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日鐵住金溶接工業健康保険組合・伊藤義徳氏に聞く!

2013/06/16

近年、保険財政はいよいよ厳しくなるいっぽうである。そういった中で、健康保険組合は様々な努力を強いられている。

昨年3月に厚労省からの通知が出されたことで、適正化の名目で患者照会調査があたり前になり、しかも民間への委託が増加の一途である。結果的に受診抑制を招き、柔整の存続は危機に瀕している。果たしてそれが全体の医療費を抑える効果に繋がるのかどうかは、全く不明である。

健康保険組合は柔整業界をどのように見て、またどのようであって欲しいと考えているのであろうか。

 

スペシャルインタビュー「保険者に聞く!」
日鐵住金溶接工業健康保険組合   伊藤  義徳  氏

―先ずはじめに貴保険組合の設立の経緯についてお聞かせ願います。

設立は、昭和47年6月です。福利厚生の一翼を担うということで、会社の中に健保を設立しようという動きがあり、独立して単一でやってみようということで東京都から人を迎えて立ち上げ、スタート致しました。以来、常務理事は私が4代目、設立約40年になります。現在、被保険者・被扶養者を合わせて約2000人です。私共は新日鐵の中で溶接部門のエキスパートという形でずっとやって来ましたが、住金溶接部門と新日鐵の溶接部門が合併、日鐵住金溶接工業になって10年になります。その間、900人に増えたり、700人を切ってみたり、そういった時期平成14年に指定組合になってしまいました。というのは人数の問題と経常利益が3年連続赤字であると指定組合の要件に該当するためです。しかし、不思議なもので平成14年から黒字転換しまして平成22年までずっと黒字で、保険料率も一切変わっていません。

トータル的に健保運営の場合には健康度を上げておけば医療費というのはそんなにかからない訳です。基本的に社員同士が仲良くするということで全体的に様々な触れ合う機会をつくったり、もちろん検診も大事ですし、勉強会も大事です。健康に関するものに触れさせることによって健康に対する関心を高め、その後に健康度を上げていくという方針で、通常約3%ずつ医療費が伸びる中で当健保は下げております。この仕事をやって面白いのはやれば必ず結果が一つ一つ出て、決して無駄ではないということです。いま問題になっている納付金は、国から言われるから仕方がないものではありますが、しかしその中で本当に下げられない部分があるのかどうかを検討していくと、この部分がまだ残っていること。当健保では見方、考え方を変えていくことによって、3億5千万円位の予算ですが、納付金を去年は5千万下げました。やはり流れを見ながら、こうなるはずだという予測のもとで国を相手にして行った結果であり、別に違法なことは何もやっていません。啓蒙していくことで少しずつ蓄積する訳です。経営がおかしくなったことで私の前の常務理事が歯科検診を全部止めてしまいました。歯というのは消化機能の入口ですからとても大切で、一昨年から再度検診をテストランということで事業所に限ってやってみたところ、10年前に受けた人とその間なにもしない人の差が歴然と出て、ケアをしている人は歯も健康であるし、歯が残っている人のほうが健康度が高いと分りました。産業医と話をした時に、いま医師も歯や口腔衛生を見直していると言われました。なんでもそうですが早期発見と早期治療がベースです。というように産業医と年に何回か、いろんなデータ交換会を行って、どうしましょうこうしましょうと決めていく訳ですが、データを提供して〝先生にやって頂いたお蔭で好結果になっている〟とお伝えすると先生もやる気になってくれます。こっちを向いてくれますからね。

 

―目標や理念についてもお聞かせください。

当健保の運営目標は、

1.
健全財政と黒字運営の確保
2.
被保険者と家族の健康推進
●健康管理対策→生活習慣病健診、主婦健診他
(早期発見、早期治療…受診率の向上)
●健康指導宣伝→けんぽニュース、保険手帳、 家族向広報雑誌
●体力向上対策→歩け歩け運動の推進、スポーツクラブ利用他

 

でありますが、健保組合そのものは私は「健康互助会」という思想でずっと通しています。〝とにかく貴方が主役よ、貴方のために我々は一生懸命やるし、常に貴方であり、貴方の家族であり、貴方の家庭であり、そのために我々は居るんですよ〟とした小さいけれども互の顔の見える楽しい健保です。私は平成12年に当健保にきまして、来た2年後に指定組合になりました。理事長が厚生労働省に怒られに行く訳です。それはあまりにも失礼であると思いまして、なんとか改善する方法はないかなと必死になりまして、辿り着いたのが「健康互助会」という発想です。やはりいろんな意味で構成員が仲が良くないと医療費は下がりません。今は高齢者医療費は別になりましたが、終末医療というのは、家族仲が良くないと本当に青天井で医療費が嵩んでいきます。

 

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