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保険請求の手引き【第2回:療養費の支給基準】

2015/01/01

柔整ホットニュース読者の皆様には、柔道整復療養費特例受領委任が国民保護を第一として、柔道整復師の信頼を根拠に認められている事をご認識いただくためにも、今回からは「療養費の支給基準(社会保険研究所:平成26年度版)」を抜粋し順次解説をいたします。

 

柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項

第1 通則

1
療養費の支給対象となる柔道整復師の施術は,柔道整復師法(昭和45年4月14日法律第19号) に違反するものであってはならないこと。

 

柔道整復師法第4章 業務 第15条には「医師である場合を除き、柔道整復師でなければ、業として柔道整復を行なってはならない。」とあり 第16条には「柔道整復師は、外科手術を行ない、又は薬品を投与し、若しくはその指示をする等の行為をしてはならない。」 17条には「柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。」と定められています。

柔道整復療養費特例受領委任により療養費を取り扱う場合には、柔道整復による施術でなければ支給の対象とはなりません。いわゆる慰安的対応だと誤解を招きかねない行為は、柔道整復とは認められません。慰安的対応等を患者への治療行為(施術)として処置し、療養費支給申請を行えば通知違反であり違法行為となります。読者の皆様には「柔道整復」という治療行為について、十分なご認識をお持ちいただきたいと願います。

 

2
脱臼又は骨折(不全骨折を含む。以下第lにおいて同じ。)に対する施術については,医師の同意を得たものでなければならないこと。また,応急手当をする場合はこの限りではないが,応急手当後の施術は医師の同意が必要であること。
3
医師の同意は個々の患者が医師から得てもよく,又施術者が直接医師から得てもよいが,いずれの場合であっても医師の同意は患者を診察した上で書面又は口頭により与えられることを要すること。なお,実際に医師から施術につき同意を得た旨が施術録に記載してあることが認められ,支給申請書の「摘要」欄に付記されていれば,必ずしも医師の同意書の添付を要しないこと。
また,施術につき同意を求める医師は、必ずしも整形外科,外科等を標榜する医師に限らないものであること。
4
現に医師が診療中の骨折又は脱臼については,当該医師の同意が得られている場合のほかは, 施術を行ってはならないこと。ただし,応急手当をする場合はこの限りでないこと。
この場合,同意を求めることとしている医師は,原則として当該負傷について診療を担当している医師とするが,当該医師の同意を求めることができないやむを得ない事由がある場合には,この限りではないこと。

 

骨折又は脱臼損傷に対して、柔道整復師による応急手当は、柔道整復師法ならびに支給基準における通知上からも認められた大切な処置であることが記載されています。応急手当後の治療を継続するには医師の同意が必要であることは絶対条件です。但し、この場合の同意を得るためによる諸般の事情(患者保護を最優先した結果)を踏まえて、応急手当の回数が限定されていないことも記載内容から読み取ることができます。

応急手当は、あたかも初回限りだと加入者や被保険者への啓蒙を行なう保険者が散見されますが、この認識は大きな誤りであると言えます。また同意を得る医師については、整形外科医師や外科を標榜する医師に限らず、加えて医師が既に診療中の骨折や脱臼の損傷をされた患者についての応急手当も柔道整復師には認められています。これらの条項から柔道整復師は、医師の代替機能を有し、骨折や脱臼などの損傷において、応急手当であるならば、柔道整復師の判断においてその処置が認められているということが考えられます。柔道整復師には、それだけの信頼が寄せられ国民の皆様が負傷・損傷された際の保護を担う責任が課せられていることにもなります。

 

5
療養費の支給対象となる負傷は,急性又は亜急性の外傷性の骨折,脱臼,打撲及び捻挫であり, 内科的原因による疾患は含まれないこと。なお,急性又は亜急性の介達外力による筋,腱の断裂 (いわゆる肉ばなれをいい,挫傷を伴う場合もある。)については,第5 の 3 の(5)により算定して差し支えないこと。
6
単なる肩こり,筋肉疲労に対する施術は,療養費の支給対象外であること。
7
柔道整復の治療を完了して単にあんま(指圧及びマッサージを含む。)のみの治療を必要とする患者に対する施術は支給対象としないこと。

 

急性又は亜急性の外傷性損傷に加えて急性又は亜急性の介達外力による筋、腱の断裂や挫傷については支給対象となっており、単なる肩こり・筋肉疲労は対象外と規定されています。

亜急性に対する捉え方は殊に他の業界からの厳しい指摘、保険者による判断なども加わり諸説があるようにうかがえるものの、編集部では全国柔道整復学校協会監修の「柔道整復学」に記載されている内容が現状でのスタンダードであるべきだと判断しています。

単なる肩こりや筋肉疲労に対する施術は支給の対象外であり、柔道整復の治療完了後に行なわれる指圧・マッサージ、按摩についても支給の対象外と規定されています。

「肩こり」とされず、「単なる肩こり」と表現された記載には、柔道整復亜急性概念と重ねた慎重な認識を要求される非常に大切な文言であると言えます。

いわゆる慢性的症状について対象外と規定されているのか、柔道整復の治療完結後での処置の継続も対象外と規定されているのか、この条項では、柔道整復は根拠がある急性・亜急性の外傷性損傷の取扱いが認められた行為であることが読み取れます。 

決して慰安行為とならないよう、内科的原因の疾患や慢性的疾患を対象とした治療とならないよう、注意が要求されています。

 

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