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患者と柔整師の会が『柔道整復師施術療養費請求・受領委任払制度運用改善方策(案)』を発表

2014/06/16
部位変更について

次に、一定期間ごとに施術部位を変更していく「部位変更」については、保険者からは〝被保険者本人に確認しているが、上手い具合にここがおかしくなった、怪我したと理由をつけられ、最後は本人が言うなら仕方ないということになってしまう〟と、柔道整復師と患者が結託して不正をしているような印象を受けるという意見や〝部位変更が毎月あり、はっきり言って部位も原因も嘘だろうと思っている。被保険者側にもどういう原因で受診するかという認識をもう少し持っていただきたい〟〝部位変更には基本的に反対だが事前に患者に対して明細書を提示し、どのような形で請求しているのかを説明するならば5部位施術していてもいいと思う。そうすれば患者と柔道整復師の信頼関係も出来るし、保険者もその明細書を見た時にそれだけ診ているとわかって信頼関係が出来るのではないか。レセプトに近い形の請求明細だと保険者も理解しやすい〟というように、患者に対しても自分の負傷やその原因、また請求内容を理解しておいてほしいという要望も上がった。

これらの意見を受けて、本多氏は〝方策案では治療が正当であることを前提として、施術を行なった部位を隠さずに最初から全部出すことを提案している。例えば5部位治療しているが請求しているのは2部位だけで、そのうち1部位の治療が終わったから、次は施術していたが請求はしていなかった分を請求する、というように施術部位と請求部位を分けて考える。申請書でも明細書でも、行なっていることは全てオープンにした方が支払い側は見やすい。患者に内容を分からせるには、明細書をその都度その都度だして、今日はこんな治療をしたということを示すのが一番良い〟と述べた。同様に、領収証発行についても〝請求されたから発行するのではなく、義務として当然発行しなければならない。どうしてもまとめて領収書を発行してほしいという場合にはきちんと内訳を書き、いつ行ったかというのが明確に分かるようにするよう指導している〟と、方策案には施術および請求の透明性を向上させる狙いがあることを示した。

 

白紙委任について

さらに、以前より問題視されている白紙委任の問題については、〝医科の場合は医者に請求権があるが、柔道整復師の場合は患者に請求権があり患者が委任して請求している。原点を見直さない限り解決しない〟〝被保険者に聞いても委任したという認識はなく、不正があった場合その被保険者が不正請求をして、受け取りを柔道整復師に委任したということになるが説明しても分かってもらえない〟などの保険者の意見からも、請求は患者が『委任』して行なっているという制度の根本を、患者があまり理解していないことがうかがえた。

一方で、本多氏は〝患者が治療途中で来なくなった場合、柔道整復師は請求できなくなってしまう。だからリスクを回避するために予め委任欄に署名をいただいている〟と柔道整復師の現場での厳しい立場について、保険者の理解を求めた。加えて〝請求者が誰かということが重要。登録制度を敷くことによってこの柔道整復師はどういった経営者に雇われているのかを知ることが出来る。請求に何らかの影響を与えていたとしても、経営者は表には出てこない。それを断ち切るためにも登録制度を敷かなければならない。精神的に不正請求をしにくくするという間接的な規制を加えていく〟と、改めて登録制度を設置する意義を熱く語った。

 

最後に本多氏は、方策案の具体的実現に向けて、JB日本接骨師会が運営している接骨院にて試験的に運用を開始すると明かした。方策案では、痛みの原因や症状等を詳細に記載すれば無理に傷病名をつける必要はないとしているため、運用に際して〝傷病名がはっきりしない申請書が皆さんの手元に届くことがあるかもしれないが、保険者の方々のご理解を仰ぎながら実施・指導していきたい〟と関係者の協力を仰ぎ、終了した。

 

JB日本接骨師会は、平成25年11月より柔道整復療養費の請求・審査・支払(代理受領)システムを実施する予定としており、ついに実現へと踏み切る形となった『患者と柔整師の会』による方策案。保険者がどれだけ協力的な姿勢を取るのかが鍵となるだろう。運用を開始して初めて直面する問題もあるかもしれないが、この枠組みが柔道整復業界全体に普及していくことを期待したい。

 

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