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第17回日本統合医療学会が華々しく開催!<後篇>

2014/02/16

『甘草栽培による地域の生きがいづくり』
北海道沙流郡日高町町長・三輪茂氏代理・副町長・佐藤則男氏

太平洋側にある紋別町と山間部の町が合併した日高町は、人口13.091人、992.67平方㎞。健康づくりでは、高齢者の健康増進ということで温泉を使ってトレーニングも兼ねて実施している。統合医療学会の推奨等もあり、高齢者・障害者の活用、雇用の確保、働く場づくりもあって甘草栽培を始めた。生産販売事業者も加わって5社で法人を設立。現在42万株が植えられている。

お年寄りもまだ社会に必要とされ、手作業や社会奉仕活動を通して生きがいを感じていただく。生きがいづくりが生きていく上では必要であることが日高町の健康づくりの1つとして重要になった。甘草の製品化やご支援いただける制度を国で考えていただくことをお願いしたい。

 

『地域医療の実情と健康食材による町おこし』
鹿児島県大島郡伊仙町町長・大久保明氏

少子高齢化社会が進み、出生率が東京は1.02、徳之島は2.4で現在の人口は2万7千人。徳之島は徹底した予防医学を推進していく中、特定検診はこの3年間で60%を達成、医療費も下がってきている。100歳以上の方が1000人以上おられる。自然の中で生きて、3世代が同居している家が殆どであり、子供が沢山生まれても爺ちゃん婆ちゃん近所の人が野菜を持ってきたり、地域の繋がりと日本の昔からの伝統的な世界が未だ残っている地である。これからの日本社会のモデルになっていく「長寿・子宝宣言」をした。自然と人間、共生と循環をしっかり考えていく時代で、心豊かな地域社会をつくっていくことを考えた時に東京一極集中から地方に戻って行く時代を作りだしていくことが重要ではないか。ダイエットアイランドツアーで、島に来ていただきたい。

会場の渥美名誉理事長から〝調査の時代ではなく、実践の時代になったのである。どんどん地域が進んでいる。小さな研究課題の時代はもう終わった。政府が援助して頂きたい〟と発言があった。

 

『キューバ ―知られざる統合医療先進国―』をテーマに海外招聘講演が行われた。

『Traditional and Natural Medicine in the Cuban Public Health System』
キューバ共和国保健省自然伝統医学局のDr.Yohann Perdomo Delgado氏

キューバ共和国はエーゲ海の島国で、首都はハバナ、人口は1100万人。キューバは教育水準並びに医療の水準が高いことで知られている。我が国における保健医療は市民の重要な権利であり、保健医療を提供するのが国家の責任であると保健医療法の第41条に示され、第41の50条には、全ての国民は健康を守り、治療を受ける権利を有し、国家はこの権利を保障せねばならないと謳っている。革命後に医療サービスがどのように推移してきたか。最も重要なことはキューバの保険システム、公共医療システムはユニバーサル、国民皆保険で全て無料であり、全ての人が診療を受け、病院にいける可能性をもつものである。また包括的で国際的な海外協力を含むものである。

医療システムの最も小さな単位がファミリードクターを支えるグループで、キューバの80%の病人が治療を受けている。ホスピタルといわれる医療施設があり、一番高いレベルには研究施設がある。乳幼児の死亡率4.6人/1000、5歳以下の子供たちの死亡率5.9/1000、平均寿命77.9歳。住民134人あたり1人の医師、ファミリードクター13.419人あたり1人、住民の100%が家庭医のネットワークにカバーされている。全国に452のクリニック、152の総合病院等がある。60歳以上の人は18.6%と高齢化が進んでいる。キューバは伝統医療を代替医療と定義し、その実践は総合的で公衆衛生システムによって構成されている。災害その他の被災に対して医療サービスを保証するためのキーポイントとして政府に奨励され国民に深く根差している。薬草の使用は特にキューバの医療の伝統の一部になっている。

2008年~2012年の間にプライマリヘルスケアにおいて治療を受けた患者数が増えている。医療現場においても、また教育現場・研究施設においても伝統的な自然の治療法が上手く近代的な西洋医学と統合されている。これまでの経験をもとに統合医療のシステムへの取り入れは足をとめることなく、今後益々進歩を求めていくことになると考えている。

 

学会最後に、『持続可能な社会における医療:エコ・ヘルスケアとしての統合医療』と題して総合討論が行われた。

演者は、公益財団法人未来工学研究所主任研究員・小野直哉氏、日本赤十字看護大学学部長、教授・守田美奈子氏、昭和大学医学部顕微解剖学講座教授・塩田清二氏(次回日本統合医療学会大会会長)の3名で、座長は昨年の第16回日本統合医療学会大会会長を務めた大阪大学大学院生体機能補完医学寄付講座教授・伊藤壽記氏と本大会会長で公益財団法人医療機器センター理事長・菊地眞氏が務めた。

前大会会長で座長の伊藤氏が〝東日本大震災が大きな転機になった。ライフラインを絶たれると無力になってしまう。最終的に医療とは何かという命題に気がついた〟等の意見を述べ、今学会大会会長で座長の菊地氏が〝やりっぱなしの学会ではなく示唆する学会であるように、周辺が高まりを見せている中、一度リセットして更に目指すべき道を問いかえす〟等、統合医療とは何か、生きることは何かを追及し、これからの道筋を提示し、次の学会へと繋いでいく強い志を示し、多くの実りを残して第17回統合医療学会は幕をおろした。

 

学術会議の先生たちが今回のシンポジウムに参加して如何考えたのかとして、神奈川県立福祉大学の中村丁次氏、日本統合医療学会理事長・仁田新一氏、がん研有明病院漢方サポート科部長で渥美夫妻の主事医でもある星野恵津夫氏らが一言ずつ短い挨拶を行った。

ディスカッションは時間の関係で行われなかったが、懇親会の場に引き継がれる形となって終了した。

 

 

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