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特集

「柔道整復の歴史的背景からみる傷病名(負傷名)見直しの
必要性」(下)

2011/12/16

明治国際医療大学 長尾 淳彦
日本整復師会   田中威勢夫

前回は昭和45年「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律」から分離して「柔道整復師法」になった経過と内容の中から読み取っていただいた。

今回は、平成16年3月1日に衆議院予算委員会第五分科会での吉田泉衆議院議員の質問、平成17年2月10日内山晃衆議院議員の質問主意書をご紹介致します。厚生労働省が答えている内容は柔道整復師法が単独法となって34年間経っているがあまり変わっていない。

後記する吉田衆議院議員質問「患者さんのほとんどが、腱鞘炎、五十肩、肉離れ、筋肉の挫傷、それから老人性の変形膝関節症、今、五つの症状を申し上げましたけれども、この症状を訴えて接骨院を訪ねてくる患者さんがほとんどだということでございます」「柔道整復師サイドとしては、五十肩のことは肩関節捻挫、それから肉離れなどは下腿部の打撲というように、実際の名前と異なった診断名をつけて保険請求をしているということでございます」の内容全てがそうだとは言えませんが患者さん自身が「右側の五十肩」という俗称を傷病名(負傷名)だと思っていると柔道整復師が「右肩関節捻挫」で療養費請求すると傷病名の書き換えだとされる。不正だと言われる。

柔道整復療養費の支給基準では「骨折」「脱臼」「打撲」「捻挫」「挫傷」に負傷の部位を附ける請求方法なのです。それ以外の請求方法はありません。

例えば、右側の肘をゴルフのスイングで捻じった場合は「右肘関節捻挫」、左膝のお皿(膝蓋骨)を陸上競技のハードル競走の選手が疾走中、ハードルで打った場合は「左膝部打撲」となります。何度も言いますがこの方法以外の請求方法はないのです。

下記の「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項」第1通則により柔道整復療養費は支給されます。

「骨折」「脱臼」は応急手当後の施術は医師の同意が必要です。初回の整復や固定は柔道整復師が応急手当できますが2回目以降診るには医師の同意が必要です。「打撲」「捻挫」「挫傷」は受傷の機転を表す用語で器官や組織の重傷度や器質的状況を表す用語ではありません。現状の傷病名(負傷名)の附け方がおかしいというのなら見直しをしていかなければなりません。業界全体で現状に見合った制度にしていかなければなりません。

 

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