柔整ホットニュース

特集

施術療養費支給申請書点検業務外部委託の現状と問題点
―その4 外部委託業者問題とは?―

2010/09/01

今回は、シリーズその4「神奈川県社団に聞く!」と題して、(社)神奈川県柔道整復師会・牧野吉一副会長と苅谷満郎保険部長のお二人に取材させていただいた。

 

患者照会・返戻等についてお聞かせください。

牧野副会長(以下敬称略)   ガリバーさん等の民間調査会社は患者照会をやりすぎです。支払いのための照会ではなく、現実には削減のためのようです。昔は柔整は〝骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷しか扱えない〟や〝負傷原因が無いものはダメだ〟というような決まりは無かったんです。負傷日がハッキリしなくても関節周辺の痛みに対しての疾患を扱うのが柔道整復師なんですから。

苅谷保険部長(以下敬称略)   ガリバーさん等民間の調査会社から返戻があった場合、会員へは回答の仕方をアドバイスして戻しています。また、会報の保険部コラム等でも会員に対してそういった啓蒙を行っています。返戻になると会員の先生で引っ込める人がいます。その点については、〝引っ込めるということは、貴方が不正請求をしたというようなことを認めることになってしまうから、堂々と再請求して欲しい〟と伝え、あくまでも支払っていただくことを前提に行っています。

 

最初の頃の返戻の中味・内容についての違いはどうでしょうか?

牧野   ガリバーさん等の民間調査会社への委託は平成12年頃から始まったと記憶しております。当初は、委託している保険者は少なかったため当然返戻も少なかった。しかし、今はその頃より内容がもっと複雑になっています。

苅谷   患者に対する受診抑制が透けてみえますね。

牧野   当時の照会文は支給基準の中にあるように〝何時、何処でどうしましたか?〟等受傷機序を問うものや〝何時かかりましたか?〟といった日数や施術の事実確認でした。しかし、今はそうではなく、患者さんがイヤだなというイメージを敢えて植えつけて、こんなに面倒くさいなら行くのを止めようかなといった事実確認の文章ではなく、嫌がらせに近い文章表現になっています。明らかに抑制のための照会に受け取れてしまいます。

 

返戻に対して、貴会ではどのくらいの時間をかけてどのような対応をしているのでしょうか?

苅谷   本会では、返戻されたレセプトの内容について、記号番号等の間違いを除いて全部精査し、翌月の10日までにそれについて会員が全部回答をして、本会に再提出するといった流れです。返戻対応だけで月に2回行っています。

 

再請求したものについては殆ど支払っていただいているということですね。

苅谷   約95%そうです。未解決の問題というのは未入金ということですから、未入金に関しては事務局でしっかりチェックしています。今のところそれは挙がっておりません。ただし、100%ではないというのは、会員が再提出して来ないというケースが稀にあるためです。

牧野   〝金額が少ないから面倒くさい〟といった理由からです。

 

結果的には泣いているというかたちになりますよね。

苅谷   その通りです。泣くというのはもったいないですし、繰り返しになりますが〝再請求しないということは先生自身が不正請求したと思われますよ〟と。また〝こういうことが重なれば益々保険者さんからおかしいと言われる原因になりますから、ここは一つ再提出して欲しい〟と。基本的には患者さんから〝先生の言うとおりで間違いない〟〝私が書き間違えた〟〝適当に書いちゃった〟という文章を付けてもらうのが一番良い訳ですが、それが出来ない方は〝予診表があるから間違いない〟という文章を書いて再提出して下さいと伝え、内容的に整合性があれば、必ず押し返します。

 

減額になった例は、あるのでしょうか?

苅谷   民間調査会社は保険者ではないので査定までする権限はありません。

牧野   他の保険者も基本的に査定は無いです。「いきなり不支給」というのはありましたが。

苅谷   「いきなり不支給」は保険者から直接あります。

 

前のページ 次のページ