることからも、医療費等の社会保障制度を理解することにより、健康や障害の状態に応じて社会資源を活用できるよう必要な知識を身に付けるためのカリキュラムを追加する。
外傷の保存療法(専門分野)1単位 15時間
柔道整復師として備えるべき外傷性疾患への対応能力の強化のため、外傷の保存療法についての教育の充実を図り、外傷の経過及び治療判断に関するカリキュラムを追加する。
物理療法機器等の取扱い(専門分野)1単位 15時間
柔道整復領域で使用する物理療法機器等の原理、作用等を学び、その適切な取扱いに関するカリキュラムを追加する。
柔道整復術適応の臨床的判定(医用画像の理解を含む)(専門分野)2単位 30時間
新たに追加する柔道整復術の適応で得た知識を活用し、臨床所見から判断して施術に適する損傷と、適さない損傷を的確に判断できる能力を身に付け、また、安全に柔道整復術を提供するため、医用画像を理解するためのカリキュラムを追加する。
高齢者の外傷予防(専門分野)1単位 15時間
柔道整復師への社会的要請の一つである高齢者の外傷予防に対し、新たに追加する高齢者の生理学的特徴・変化で得た知識を活用し、高齢者に対する具体的な外傷予防の手法を身に付けるためのカリキュラムを追加する。
競技者の外傷予防(専門分野)1単位 15時間
柔道整復師への社会的要請の一つである競技者の外傷予防に対し、新たに追加する競技者の生理学的特徴・変化で得た知識を活用し、競技者に対する具体的な外傷予防の手法を身に付けるためのカリキュラムを追加する。
臨床実習(専門分野)3単位 135時間
柔道整復師の臨床における実践的能力を向上するため、臨床実習を1単位から4単位へ拡充する。
上記追加等カリキュラムのなかには、既に既存カリキュラムで教育されているものが部分的に含まれていることから、これらを調整する必要がある。
(重複するものとして1単位、45時間を削減する。)

 

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