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ビッグインタビュー 【新・柔整考⑬】 業界内外の声をお聞きする!

新・柔整考 特集

長年にわたって、「東洋医学治療法の旅」を『からだサイエンス』誌に連載されていた竹内廣尚先生。その竹内氏がこれまで獲得・到達した治療技術に甘んじることなく、今なお治療法を追求している。その努力の素晴らしさは、恐らく右に出る者がいないであろう。常に上を目指す永遠のチャレンジャーでもあり、まさに今もなお飽くなき治療法の旅を続ける竹内氏に過去・現在・未来を語っていただいた。

数々の治療法で多くの患者さんを治してきましたが、未だ道半ばです!!

竹内整骨院 院長 竹内廣尚氏

―様々な治療法と出会い、またその治療法について深く学ばれ、研究されて治療に活かされてきたと思いますが、今もなお治療に活かされているものについて教えてください。

今まで出会った治療法については、「佐藤流太極療法」「知熱感度測定による赤羽式鍼灸治療法」「体液調整療法」「募穴診断・子午流注療法」「伊藤PIA奇経療法」「仁神術」「筋診断法」「乾電池治療法」「テープ療法(レインボーテープ・ペイントルテープ・スパイラルテープ・キネシオテープ)」等ありますが、今も全て行っています。それで今度、僕はNHKの東洋医学の番組で、何故そうなりますか?ということを聞きたいと考えています。例えば、温と冷で行うと最初にさすった後に熱くなりますが、何回で熱くなったかでその臓器が疲れているのかが分かるのです。しかも最初から熱いと急性症状なので、病院に行ってもらいます。ある患者さんが腰と膝が痛くて歩けないと言って来院。温冷器で診断したところ生殖器の診断部がプラスだから、応急処置をして病院に行ってもらった。患者さんから異常がなかったと電話をもらった。しかし二週間後、もっと歩けなくなったと言ってタクシーで当院に来られた。温冷の検査の結果、やっぱり生殖器がプラスでおかしいからもう一回整形外科に行ってもらったところ、順天堂大学病院に送られました。病院では生殖器がおかしいと言われたので調べたら前立腺に癌があってそれが背骨にも飛び火していたということで手術になりました。手術後は歩けるようになって回復しています。東洋医学の秘密ではないけど凄く興味があります。いろいろなデータを調べてもらうためにも、先ずNHKで東洋医学をやっているのであれば、そこに手紙を出して、私の書いた『治療に活かす「診断力」の高め方』という本を送って、こういうところを教えて欲しいと言おうと思っているんです。それで調べればわかる筈ですし、あと知熱感度といって、お線香で調べると、骨の何番がくるっているから、左右差がくるっているところに小さな皮内針を入れるとギックリ腰は直ぐ治ります。従って、どうしてそうなるのか?というメカニズムを教えて欲しいと思って、今はそれをちょっとやろうと思っているんです。

他には、いま僕は勉強というか、先生についたのは、ずっと20年30年前から知っている先生でしたが、そんな凄い先生とは気が付いていなかったんです。元々僕は脈を診るのはあまり好きじゃないと言っていた訳ですが、ところがその先生が診た後に、右肩が痛いと左の股関節だというルートがあるんですね。それで右肩が悪かったら、左の股関節に症状があるから、左の股関節を治療することで右肩が治る等、そういう面白い治療法があるんです。それで先生の所に1年間ということで水曜日に見学に行っているのです。また、枇杷の葉のエキス等は、炎症には物凄く効果があります。九州から枇杷の葉のエキスを取り寄せて、これをタオルに散布して、温めるんですが、それも良い。例として、国士館の先生がゴルフで捻挫をして腫れあがって、担がれて当院に来られました。枇杷の葉治療を行った時に器械で温めると、〝温めるのではなく冷やさなければダメ〟と言われるので、〝冷やしたら明日はゴルフ出来ませんよ。温めたら治りますよ〟と。それで1時間20分位温めたり鍼をすると治りました。次の日のゴルフは2位でした。そのことを教授自身が言うから国士館で評判になって、剣道部の先生が〝じゃ診てくれ〟ということで、4年間国士館の剣道部の学生をみました。学生の皆さんも良かったのですが、その4年間は、大会で日本一でした。そんなこともありました。

やはり、診断が出来て治療が出来て、治療後の診断が出来ると、なおかつ診断も患者が分かるようにすることです。何故なら患者さんは、熱いとかが分かるし、痛いところも分かっています。患者が解って、治療したらそれが治った。患部ではなく、その診断部位が熱いや痛い等、何が除去されて治癒に至ったのか?をわかるのが良い訳です。脈診というのは、その治療家しか知らないんです。患者には分からないんです。それでは僕も不安です。つまり患者が解って、僕も分かる。それで治療した後に治る、その診断が的確になるというのが僕は良いんですが、ただ今度は逆に治療家がそれをやるとなると、それを覚えるまでが大変ですし、治っていないのが患者に分かってしまうため、だからみんなやらないんです。結局どうして広まらないのかと言えば、そういうことだと思います。仲間うちでやっている人はいっぱい居りますし、僕がついている先生方は全部それをやっています。僕たちが勉強をする時は、先ず診断が出来て、治療が出来て、治って、それで患者さんがいっぱい来ている人というので選びました。僕の場合は、これまでの治療法を全部とっておきますし、本当は失くしてはいけないのです。僕はこれまで学んだ様々な治療法をずっと応用していますし、治らない人が居ると違う方法でやってみます。それでやってみると治ったりします。ということで枇杷の葉もずっとやっています。つまり、今までのものを全部活かしています(笑)。その先生、その先生、みんな良いんです。それで治りますし、プラス違う治療法を組み合わせる等、そうすればより良い効果が得られます。例えば、さだまさしが新曲を作りますが、コンサートでは昔の歌も歌います。決して新しい曲ばっかりではない。それと同じなんです。従って治療も良いのは良いから、繰り返す。患者さんに合ったものを行う。という訳でこれまでの治療方法は捨てずに今も行っています。

―かつて竹内先生は、新宿にある鍼灸の専門学校の校長をされていらっしゃいましたが、今も教鞭をとられているのでしょうか?また昔に教えた学生と今鍼灸を学ぼうとされている学生の違い等、感じられていることをお聞かせください。

教えに行っています。月曜日の午前中は按摩の授業で、午後は診断学を教えています。午後、学生は自由に出て良いことになっています。火曜日は夜教えに行っています。水曜日は僕が町田の先生に弟子入りしているので行っています。その先生は柳谷素霊、伊藤瑞凰、齊藤鳳観と続く3代目です。そこに毎週僕は勉強に行っているんです。知りたいし、その先生は実に良く治していますので。

今の学生と昔の学生との違いについては、やはり先輩に対しての礼儀というか、それが出来ていないというのは感じるところです。うちの学校は平均年齢が大体30位から上で、年齢が高い。一応何処かの学校や大学に行ったり勤務等して、それがダメになったか、或いは目標を変えたか何かでこの学校に入って来られますから、僕たちみたいに最初から鍼灸というのではありません。うちの学校は高卒で入ってくるのは本当に一人か二人です。まあ僕が感じる今の子達というのは、根は良い子ばっかりだと思っています。そして学校自体は昔と殆ど変わらないけれども、東洋鍼灸専門学校・素霊学園では、素霊先生と奥様の正子先生を尊敬しています。

―かなりの人数のお弟子さん、またはスタッフの方を雇われておりますが、過去に独立されているお弟子さん及びスタッフの方達は現在治療院を開業されているのでしょうか?

そうですね。けっこうみんな独立して、和歌山や松江、川崎で開業しています。また、開業ではないけれども、どこかの会社と提携して学生達を調整している者もおります。結構みんな夫々に頑張ってやっています。あと群馬でもやっている人間もいますし、大宮で治療している者もいます。開業した人間から連絡は来ます。和歌山が一番頑張っています。

―近年、健康保険組合の返戻問題等多々あり、接骨院の経営が危ぶまれています。そういった関係からも自由診療を行う柔道整復師の方が増えているとお聞きします。竹内先生は、自由診療についてどのように考えていらっしゃいますか?

僕は鍼灸の免許を先に取って治療をしていたけれども、やはり患者さんが少なかった。その頃の接骨院というのは、患者さんがいっぱい来て物凄い。それで僕は柔整学校に行って免許を取って、保険治療と実費の治療をやり始めました。大体半々くらいでしたが、実費のほうが少なかった。それでずっとやって来て、その後に学校の校長になった訳ですが、学校でいろいろ問題があって、そのために僕は治療院には8年間いなかったんです。いま、治療院に戻ってきて6年になりました。

ところが、柔整の勢いがなくなって、特に保険のことです。その理由としては、接骨院がいっぱい出来たこともありますし、保険ではなく鍼灸の実費で行うほうが良い訳です。そういうことで接骨のほうは本当に勢いが無い。岩手県では整骨院が整体院という名前をつけたらダメだとなっています。今は資格の無い整体院が物凄い。それを取り締まる方法を考えています。本当は整体院も人の体を治療するんだから、鍼灸や柔整と同様に国家資格を取れば良いんです。それで僕が校長の時は至る所に電話をかけたり、手紙を出す等して、みんなを学校に入れました。結構、入ってきました。そうすることで、〝私たちは資格のある整体師です〟と言えるようにしようと思っていました。

問題なのは、以前からそうでしたが一人の患者さんに自由診療と保険との二重請求をしている人がおります。つまり僕たちは、保険請求の人と実費の人の治療を行っていますが、二重請求は間違ってもしません。僕たちの所に患者さんが本当に痛くて来られます。早く治すから2回、3回位です。それが返戻になって来るんです。なにしろ誤解を受けやすい。早く治して少ない回数でも戻って来るという。僕は保険の審査会に頼まれて行ってきました。何故返戻や患者調査を行うのかというと、一応出すのが決まりなんだということでした。今後どうなっていくのかちょっと分かりません。ただし、ちゃんと資格があるということを、例えば看板に「〇〇の国家資格あり」と書くと整体院との区別はつくと思います。整体院というのは国家資格を持っていない所ですと決めてしまえば良いんです。あとカイロプラクティックも国家資格の無い所です。それがみんなに知れ渡れば良いんじゃないでしょうか。僕は講演をする時にいつも、例えば〝柔整にかかっていますか?〟〝鍼灸にかかっていますか?〟〝整体は?〟って手を挙げさせるんですが、整体が一番多いんですよ。広告の検討委員会では「整骨院」を止めて全部「接骨院」にするようにと言った話も出ていましたが、それはどうでも良いんです。それよりも「整体院」と「接骨院」の違いを区別すべきです。

―竹内先生は、接骨医学会で度々研究発表をされていらっしゃいますが、今も発表はされていらっしゃいますか?今の学会の認定柔道整復師制度について何かご意見やご助言等ありますか?

最近は発表をしていません。校長を辞めて、その後は必死でやってきましたので。だけど今は当院のスタッフと来年発表をしようとしてデータを集めていますので、今は準備中です。僕は学会の認定柔道整復師でしたが、期限が切れてしまいました。別に学会で指導は行っていませんが、一緒に勉強はしています。国士館にも行って、その先生が丁度群馬県の人で、僕の高校の後輩でしたから、いろいろ実験もさせて頂いて、それを学会で発表もしました。認定柔道整復師の資格を取った先生によっては、いろいろ教えておられるように思います。それで良いのではないでしょうか。

―今後の展望など

冒頭で述べたように、先ず一つは、この治療は何故効くの?というメカニズムを知りたい。それについては、いろいろな所に手紙を出しながらやろうと思っています。例えば、「レインボー療法」において、肺は白、心臓は赤とかありますが、確かにそれを行うと楽になりますから、確実に結果はある訳です。しかし、どうしてその色がそうなるのかということを書こうと思っているんです。また、手の経絡か足の経絡を見て、それでどれが楽になるのかで、テープを貼るんです。結果があるんですから、そういうことをやってみたいと考えています。

竹内 廣尚氏プロフィール

1947年7月、群馬県生まれ。1970年東洋鍼灸専門学校卒業。1975年竹内鍼灸治療院開設。1981年東京医療専門学校柔整科卒業。同年竹内整骨院併設。1981年メディカルトレーナー専門学校講師。東洋鍼灸専門学校助手、同窓会会長、講師を経て、2011年東洋鍼灸専門学校校長に就任。鍼灸師、あん摩・マッサージ・指圧師、柔道整復師、鍼灸あん摩マッサージ教員、柔整専科教員。東洋医学治療法の旅・研究会会長。廣済塾塾長。東洋医学・鍼灸治療について学会・講演会で多数発表を行っている。雑誌『からだサイエンス』に「東洋医学治療法の旅」を連載。東洋医学の治療法と診断法を探求し、次世代の治療家の育成に日々努めている。

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