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特集

シリーズ第9弾  
国保中央会5項目の提言について業界内外の論客に意見を伺う!

2010/11/16

国保中央会5項目の提言について、業界はどのような対応と取り組みをすべきであるのか? この5項目の提言内容について柔整業界が真摯に取り組むことで柔整の進むべき今後の方向が明らかになっていくと思われる。 柔道整復師側の立場として、どのように捉え、取り組んだらよいのか、その意義について分かり易いご意見をいただくことで、多くの柔道整復師の方々に真摯に受け止めてもらいたい。
そのシリーズ第9弾として道友協会会長・田畑興介氏に答えていただいた。

 

自己紹介

からだサイエンス誌第91号「国保中央会報告書要旨」ならびに第92号(社)国民健康保険中央会常務理事・田中一哉氏の巻頭インタビューを拝読させて頂きました。
今回の田中氏の厚生労働省への提言は、記事を読まれる方の立場や療養費に対する考え方で受け取り方がかなり異なってくると思います しかし、業界が激動の時代を迎えている今だからこそ、「療養費受領委任払い制度が誰のために存在するのか」という制度創設の理念に立ち返らずして本提言を考察するのはナンセンスだと考えます。
本稿では、療養費受領委任払い制度の恩恵を享受している一人の国民として、また、患者の意思により本制度を適用している柔道整復師として、そして本制度の適正運用を願う柔道整復師が集う団体の会長として、様々な観点から忌憚なく意見を述べさせて頂きたいと思います。

 

1.施術所からの請求方法の統一化について

提言では請求方法の統一化の第一歩として、療養費支給申請書の全国統一化に対して言及しておられるが、結論から言えば私は賛成である。からだサイエンスを読み初めて知ったが、日整社団において、各都道府県レベルで様式が異なっていることに驚きを隠せない。

現状のように数多くの申請書様式が存在することには、様々な理由があると思う。原因の発端は、田中氏のインタビューにも記載されているが、通知行政から発生する「順ずることができる」にあると考える。これを背景に、各団体が事務処理面を理由に使い勝手が良いものに変更していったことに由来するのだろう。また、事務処理面以外の隠れた理由に『アイデンティティ-』の問題があったのではないか。

私は日整社団に一度も入会することなく業界団体の会長という要職を仰せつかっており、セカンドジェネレーションと言えるだろう。私以前の先生方は概ね一度は日整社団に入会し、何らかの問題点や疑問点を感じ独立され、各団体を設立された経緯がある。そこで、「順ずることができる」をもって自ら率いる団体の支給申請書を作成する。各保険者への存在アピール、新団体へ入会した会員への意識高揚、そこには様々な思惑があったことだろう。そして、それら複合的要素によってシンボライズされた独自支給申請書は、各団体の『アイデンティティ-』に発展していったのではないか。

田中氏のインタビュー記事は、国保連合会の事務処理上の効率化を主旨にしておられるが、本提言には「柔整業界が抱える様々な問題点を改善する契機にする意図もあった」と記されている。続けて、我々の支給申請書を審査する国保連合会側の氏が「国民の柔整師に対する認識を変え、今の流れを良い方向に…」と述べられていることに、業界人としてありがたく思う反面、「なぜ自分たちで動きだすことができなかったのか」という思いが溢れる。ただ残念なことは、氏の立ち上げられた検討会の参加者は、国保連合会代表事務局長と厚生労働省の政策官僚、そして日整社団の数名だったことだ。「柔整業界が抱える様々な問題点の改善」を意図した検討会なら、日整社団のみならず、他団体にも参加を促すべきだったのではないか。それが現状の現実味のある「柔整業界」なのである。我々は療養費受領委任払い制度によって、間接的に、あるいは部分的に国庫から支払いを受けている。公金から支払いを求める我々には、やはり公の全国統一書式があって然るべきである。

先日、与党内柔道整復師小委員会から全国統一書式(案)が届いた。そこには、書式に対する意見を求める旨が添えられていた。先に記したように、日整社団においても各都道府県レベルで様式が異なっているのが現状のようだ。ならば、柔道整復師小委員会主導で全国統一書式を早急に作成すべきだろう。たとえ形式的であったとしても、我々のような小規模団体に意見を求めてくれた柔道整復師小委員会の姿勢に賛同しつつ、小さな『アイデンティティ-』のことは忘れたい。そして、全国統一書式が業界全体の『アイデンティティ-』となるために積極的に尽力したい。

 

 

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