柔整ホットニュース

特集

この人に聞く!【帝京平成大学・樽本 修和 教授】

2011/07/16

現在、多くの柔整大学が設立されてきていることから、柔道整復に関する様々な研究者が育成されることを期待しているところである。引き続き将来も柔道整復が医療の一端を着実に担っていくには、今ある柔道整復学をキッチリ体系づけていくことが求められている。柔整ホットニュースでは、柔道整復大学で活躍されている教育者にテーマを設け、リレー式でご執筆いただくこととした。今回の執筆者は、帝京平成大学 地域医療学部 柔道整復学科の樽本修和教授である。

 

「柔道整復師の今後の教育のあり方について」
帝京平成大学 地域医療学部 柔道整復学科   樽本 修和
「柔道整復師の今後の教育のあり方について」

4年前から4年制柔道整復大学が9校、短大1校が開校しており、又専門学校も現在では100校も開校されている現状を踏まえると、今後、学問体系の構築と同時に、臨床能力のある柔道整復師の輩出と資質向上が急務であると考えます。近年、相次いで4年制大学が設立され、医療人として教養と知識、技術を備えた人材が輩出され、より質の高い医療が国民に提供されることが期待されております。それに伴った、柔道整復学の教育体系やその分野の研究、さらに医療人としてのモラルについても考えなければならない時期が来ています。

数年前の接骨医学会でのシンポジュームにて会場から、柔道整復の独自性の手技療法についてどのように考えるかとの質問がありましたが、患者に一番効果があり、根拠のある方法を、あらゆる分野の手技療法を取り入れた研究が不可欠ではないのかと答えたところ、他の分野のまねごとでは本当の学問はできないとの意見が出されたことを思い出します。文部科学省では本当に柔道整復の伝統医学が伝承されているのか、疑問を持っています。この現状を踏まえますと、柔道整復学構築の確立ができていない状態でどのようにして、学生に柔道整復師の専門性を伝えていくかがこれからの課題であります。

よく教科書のみで教育している場合がありますが、国家試験についての対応は充分であるけれど、専門性や普遍的な科学性を追求していくのであれば、一冊の教科書を中心に教育するのではなく、教育用の資料は多くの文献から収集しまとめることが重要であり、理論の根拠が必要であります。又、そこに臨床経験を生かして理論と臨床現場の相違を踏まえて教育していくのが理想的な教育であると思います。教育現場にいる教員の資質の向上(教育者の意識改革)が急務であると考えられます。そこに自己点検、自己評価を行い教員として社会人として人間としての常識をもち、社会に何らかの形で貢献できる教育者の育成が重要であると思われます。

それに伴い、大学教育における柔道整復師の教育は、基礎医学・臨床技術・社会医療等の科学的根拠を探求しながら、さらに教育体系を確立し、質の高い柔道整復師が育成されなければなりません。

大学における基礎医学については、すでに柔道整復師の教員が解剖や生理学教室に入局し研究員として活躍している実績があるので基礎医学と臨床柔道整復学の融合は、将来できるものと考えております。

 

前のページ 次のページ