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『患者と柔整師の会』  患者代表  今城康夫氏インタビュー

2013/02/01

2010年、『患者と柔整師の会』が設立され、今城氏は3年間その患者代表を務められている。この3年間で、政権交代が行われ、再び元の政権に戻ったが、社会は大きく変化している。

この3年間を振り返って、柔整業界は変わったのか?変わらなかったのか?!

柔整業界は、今後どのように改革を行っていけば、社会が望む、国民が望む医療としての責務を果たせるのであろうか?

今城代表に患者が望む真の声をお聞きした。

 

『私達が望む声を行政にも聞いていただき医療全体の仕組みを変えて頂きたい!』


『患者と柔整師の会』
患者代表   今城  康夫   氏

 

 

―2010年2月、今城代表が『患者と柔整師の会』の患者代表に就任され、活動を開始されてから約3年経過しましたが、これまでの感想をお聞かせください。

柔整診療は患者の為の医療であるのに、柔道整復師業界は自分達の立場だけを主張し、患者や柔整師の為に取り組んでいないように思います。柔道整復師業界が1つになりまとまって取り組めば、現在の柔整問題は解決出来ることも多くあると思われます。各団体が協力し合って取り組んで頂きたいと願っております。一昨年、全国柔道整復師連合会が設立されましたので、私達は期待しています。

現在、柔整師は患者の為に役立つ優れた治療技術を持っていますが、残念なことに今の制度では、十分にその能力が活用されておりません。患者のためにも、柔整師の方が治療能力を活かせる柔整診療制度にして頂きたいと思います。特に、今後ますます超高齢化時代であり、多くの患者が柔整診療で痛みや機能障害から救われていることを訴えて行きたいと考えています。また、私達『患者と柔整師の会』は、現在の柔整診療制度を見直して継続させる目的で立ち上げた会(現在の会員数約6,500名)です。この3年間で保険者、柔整師、患者の意見を数多く聞き、療養費受療委任払い制度の改革案を作成しました。それについては多くの保険者から賛同を頂きましたが、保険者単独では難しいことも多いため、行政が本気で動いて欲しいと願っております。まだ時間が掛かりそうですが地道に取り組んで行きます。

一方、昨年は柔道整復療養費検討専門委員会が発足するとのことで、期待して委員会を傍聴したところ、行政、有識者、保険者、柔道整復師業界等の委員で構成されていた為か、患者の立場については全く論議されず大変残念に思いました。折角、公の場で柔整について議論される訳ですから、根本的な問題である柔整診療制度の改革を取り上げて欲しいと思います。制度改革により療養費の問題も改善されると信じています。これまで民主党の大島九州男議員には統合医療や柔整問題に積極的に取り組んで頂きましたが、政権交代したので、今後政府の取組みがどのように行われるのか心配しています。

ぜひ国民の為に医療の仕組みを見直し改善して頂きたい。

 

―そういった活動を通して、今城代表が難しく思われている問題点などありましたら、教えてください。

1.
私達『患者と柔整師の会』が提案している療養費受療委任払い制度の第三次改革試案の実施は保険者の足なみがそろわず、もう少し時間を要するのではないかと危惧しております。

 

2.
傷病の見直しと柔整診療の明確化(治療と癒しの区分)
柔整治療技術も高まり、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷の外傷以外に骨格の矯正、筋肉の不整合の調節、関節の機能改善等の治療が十分可能になっておりますので傷病名の見直しが必要です。しかしながら、安易に見直しを行うと、癒しと治療の区分が不明確になり、再び保険適用の判断が難しくなることも考えられますので、治療内容の明確化が求められています。柔整診療の掛かり方やガイド書も傷病名の問題があり、柔道整復師業界は発行することが出来ず、患者に判りにくくなっていると感じています。

 

3.
柔整師の立場と治療技術の向上(研修制度、認定制度等)
現在、柔整師の立場が非常に中途半端であると思います。接骨院という看板を上げ保険診療を行っているのですから、専門の医療者として専任出来る立場でなければなりません。そのために柔整師は、技術水準が一定であり、優れた医療技術者でなければなりません。しかし、学校を卒業し、柔整師の資格を取れば簡単に接骨院を開業出来ることから、柔整師のレベル低下が危惧されます。そういったことからどうしても卒後の研修制度や認定制度を作る必要があると考えております。

 

4.
柔道整復師業界の取組み一本化
日整さんと私自身お話ししたことはありませんが、本来、日整さんは業界を纏めるためにある組織と思います。患者を第一に考えていただいて、やはり日整さんがリーダーシップを取って自分たちの業界を纏めなくてはいけないと思います。患者と全国の柔整師のために日整さんは業界全体をよくしようという考えを持たなければとならないと思います。いま、問題点がいっぱいあるのにそれを改善しようと思わなくて自分たちの中だけで安心しているように外部から見ると感じてしまいます。いろいろ派閥もあって難しいように聞いておりますが、やはり患者のためには自分たちだけの考えではなく、また組織を守るのではなく、聞く耳を持っていただいて、患者や柔整師一人一人のための活動をしていただきたいと願っております。業界が一本化してこういうものは扱えませんと明示して国民に知らしめるべきだと思います。徹底しないと、今は個人が勝手にやっている状況ですから、余計混乱しているように思います。業界はこういう手技治療はやりませんとちゃんと示してくれるとみんな同じレベルで、診療してくれると思います。そもそも多くの患者さんが今の柔整診療を分っていません。誰も分からそうともしない、其処が一番取っ掛かりの問題であると思います。看板もカイロとか整体とかいろいろいっぱいあって同じようなことを言っているため、患者にはその区別は分かり得ないことです。

 

5.
医者との連携
まずは患者第一ということで考えて頂いて両者に横たわる様々な問題を乗り越えて頂きたいと願っています。医師と柔整師は連携を深め、治療を補完し合う取組みや制度が必要です。補完し合うことにより、治療も向上すると思いますし、国民や患者のことを考えるなら協力し合うべきでしょう。また、保険者が安価なジェネリックを推進するのと同じ様に治療内容や期間により、医師だけを重んじるのではなく、もっと診療の中味に踏み込んで、どうすることが国民や患者さんにとって将来的にも好ましいか好ましくないかを理解認識し、その上で判断していただく時期に来ているのではないでしょうか。安価な柔整診療に変えていくような指導も考えるべきでしょう。
医者は患者の為に治療を行っているのに、どうして患者の為になっている柔整診療を批判するのかと思っていましたが、先日、町医者だから自分に出来ない治療を行う良い先生を紹介するのが、町医者の務めだと考え、患者の為になる、紹介する先生を知る努力をしているという地域医療新聞の河崎外科胃腸科医師の記事を読んで感激しました。そして、今日1月25日、痛みに苦しんでいる私にも接骨院の紹介書を書いてくれました。柔整診療を批判するのは、治療に自信のない医者だからだと思います。医者は、もっと柔整診療の活用を考えて頂きたいと患者を代表して私からお願いします。

 

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