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スペシャルインタビュー:  相模原市長・加山  俊夫  氏

2014/09/16

相模原市の人口は、約72万人、高齢者の人口は約16万人である。全国的に高齢化の進展がいよいよ加速する中、相模原市は特別養護老人ホーム40施設、75歳以上1,000人当たりの床数は41.3床であり、20ある政令市の内、第1位という充実ぶりであるが、更に市民が安心・安全に暮らせるための地域密着型の独自な施策を次々と打ちだしている。

そんな相模原市の加山市長に今後の取組みも含めていろいろお話いただいた。

 

超高齢社会への対応として、地域包括ケアシステムの構築を一層進めて参ります!
加山俊夫氏

相模原市長
加山俊夫 氏

 

―日本の社会保障制度改革の中で、特に高齢者福祉について制度が大きく改正されますが、その対応について加山市長のお考えをお聞かせください。

相模原市の総人口は、平成26年4月1日現在で約72万人ですが、その内、65歳以上の人口は、約16万人(高齢化率22.1%)で、全国平均より若いものの今後急速に高齢化が進むことが見込まれます。高齢者にとって、住み慣れた地域で安全に安心して住み続けられることが重要であり、今後、高齢者が増加するにあたり、施設サービス・在宅サービスの充実が不可欠となってきます。現在、本市の特別養護老人ホームの数は40施設となっています。平成25年4月時点で、75歳以上1,000人当たりの床数は41.3床で、政令市20市の中で本市は最も充実している状況にあります。今後も高齢者の皆様に安心していただけるように更なる受け皿の充実や環境づくりを進めて参りたいと思っています。

 

この6月に、医療介護総合確保推進法(「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」)が成立し、医療法、介護保険法を含めた19法が改正されました。19法の改正のうち、主なものとして、介護保険法では、地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化(地域支援事業の充実など)、医療法では、地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保(病床機能報告制度など)、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律では、新たな基金の創設、医療・介護の連携強化(消費税増収分を活用した新たな基金を都道府県に設置)が挙げられます。今回の改正の主旨は、各地域において効率的かつ質の高い医療提供体制の構築と地域包括ケアシステムの構築により、総合的に医療及び介護の体制づくりを進めるとしたものと承知しています。

 

―超高齢化の進展と少子化に対する相模原市の取組みを教えてください。また、予算規模等についても教えてください。

超高齢化の進展に対する取組については、高齢者が住み慣れた地域で、健康で生きがいを持ち、安心して生活を送ることができる社会、また、介護が必要となっても、住み慣れた地域で安心して生活を送ることができる社会を実現するため、地域包括ケアシステムの構築の推進、特別養護老人ホームやグループホームなどの介護基盤の整備促進、高齢者認知症対策などの施策に積極的に取り組んできました。医療や介護の関係機関と連携を図りながら、認知症の専門相談や鑑別診断等を実施する認知症疾患医療センターを平成24年6月に設置し、認知症に関する対策を進めているところです。

 

「相模原市認知症疾患医療センター」は、認知症の早期診断のための医療と介護の連携の拠点として、北里大学東病院内に設置しました。医師・臨床心理士・精神保健福祉士等の専門職により、認知症専門相談、鑑別診断、認知症の精神症状への対応、認知症医療介護連携協議会の開催などを主な業務として実施しています。また、平成25年度には、行政組織の見直しを行い、緑区、中央区、南区の各区に高齢者相談課を設置することにより、よりきめ細やかな対応をしています。本市では地域包括支援センターを「高齢者支援センター」と称しており、日常生活圏域に1箇所設置し計26箇所ありますが、高齢者人口が1万人を超える圏域については分割を行い、高齢者支援センターを増設し、より身近な場所で高齢者の総合相談等を行えるようにしています。

 

医療費関連を除いたこれら高齢者施策関連の予算は一般会計で約24億円を計上、また介護保険事業特別会計は、約401億円となっています。今後も、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるよう、生きがいづくりや健康寿命を伸ばす意味でも介護予防の推進に取り組むとともに、施設サービス・在宅サービス等の充実を図って参ります。

(介護保険事業の主な内訳(概数))

居宅介護サービス給付費 152億9千万円
施設介護サービス等給付費 128億円
二次予防事業費 2億5千万円
一次予防事業費 9千万円
包括的支援事業費(地域包括支援センター運営事業)8億6千万円
任意事業費 1億2千万円

また、日本や本市が未来に向けて発展を続けていくにあたり、少子化に伴う人口減少社会への対応は、大きな課題です。平成24年度に実施した本市の将来人口推計では、平成29年(2019年)の約73万人をピークに減少に転じ、平成72年(2060年)には、約54万人まで減少する予測となっています。因みに平成24年の合計特殊出生率は、国1.41人・県1.30人・相模原市1.23人となっています。出生率の向上を図り、少子化に歯止めをかけるためには、保育所の整備や小児医療費助成の充実など子どもを産み、育てやすい環境を整えていくことが有効と考えています。今はいじめや不登校等、子どもの教育環境の問題が多々あります。本市では所謂安心・安全に学べる場を作っていきたいということで、学校現場に任せるだけではなく、庁内に人権・児童生徒指導班を作りまして、情報を入手して学校と密度の濃いキャッチボールをしながら小さないじめの芽を早期に摘むような努力を行っております。

 

今年度の主な取組については、小児医療費助成事業として小学校3年生までの入・通院、中学校3年生までの入院に適用される所得制限額を児童手当と同水準(制限額を上げる)にします。保育所待機児童対策事業については民間保育所の整備、小規模保育事業の拡充により、受入枠の拡大とともに、本市が独自に認定している認定保育室の利用を促進しております。平成26年4月1日現在の保育所待機児童数は、93人(平成25年4月1日132人から39人減少)で、前年に比べ入所申込者数は増加したものの、平成25年度に実施した保育所新設などによる定員増加、各区のこども家庭相談課に配置した保育専門相談員(すくすく保育アテンダント)による相談体制の充実などにより、待機児童数は減少しました。また平成25年5月1日現在の児童クラブ待機児童数は165人(平成24年の148人から17人増加)で、平成24年度に比べ105人の定員増を図りましたが、入会申込者数の増加に伴い、待機児童が発生している状況です。他にも児童支援体制強化事業の予算を組み、小学校に児童支援専任教諭を段階的に配置、また良い先生を雇用したいということで、教師塾を設けるなど学校の組織的な対応力の強化や一人ひとりの教育ニーズに対応したきめ細かな支援を行っています。少人数学級推進事業は、きめ細かな指導、学力向上や良好な人間関係づくりなどを支援するため、推進校で中学校3年生の少人数学級(35人以下学級)を実施しております。

 

これら今年度のこども育成施策関連の予算は、総額で約336億円となっています。いずれにしましても、人口減少につながる子どもを産みにくい、育てにくい環境を打破していかなければ、日本全体が衰退していくことになりますし、本市も今の生活水準や行政サービス水準が維持できなくなるということで、子どもを産み育てやすい環境づくりを心して行っていきたいと思っております。

 

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