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(社)岐阜県柔道整復師会・橋本会長、「傷病名問題」を語る!

2012/06/01

この度、柔整療養費料金改定が先延ばしされることになった。柔道整復療養費検討専門委員会も立ち上げられることになり、中長期的な視点に立った療養費の在り方の見直しについて検討されることになった。前代未聞の事態であり、この先何が起きるのか?また何が起こってもおかしくない状況に今柔整師は立たされている。これまで柔整傷病名問題について茨城県・市川会長、神奈川県・吉田会長、京都府・大西会長と業界でオピニオンリーダーと言われている方々に勇気ある発言を頂いた。今回は温厚で有名な岐阜県柔道整復師会会長・橋本佳幸氏に今後について意見を述べて頂いた。

 

(社)岐阜県柔道整復師会  会長 橋本 佳幸  氏 

―3月12日に厚労省から「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」の通知が出され、しかも5月11日に開かれた社会保障審議会医療保険部会で今回の療養費の改定が先送りされ柔道整復療養費検討専門委員会の審議を待つことになりましたが今のお気持ちと対応策等についてお聞かせください。

行政刷新会議、会計検査院、社会保障審議会医療保険部会等の指摘により3月12日付の通知が行われたものと思われます。また相次ぐ柔道整復師の不正問題も原因の1つであります。信頼回復のために、より透明な施術と請求をするため再確認の意味も含めて、保険部長と共に県下6地区で緊急研修会を開催しました。今回の通達の経緯を説明した上でコンプライアンスの徹底はもとより、「傷病原因の確認と原因と傷病名の整合性の徹底」並びに「長期施術理由は保険者が見て納得のいく理由にする」よう指導致しました。今回の通知で少なからず心配していることは、執拗に調査が行われると調査対象者は高齢者が多く含まれるため混乱をきたし受診を控え、行き場を失ってしまわないかと心配しています。又、文書照会や聞き取りの結果をどの程度反映させるのか、一方的に調査の回答を重視されることはないと思いますが、特に高齢者の記憶が3,4ヶ月後の調査に正確に回答できるかを心配しています。対策としては当たり前のことですが、初検時に十分に聞き取り調査をして原因、治療部位、治療内容等を口頭または書面でしっかり伝え十分なコミュニケーションをとり理解を得るよう会員に再度徹底を促しました。
私たちが最も心配しているのは、〝適正化を行うように〟として、謂わば「お墨付き」をもらったことによって、執拗と思われるくらい患者照会を行い今まで以上に患者さんに調査をかけるようなことをされていくことになるのではと危惧しております。全部の保険者さんが徹底して行うようになれば、益々接骨院の受診離れを起すことになります。しかも我々が診ている人たちは何所へ行ってしまうのか?整形外科に行かれる方もあるかもしれませんが、殆どの患者さんは整形外科では満足出来ないということで我々の所にみえている方もあるので、やはり行き場を失わせてしまうことになります。つまり健康老人を減らすことになってしまうということを保険者さんにも行政にもご理解頂きたいです。特に長期や多部位、頻回等については結構高齢の方が多いと思いますし、3ヶ月~4ヶ月後の調査で果たして高齢者たちがどのくらい記憶力があるのか。〝絶対に忘れてしまう〟ということを前提においておかなくてはならないということは伝えてありますが、社団としては、会員の先生方には患者さんと十分コミュニケーションをとって、もし分からないことがあれば相談に来てくれということを徹底することを各人の接骨院で夫々努力をしてくださいと伝え、疑義を持たれるような書類がないように徹底をはかりたいと考えています。

 

―柔整師がおかれている制度が脆弱だといわれておりますが、どのようになると磐石と思われますか?

柔整師の扱う受領委任制度が、法的基盤が脆弱であるということは、健康保険法第87条の1項に、「保険者が療養の給付を行うことが困難であると認めた時」或いは「保険者がやむを得ないと認めた時」といった条文があり、保険者が決めることになっています。その辺がやはり凄く不安材料です。保険者だけで支給・不支給を決定するのではなく、施術の有効性が認められれば保険適用になるという方向で、条文を変更して頂きたいと希望しています。又、それには治療のガイドラインの作成が急務です。

 

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