柔整ホットニュース

特集

この人に聞く!【了徳寺大学・伊藤 譲 准教授】

2011/04/16

現在、多くの柔整大学が設立されてきていることから、柔道整復に関する様々な研究者が育成されることを期待しているところである。引き続き将来も柔道整復が医療の一端を着実に担っていくには、今ある柔道整復学をキッチリ体系づけていくことが求められている。柔整ホットニュースでは、今回から柔道整復大学で活躍されている教育者にテーマを設け、リレー式でご執筆いただくこととした。トップランナーは、了徳寺大学 保健医療学部 整復医療・トレーナー学科の伊藤譲准教授である。

 

『柔道整復の教育について』
了徳寺大学 保健医療学部 整復医療・トレーナー学科     伊藤  譲

柔道整復の教育について執筆依頼をいただいた数日後,震災が起こりました.私は新4年生の特別講義中でしたが,他の学生さんを含め教職員にもケガ人が出なかったことは不幸中の幸いでした.翌週からは断水や停電の中,余震に怯えながら崩れ落ちた本や書類の整理をし,ようやく仕事環境が元に戻りました.この場を借りまして,この度の東北地方太平洋沖地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに,被災された皆様,そのご家族の方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げます.皆様の安全と一日も早い復旧復興を心よりお祈り申し上げます.

柔道整復の教育について述べるには私はまだまだ未熟でありますし,これまでの柔道整復師養成教育の変遷や現状さえも十分に把握しているとは言えません.そこでまず,私のこれまでの柔道整復の教育への関わりについて述べさせていただきます.私の教育への関わりは,明治鍼灸大学医療技術短期大学部,明治鍼灸大学(現,明治国際医療大学),そして現在の勤務先である了徳寺大学で,9年が経ちました.助手として入職した当初は,短期大学から4年制大学の設置を目指していたこともあり,研究し,論文を書くことが最優先の仕事でした.そして,2番目は大学独自の教科書作成の補助でした.その後,講師となって講義を担当させていただきましたが,後療法や身体運動解析学などを担当し,骨折や脱臼などの外傷といういわばコアの科目担当はありませんでした.しかし,柔道整復師の教員として外傷に関する知識や技術は身につけていかなければならないと思い,大学内で整形外科学教室に出向させていただき,研修させていただきました.この研修でのご指導と経験が,柔道整復に関する学術書作製(=当初の大学独自の教科書作製)という命題と合わさり,最近になって柔道整復外傷学ハンドブック(医道の日本社刊)という本を出版いたしました.大学においては,助手や助教,講師といった立場では,教育へのパワーのほとんどは,講義等を通じて学生との交流に注がれ,教育の仕組み作りや体制作りに注がれることはあまりないと思います.現在は肩書こそ准教授をいただいておりますが,教育のシステムに目が向き始めたところです.こういった教育素人の私が述べることですから,私自身の理解不足や無知,また断片的であることも否めません.その上でご一読いただけましたら幸いです.それでは,前置きが長くなりましたが,項目を「求められている柔道整復師」,「教員の資質」,「医療の一翼を担うために」に分けて述べさせていただきます.

 

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