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北陸地区保険者会議開催される

2012/12/01
審査基準の見直しについて

本多氏は〝どんなに良い制度をつくっても、審査基準が曖昧だと制度としての意味が半減してしまう。だから制度と審査基準を併せて議論していかなければならない。昭和11年当時の肉体労働中心の生活から、戦後の産業・文明の発達に伴い非肉体労働でモノを生産するようになり、食べ物も生活様式もガラッと変わった。そのため外因性の疾病だけではなく、集中的な仕事をすることで視神経が疲労して身体全体の不調を訴えるということも出てきた。これらに対する治療はエビデンスが非常に少ないため、科学的根拠だけで適切か不適切かを判断することができない。お年寄りが頼りにしている治療なのに保険が一切認められないことになってしまう。このような問題を、高齢化社会の中で誰も正面から議論していない。原因が特定しにくく痛みが持続して生活に影響するような疾病を治す機関がないとすれば、柔道整復師が治療計画を作成した上で治療し、どの程度効果があるのかということを測定して、レセプトに書いて保険者に逐一報告する。そういうルールの効いた方針を作ろうというのがこの指針である〟と、規律正しくかつ国民の需要に合った基準に見直す必要があるとした。また、請求方法に関しては〝主訴の治療のためには関連する他の部位も併せて治療しなければならないが、そのような治療に部位別請求は適さない〟として一括請求への移行する考えを示唆した。

これを受けて、最近整体の施術を受けたという保険者から〝その整体師は痛いところと触るところが全く違うがそこを触ると治る。同じようにきちんと勉強されている柔道整復師ならば、部位転がしなどしないのではないか〟と話があった。一方で〝細かいことがレセプトにしっかり書かれていると信じていくしかないのだが、どこまで信じていいのかと全てにおいて疑ってしまう〟と、現場の切実な思いを訴える保険者もいた。本多氏は〝指針を作る時に一番苦しんだのが部位転がしを未然に効率的に抑える方法はないのかということだった。そこで行った治療は最初に全部書かせて、治療中の部位変更は原則として認めない。例外として、負傷原因がはっきりしている明らかな外傷の場合は証明書を発行すれば認めるという方法を考えている〟と提案。加えて〝一旦疑うと際限なく疑ってしまうが、何月何日にドアに挟まってなど具体的に書かれると、そこまで嘘は書けないだろうからと信じなければならないのが現実だと思う〟とも述べ、判断に頭を悩ませる保険者にも理解を示した。

また保険者から、同居親族や同一施術所に勤務する従業員に対する施術の保険請求の可否について質問が挙がり、本多氏は〝認めない方針だが時々請求を出してくる柔道整復師がいて、保険者のなかにはそれを認めてしまう人もいる。団体としては認めないと言っているのに、通るんだと言い張られると参ってしまう。だからこれはルール化すべきだ。不正請求ではないかもしれないが、保険でなければ請求しないのに保険だったら請求するというのはおかしい。自由診療なら請求しないようなケースは認められない〟として保険者全員に対応の統一を徹底するよう呼びかけた。

さらに、レセプトの記載内容や患者署名のタイミングの見直しを主張した保険者に対して、本多氏は〝確かにレセプトだけでは審査情報が少なすぎる。今、レセプトの他に計画治療書を提出して二段構えにしてはどうかと提案している。署名の問題は非常に難しい。患者さんが計画通りに来てくれるなら事後署名が一番良いが、途中で来なくなってしまう場合もある。そこで、必ず署名をもらう予診票をレセプトに添付すれば、治療の事実も把握できるし充分ではないかと考えている。形式にあまりこだわらずに中身で判断する方が良いと思うが、なかなか保険者の了解が取れず苦労している〟と話しており、今後も保険者との間で協議を重ねていくことが予想される。

 

今回の会議では〝第三次案が運用されれば、レセプトの質も上がるし保険者側としてもかなり信頼できる〟との声も挙がるほど、特に登録制度の設置や審査基準の見直しにより審査情報が豊富になることに対して好意的な態度を示す保険者も出てきており、地道な努力が実を結びつつあると言える。本改革案はさらに改善を加え、来年にも発表される予定となっている。

 

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