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スペシャルインタビュー:アスリートの夢を支援して

2015/01/01

―現在兪さんが勤務されている長尾接骨院の院長は明治国際医療大学柔道整復学科の教授で教鞭もとっておられ、また日本体育大学大学院を卒業されておられる方ですので、学ぶことも多いと思われますが、その辺いかがですか?

長尾先生の施術・技術が素晴らしく尊敬しています。やはり、先生自身、柔道整復師としての仕事を凄く真面目にやられているため学ぶことが多いです。また、近年柔道整復師の質が落ちてきているとよく言われております。将来的に私も含めて学生たちがより良い柔道整復師に育つような指導をしてくれております。まだ勤務してから長くないので、今後の研究についてもアドバイスしてくれると思います。今回、接骨医学会に出席させていただけたことが凄く有難いと思って感謝しています。

 

―いま、柔整業界では、卒後研修を法制化したいと努力されているんですが、何かご意見ありますか?中国の伝統医療の臨床研修は行われているのでしょうか?

中国の伝統医療は、ハリと漢方、骨傷科です。今、骨傷科はオペする技術もございます。国民のニーズは、中医師のほうが強いと思いますし、現在は伝統医療のほうが重視されています。経済的なことも大きいとは思いますが、副作用のこともあり、漢方でよく言われる治療期間は長いけれども根本的に治療するのが目的であり、対症療法ではないと。教育現場についてはよく分らないのですが、聞いたところでは、学校に入って例えば3年目4年目で成績順位の上から自分が行きたい科を決めて、決まったら一生その科をやらないといけないということで、皆さん命がけで勉強します。鍼灸等の国家試験は、日本は例えば200点を基準にすると200点を超えたら皆が合格しますが、中国の場合上から数えて600人まで、それより下の人は全部不合格であるため本当に必死です。

私自身が体験した日本の教育プログラム、私が習った学校では素晴らしいところが沢山ありました。臨床的にも理論的にも知識を万遍無く教えて頂きました。ただ、どちらかといえば学生に競争感がないというのか、柔道整復師になるんだという自分の強い意志、そういうイメージはちょっと薄いと感じます。卒後研修に関してはヨーロッパ・アメリカが進んでおり、それが日本の医学部に導入され、その流れかもしれないですね。私自身は臨床研修、卒後研修は行われたら良いと思っています。

 

―兪さんは、研究者の道と臨床家の道の2つが開かれておりますが、両方を追及していかれることは、さぞ大変なことと思います。将来の夢と今後どうされていかれるのか教えてください。

自分で習ったものを活かして、アスリートたちに何か役に立ちたいという視点から、自分は何ができるのか?それには治療の経験も必要ですし、理論的な知識も必要です。今はちょっと力を貯めている段階と考えています。やはり自分の研究している内容が、将来臨床に役立って欲しいと願っております。また、スポーツ現場の多くの関係者と共に、夢をもって日々努力しているアスリートを支援していきたいと考えています。私は、母であり妻であり、自分の立場がありますから、日本で頑張ってやっていきたいと思っています。

 

                                 

●兪勁楠(ユ ケイナン)氏プロフィール

昭和51年10月27日、ハルピン市生まれ。

ユケイナン競技歴:
平成7年、(中国)全国青少年冬季運動大会ショートトラックスピードスケート1000m第1位、同8年、(中国)黒竜江省第8回運動大会ショートトラックスピードスケート3000mリレー第1位、同9年、(中国)全国ショートトラックスピードスケートチャンピオン大会個人総合第1位、同10年、(中国)全国ショートトラックスピードスケートチャンピオン大会1000m、1500m第1位、第18回オリンピック冬季競技大会(長野オリンピック)参加、同11年、(中国)全国ショートトラックスピードスケートチャンピオン大会3000m第1位。

学歴:
平成10年、中国瀋陽体育学院卒業、平成16年、大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科修士課程入学、同18年、卒業。同年、西日本柔道整復専門学校入学、同22年、卒業。同年、大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科博士後期課程入学、現在に至る。

職歴:
平成18年ヨシイ整骨院診療助手。平成23年ルカ鍼灸整骨院を経て現在長尾接骨院勤務。

 

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