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柔道整復師と介護福祉【第25回:介護ビザ】

2016/11/16
入管法改正案 2016年10月25日

平成28年10月下旬に衆議院本会議にて出入国法案の改正が可決された。政府の方針は、医療介護人材の確保に外国人雇用を創出させることを大筋で合意したことになる。社会保障制度で守られた医療介護制度の人材に日本人ではなく外国人が活躍する場が設けられることは、生産人口年齢が減少する現状において必然的である。この現状を踏まえて、医療介護業界の施設運営ならびに就労体制と教育体制の確立が喫緊課題である。

 

就労資格・在留資格「介護」

就労ビザである在留資格「介護」の新設により現場も大きく変化されてくると予想される。介護現場においての外国人雇用については賛否両論様々な意見が交錯されているが、人材不足の問題は現実的に深刻な問題であることは言うまでもない。

 

外国人留学生の動向

例年20人程度だった留学生の入学者数は、平成26年度は94人平成27年度は2・7倍の257人に増加している。国籍別では、ベトナムが114人と最も多く、中国53人、ネパール35人、フィリピン28人と続く。入学者全体の3%を占める。

 

なぜ急増しているのか?

現状の日本においては、留学生が介護福祉士の資格を得ても、現状では日本で介護の仕事はできない。

政府は今国会で、出入国管理及び難民認定法(入管法)改正法案の成立をさせた。外国人の在留資格に新たに「介護」を設けられた。そのため、留学生が卒業後に在留資格を「留学」から「介護」に切り替え、日本で仕事に就くことができる。

外国人の介護福祉士をめぐっては、2008年度から経済連携協定(EPA)に基づく候補者の受け入れが始まった。しかし資格試験に不合格なら原則帰国など、留学ルートよりハードルがとても高い現状である。

今国会では、この入管法改正法案とは別に、外国人技能実習制度の適正化法案も審議されており、成立、施行されれば実習の対象職種に「介護」が加わる方向である。この法案可決により、外国人が介護現場で働く流れが一気に拡大することになる。

 

低い介護人材の給与水準

現在日本では、介護業界の慢性的な人材難の大きな理由として賃金の低さが課題とされている。この現状が改善されていない状況で外国人を広く受け入れることになれば、現在の低い賃金水準が固定化されるのではないかという懸念はぬぐいきれない。
業界関係者によると「外国人が介護を担うことにより、介護職の処遇や労働環境をよくするための努力が損なわれることになってはならない。その点は国の検討会で確認されており、受け入れの前提と理解している」と指摘している。

 

留学生の処遇について

留学生に関しては処遇が最も課題とされている。日本語学校の授業料が借金となる懸念があるとし、「授業料の軽減や教育内容の充実、就職先を選択する自由を保障すべきだ」という訴えが後を絶たない。自国の大学で年間5万の授業料、3年間で15万、日本語学校の1年間授業料は平均80万と対比すると大きな差がある。「多様な人々が尊重され活躍できる場になるよう、学校や施設側は業界を挙げて努力する必要がある」という声が多数上がっている現状である。

 

ベトナムから視察団

11月初旬、介護福祉士を養成する日本介護福祉士実務者研修養成協会(宮城県仙台市)に、日本への関心が高いベトナムからの視察団が訪れた。現地の政府系直営の医療短大の学長である。

この協会では、今春にベトナム人の留学生、高度化人材、留学生を占めた20人の外国人が入学。20人全員がベトナム人で、新たに日本育ちのベトナム人講師を採用し、7月から専門用語の学習をフォローする講義を開始した。
「来年はベトナム人だけで100人以上入学します」。中川協会長(36)が説明すると、視察団の学長は大変感心した様子で帰国した。

視察団をこの学校へ案内したのは、仙台市の国際日本語教師養成協会の平林主任教員。来年度以降、この協会が連携する医療法人で医療短期大学出身の医師、看護師、介護士の卒業生3人を受け入れ予定。
3人は国際日本語教師養成協会が用意した市内の寮に住み、日本介護福祉士実務者研修養成協会が連携する介護施設で28時間のアルバイトをしながら、日本語学校で学業を営んでいる。来春は連携する専門学校に入学し、介護福祉士の勉強をスタートさせる予定だ。

 

事業者自ら養成する事例も

人材難に苦しむ介護事業者が、自ら介護福祉士の養成校を作り、留学生を受け入れようとする動きもある。

 

 
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