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JB日本接骨師会最高顧問 本多清二弁護士にインタビュー!

インタビュー 特集

2008年の朝日新聞朝刊報道を契機に柔整改革を掲げ、患者と柔整師の会を設立。その後、患者会議・柔整師会議・保険者会議を全国的に展開し、その開催回数は50回を優に超えている。しかも訪れた全国の保険者数は2000軒を超え、保険者の支持も増え続けている。

その改革運動のリーダーであるJB日本接骨師会最高顧問の本多清二弁護士にこれまでの歩とこれからの方向性について詳しく話していただいた。

柔整の明るい未来を切り拓くために保険者との信頼関係の構築を目指して!

―これまで取り組まれてきたJBさんの活動の経緯をあらためてお聞かせください。

実は、4年前の朝日新聞などによる療養費の疑惑・不正等の請求に関する一連の報道が切っ掛けです。その報道内容に対して、一部そういうことはあるかもしれないが、全部がそうではないということを社会にキチッと説明しなければならない、説明義務を果たさなければと思ったことが始まりでした。

しかし説明義務を果たしただけでは、問題は解決しません。やはり不正或いは疑惑と言われている部分にメスを入れなければなりませんし、そうでなければ柔整師は社会的信用を失って残らないと思いました。ところで、そもそも残さなければならぬ制度なのか、については正直悩みました。悩んだ中で、私が思ったことは医師と違った治療方針で治癒に導く技術を持った職業があっても良いのではないか、医療を全て医師オンリーにしてしまうのは、ちょっと偏り過ぎではないかと。柔道整復師は徒手整復をメインにした医業です。

医師とは治療方針や治療内容が異なる医療サービス機関を残しておくことは社会的に意味があると思ったのです。ポスト工業化社会に入ったといわれている現代日本社会にとって、いくつかの選択のカードが用意されてよいと思います。私自身子どもの頃に柔道と剣道をやっていましたから、その先生が自宅で骨接ぎをされていましたので小さい時から身近に感じていました。また柔道整復師の方達とお会いしていて、少しどこか表情が暗い感じがするんですね。それは何故だろうと?最初にその原因はレントゲンだろうと思いました。柔整師の先生方にとってレントゲンは大事な生命線でしたから、それが撮ってはいけないということで、影で使っていたことが業界全体が暗いイメージにしてしまったのではないかと思います。

もう一点は、療養費の請求について、昔は殆ど問題はなかったんです。ところが15年位前から、療養費の請求内容に疑惑があるとか、不正請求だと騒がれ、何かインチキをしているのではないかと疑われることで柔整師の先生方全員ではないけれども暗くなっている様に見えましたし、これは非常に気の毒だと思いました。しっかり仕事をしていながらそのレセプトが疑わしいと言われるのは、さぞ心外であろうと。その原因は何かなと報道等をずっと見ていて感じたことは、疑惑や不正請求と言われているものには何らかの基準がある訳です。これは疑惑だ、これは不正だ、これは正しいとする、その判断基準は何か。これが昭和11年の厚生省の通達なんです。骨折・脱臼・捻挫・打撲、当時まだ入っていませんでしたが後で挫傷も入ります。この5負傷だけしか認めませんというルールを作られて、それでやって来られた訳ですが、時代の変遷に伴い、5負傷以外の症状のものも柔整師の先生が徒手整復で施術するようになり、それについても療養費で請求するのは、通達に反する訳です。反しないためにこの5負傷の内の負傷名を使って請求せざるを得ない訳で、これらのことが先生方の気持ちを暗くしているのではないかと思いました。

こういったことは、健全な職業としては良くないし、負い目があるのも良くありません。新聞報道の記事を書いた記者に〝君達は不正とか不当という前にそもそもこの基準が正しいのだろうか?という視点で報道したらどうなのか〟と話しました。よく言われることですが、犯罪は法律が作るのです。法律が社会秩序に合わなければ犯罪者が増えるのです。この11年の通達が社会の実情に合わなくなっているのだろうと思いましたし、それを基準にして不正請求だ疑惑だ或いは違法だというのは、気の毒な気がします。

柔整師は食べていかなければなりませんから、言葉は悪いんですが、嘘をつくかたちになってしまいます。嘘をついているというと2つの問題がおきます。1つは、嘘だから嘘をつく原因を表に出して議論することが出来ないため問題の解消ができません。もう1つは、その嘘が通ることで法を守る順法精神が希薄になってしまいます。これは悪いけれども〝上手にやっていけばいいんだ。中身を変えなくても形だけ整えていれば何とかなる〟という風な考え方になってしまったのではないか。そのことで結局、一番困るのは誰かというと、患者なんですね。従ってこの点は患者救済のためにも改革をしなければならないと決心しました。

そういった流れの中で、保険者のお考えをお聞きして、意見交換をさせて頂きながら改革していく必要があることに気がついたのです。何故かというと保険者の方も医学的には素人だから正確に分らないこともあると思います。でもおかしい、この請求はおかしいと思っていても、治療している以上は支払わなければいけないと思って支払っている。実は、おかしいと思って支払っていた訳ですが、経済が良かった時にはあまり問題にしていなかった。近年、経済が停滞し始めてから、この問題は目立つようになった。柔整師の不正請求が多くなったから言いだしたのではなく、経済的に困ってきたので、よくみたらおかしいということが分って、今大きな問題に発展してしまった訳です。それをどうやって改革していくかというのが、我々が提示している『柔道整復師施術療養費請求・受領委任払制度運用改善方策案』です。

―保険者のメリットは柔整のデメリット、柔整のメリットは即ち保険者のデメリットで相関関係にあると思いますが、それらを超える業界の浄化作用について弁護士の立場から意見をお聞かせください。

私はメリット・デメリットという議論は考えていません。それよりも療養費の受領委任という現物給付に近い扱いをされている訳ですが、それは国民医療として、どうなんだろうかと考えると、大変良いことだと思っているんです。貧富の差なく誰でもが同じ治療を受けられるということは非常に良いことです。しかし、それは柔整師にも患者にも良いことだけど、保険者にも良いことなんです。もしこれがなかったら、徒手整復をやられる医師が少なく、整形外科にかかると医療費が柔整師のそれよりも高い。保険者にとっても柔整治療に対し現物給付に近い形で支払うことは決して悪い話ではない。関係的には全部良い話で誰にもデメリットはないんですよ。従って、この現物給付扱いにどういう機能を持たせるかということを考えたら良い訳です。

現物給付ということは、負担は軽く何所へ行って誰に受けても同じ質の医療サービスが受けられる、均一な治療を行なわせるのが現物給付の狙い目です。自由診療の場合はそうはいかないけれども、保険医療というのは枠をはめることで、一定の水準を保つ役目を持っているのです。現物給付に近い療養費の受領委任払いを認めるということは、柔整師の先生方の治療をある程度均質化させるという狙いもある訳です。そういうことでこの制度は患者さんにとっても良いし、勿論柔整師もプライドを持って仕事が出来ます。

そこで我々が考えたことは、浄化するのではなく、施術力の水準を均質化する役割をもっと強化すべきではないかと。保険者さんにとっても患者さんにとってもみんなに良いように、何所に行っても同じ水準の治療を受けられる、その水準に達しない人はこの業界から去っていただく、そういう意味での浄化はありますが、浄化が先にくるのではなく、先ず柔整師の先生方の施術力の均質化を、この『柔道整復師施術療養費請求・受領委任払制度運用改善方策』で達成することで、整復師は素晴らしい職業として社会的に誇れるようになると思っています。

ところで、療養費を請求する側の柔整師さんと、支払う側の保険者さんは殆どコミュニケーションが無いと分って、これは驚きでした。コミュニケーションがないというよりも敵対的なんですね。敵対的だということは大変不幸なことで、何故そういうことになっているのか。これも昭和11年の通達が今日の社会に適応しないまま残っていることが原因であると思われます。実は保険者の担当の方、特に女性が窓口だった場合、柔整師からの問合せ態度が悪く、怖い、二度と口をききたくないという拒否反応を起こしているんです。これを修復するのは大変でした。電話は殆ど断られましたし、改革案の理念を話すよりも先ずコミュニケーションができるような人間関係を作り上げることに随分時間をとられましたが、まだまだ十分とは言えません。

しかしながら、たとえ嫌なことでも問題点を表に出さないと今度の改革はできません。表に出さないと何も解決しません。そして問題点を出すには出し方があります。初めから認めろと言うのでは拒絶反応を起こされますので、予め改革案を出して、この改革をするから、これを認めて欲しいと。支払機構を作って保険者さんの審査に使う労力を少しでもお手伝いしましょうという形で玄関に入っていきました。保険者さんも〝それは良いことですね〟と段々理解を示してくださって大体3つの反応を示されました。1つは〝法律があるからダメです〟。もう1つは、〝関係ない、どっちでもいいですよ〟と、あまり関心を持たない人。あと1つは〝適正に行ってくれるのであれば良いんじゃないですか〟と。3通り意見がありまして、少し勇気をもらいました。

5負傷以外の類似負傷についてグレーゾーンといわれているものを、合理化していく方向で保険者さんと議論しながら保険者さんの知恵を借りてルールを作ればやれるかなと。これは私が机で考えてもダメなんで、試案は、当事者と現場で議論しながら、一緒に作らなければダメなんですね。その時に何故5負傷以外はいけないんですかと聞くと、不正請求・過剰請求に結びつくからという言い方で、5負傷以外を施術することがいけないのではなく、5負傷以外を認めると過剰請求や不正請求、或いは濃厚請求が増えると思っているという風に問題点が分かってきました。

ルール化するにあたって徒手整復というのは、慰安マッサージと似ているというか区分がつきにくい。専門家の方達には区分があるんでしょうけど、その区分をどうつければいいのかというのは私達素人には分からない。これは柔整師さんに聞いたほうがいいということで、柔道整復師の先生達と「捻挫とは何か」「挫傷とは何か」について勉強会を開いてディスカッションしました。一方では保険者と話し、片方では柔整師さんの実際の治療について話し合いました。それで今提案していることは、例えば膝に変形があって、その変形がある症状を出現させた場合、変形を治さずに徒手整復で症状を緩和させることが可能で、痛みや機能障害に治療を施すというならば、慰安行為とはっきり区別ができる訳です。

また、柔整師の先生は「亜急性」という言葉をよく使われますが、亜急性期、慢性期というように時間の経過でみた場合は分かりやすいけれども、「期」を外して亜急性というのは、実態が掴めない。言葉からある実態やイメージが沸かないというのはダメなんですね。言葉を使ってある程度実態が分かるから共感したり、反論したりできるのです。彼らが言うところの亜急性をよく聞いてみると繰り返し同じ動作をしているとそこに何らかの器質の変化が出てそれが機能障害を出現させたり痛みを出現させる。そういうところを押さえていくと、カルテの書き方が変わってくるんです。こういう動作を繰り返してきたことによって、何時頃からこういう症状が出現したと。こういうことでこの試案は作られています。

明らかな新鮮な外傷の場合は除いて、それ以外の負傷を我々は類似負傷と仮に呼んで、類似負傷の意味は、関節や骨に変形があって、この変形から出てきた運動機能の障害や痛み、或いは反復継続で起きてくる運動器の障害や痛み等、こういうものについてだけ認めてほしいと。何所に変形があるということを書かなければいけませんからチェックしやすい。そういう人は診断、キチンとした所見ができて、しっかり治療も行っているということで施術力は向上すると思います。

これまでずっと保険者から疑われてきたことをある程度払拭させて、一個一個積み上げていく。こういう議論を交わしている内に大変な問題にぶつかりました。今我々は超高齢化社会といっていますが、その言葉には高齢労働者社会と所謂高齢社会の2つあって、実際は労働力が高齢化している社会で、昔では考えられませんが70歳以上でも働いている人が多い。結局、そういう人達が働くことはやはり慢性的な症状を持つことになります。転んだりする以外にも運動器系に限った慢性的な疾病や負傷に対して、この国は本格的な治療体系を作っていません。

その解決の一つの方策として柔整師を活用するということが大いにあって良いのではないかと。そういう慢性的な疾患をかかえている人というのはほとんど治りませんし、治すことが出来ません。そういう方々が普通の生活を営むのに痛みや機能障害の緩和治療を行うという、その業務に柔整師の活用は有効です。この費用を療養費受領委任払いの中で一部使わしてもらえないかということも提案しているのです。とにかく高齢労働者というのは安く雇用されていますから、その方達が自費で治療を受けるというのは大変なことです。毎日痛みがあって、治療を続けることで生活出来ている訳で、やはりこれは公的な資金である程度面倒をみてあげるのが良いし、放っておいたらもっと悪くなってしまう。つまり悪化防止なんですね。そのような慢性的な外傷について、さしあたって新しい基準が無いものだから、2部位だけを料金化し、生涯治療を認めていこうと。何部位やっても2部位であると。部位変更なんかしない。分かりやすいということはとても大事なことで、何故かというと患者さんが施術を受ける前から、治療はこういう風にやってもらえると事前に分かることが一番いいんです。

しかも審査のほうも非常に分りやすいから、審査に負担がかからない。柔整の先生方には慰安行為ではないことを自覚してもらいたい。3か月以上かかって治療をする場合、治療計画書を作成して提出頂く。それを見ながら、この治療は本当に効果があるのかないのか。効果のない治療を繰り返しても意味がないため効果がなければ、他所にかかる。そういう意味で治療効果を検証していくことも可能です。保険者にそういう話をしましたら、よく分ると言って頂きました。

―多くの保険者の方がJBさんの取組みを評価されるようになってきていると思います。しかしながらやはり賛同される方の中でも多くの方は、JBさんだけではなく日整さんが一緒にやってくれなければ動きようがないということも言われております。そういった努力を積み重ねてこられた結果であると思いますが、今のこういった状況を更に一歩進めるためにどのようなお考えをお持ちでしょうか?

仰る通り、そういう風に言われる方が多く、JBというのは1000名ちょっとしか会員がおりませんから、改革の実行性があるのかと。そういう意味で、JBさんだけではなく、日整さんや他団体或いは個人請求の方も取り込むようなうねりで運動をやらなければいけないのではないかというご指摘は当初からありました。しかし業界がばらばらになっている今日の様な状態で全部を纏めることは、私にはとてもそんなパワーありませんし、それは私の本音です。従って、どういう仕組みや枠組みを作ったら纏まるのだろうかということを考えれば良い訳で、それには保険者さんの協力が不可欠であると思いました。間違い易いのですが、これは柔整の制度改革に止まるものではなく、療養費受領委任払いという医療保険の改革の意味もあるんです。保険者も一緒になってこの改革に当事者として入ってくれなければ出来ません。私は保険者との話し合いで、傍観されているのではなく、貴方達も入ってきて下さいとお願いしました。そういう意味で、もしそういうことが出来れば、纏める方向性を示すことが出来るのではないかと話しました。

あと1つ大事なことは、やはり柔道整復師の先生方に共通の認識を持ってもらわなければいけません。共通の危機意識を持ってもらいたい、そのためには業界全体に向けていろんな情報を発信し続けることで力を結集できる方向に行くんじゃないかと思っています。そうなってくるとやはり大きな問題は、一番伝統的な団体である日整さんと私共との間でどういう連携プレイが可能かということになると思います。しかし、ここが中々難しいんですね。

―新しい執行部が誕生されましたが…

期待しています。ただ、大きな組織ですから、中々直ぐに動け無いというところもあるのかもしれませんし、日整さんは、各都道府県の連合団体ですから、各県夫々の考え方で動いている部分もあるのではないかと思います。どういうコミュニケーションを交わすのかいろいろ考えなくてはいけませんが、私共の考えていることをしっかりお伝えして、その情報が中央に流れるというのも一つの選択肢です。

勿論、それだから工藤会長とお話しないということでは全くありません。まずは今、各県に職員の伊藤さんが行って話をさせて頂いています。各県社団の方々とこの案を突き合わせて、ご指導を受けて、直すところは直して使い勝手のいいものを作りあげていくという考えで既に取り組んでいるところです。今は上から下部組織におろすといった時代ではなく地方分権の時代です。やはり其処で生きている方達からのいろんな意見をお聞きしていく中で現場の声を反映した構造的に強いものを構築したいと思っています。ただし外傷性による慢性負傷に対して柔道整復師の治療とは何なのかが見えにくい。それでガイドラインを作ろうということで今ガイドライン委員会を立ち上げて、12月に入って第1回目を開く予定です。

そこでやろうとしていることは、先ずガイドラインって何だろうというところから始めて、ガイドラインには〝こういうことをすべきだというガイドライン〟と〝こういうことをしたらいけないというガイドライン〟の2つあると思うんです。治療法というのは多種多様で、こうすべきだというのが中々出来ません。しかし、これをやっちゃいけない、これは意味がないというのは既に分っていますから其処を押さえていこうと。慢性負傷に対して、やってはいけないものを提示していって、外堀を埋めていくという形で、そうすると使い勝手が非常に良いものになる。後は、こういう方法が望ましいという形で作っていく。そういうものを作り上げるだけでも随分違います。作ってからみんなに知らせるのではなく、作る過程が大事です。草稿が出来たところで、みんなに見て頂いて、多くの意見を頂く。

全国の柔整師さん、日整さんの会員のなかに学問的に優れた方にもご協力頂いて今やろうとしています。ホームページで流して、日整や各団体にも伝えます。返事がいただけるところといただけない所など温度差はあると思いますが、それでも其処から出発すれば、形が生まれます。そうすることで保険者の方々も安心して参加してきてくださると思っています。スケジュール的には来年の6月頃までにやり遂げたいなと。

―デンソー健康保険組合常勤顧問の赤塚氏は公的な審査支払機関の設置を強く望まれていらっしゃいましたが、これは多くの保険者を代表する意見と思いますが、如何でしょうか?

公的な機関を創るのが一番良いと分っていますが、公的に創ることはやはり難しくハードルが高い。そもそも療養費というのはそういうものではありません。受領委任払いという法律ではない通達で行っているものに対し、其処に公的なものを乗せるということは大変重いものを乗せることになると私は考えます。従って、公的なものをということについての解釈として、少なくとも業界だけではダメだという意味で解りますし、民間で創っても社会に通用しないというご指摘は、ごもっともです。しかし国或いは都道府県に作ってもらおうというのは、これは予算がありませんし、今の財政状況では難しい。公的色彩のある機関を作りなさいというのであれば、我々が公的色彩のあるものを作れば良い訳で、それは第三者機関によるものとして捉えたい。

私共が考えているのはその第三者機関方式で、人的構成は保険者のOBの方、柔整師、学識経験者との3者構成で運営して頂くことになります。審査については最新のソフトを使用してコンピュータによる自動審査を行う方法です。その実験をこの11月から行っています。本当に出来るのか先ずやってみて、実際いろんな所にデコボコが出ると思いますが其処は均して、それを6月までにと思っています。赤坂氏が仰られている公的な審査というのは私共では第三者機関的なもので運営しいくという形になります。

―また赤塚氏は柔整の施術は必要ですが、不必要な施術が問題なんですと仰られていましたが、不必要な施術と必要な施術の区分けはどのようにされるべきでしょうか?JBさんとしては、今後どのように説明、あるいは証明していこうとされているのかをお聞かせください?

やってはいけないことや無理なものを外していくと輪郭が見えてきます。又、不必要なものはやってはいけないことに繋がります。それらを業界共通の事項にしていきたい。そのためには多くの先生方からご意見を賜り作る過程及びやっていくことが大事です。そういった環境が整っているということは、良い意味でも悪い意味でもこれまでの活動内容を文書に記録したからです。口頭で話すだけではなく、文書化してそれを公開したことで、大きな信頼を得ることが出来たように思っています。そういうことでこれからもガイドラインを作成し、みんなの前でオープンにします。記録に残して何所にでも提示していく、そういう公的な方法で完成を目指したいと思っています。

―11月からスタートされたそうですが、これに関して現時点で皆さんにお伝えしたいことがありましたら。

本年11月より約1年間、接骨医療臨床研修所付属のJB接骨院から『類似負傷用施術内容情報書』を添付した新しい形でレセプトを保険者に提出し検証を行なうための第一段階がスタートしました。現在、いろいろ反応が出ています。やはり類似負傷に対する反応で〝良いんじゃない、類似負傷をそのまま認めるのではなくこういう形で情報を提供してくれれば、審査もしやすいし、公正な審査が出来るんじゃないの?〟という言い方をされる保険者さんが多い。これからが正念場です。JB接骨院のレセプトからの情報で信頼を得ることが出来れば、皆さんもこういう方式でやっていただければ今までの疑惑はなくなっていくと思います。この内容について必ず皆さんに公開して、その中でまた不都合なところは是正していきましょうということで、今それを一生懸命やっているところです。

―どこにも所属しない個人請求の柔道整復師の方達が増えていることで、保険者さんの手続きが煩雑になって大変な作業を肩代わりしていくといったことも目的の1つにあると思いますが、その様な全く組織に属さない方々を登録手続きさせるような方策は何か考えていらっしゃるのでしょうか?

ある団体に入れるということは不可能です。これは柔道整復師の世界ばかりではありません。どこの世界でもそうで、医師もそうです。医師会に入っていない人は大勢います。今はどこかに所属していなければ不安な社会ではなく、ポスト工業化社会とも言われているように、各人が自由に選択する社会です。そういう意味からも団体に所属しないことは悪いことだと捉えるのではなく、団体に所属しないことを一つの選択肢と思っていただくと良い訳です。

団体の規律が柔道整復師の規律であるという時代は終わって、団体を外して直接的に規律する仕組みを作るべきで、その規律を作るにはどうしたら良いかというのが登録制です。登録をすることによって規律の枠に入ります。登録者はレセプトを提出できる訳です。一方、非登録者はどうするかというと、保険者さんが登録して下さいとは言えません。登録することは自由です。登録をしなくてもいいから、少なくともこの審査機構から提出されてくるレセプトと同程度の情報量を記載してレセプトを出してくださいということは言えると思います。

従って、私共審査支払機構のノウハウを利用して個人でやられても良い。それはどちらでも自由で良いのではないでしょうか。結局、審査支払機構はどのような役目をするかというと、審査という名前を使うのは日本語としてふさわしくないかもしれませんが、どれだけの情報をこの審査機構で集めるかということです。診療情報ないし請求情報を私共の審査機構で、集約、一括管理、精査して保険者さんに提供します。やはり審査は保険者が行う訳です。我々は保険者さんの審査権を奪う気は毛頭ありません。どんな情報がいいかということは保険者さんよりも私達が一番よく知っているのですから、私達がやりましょうと。こちらが求めている情報が過不足なく記載されているかについて審査をします。それを書けないということは本当の施術はしていないんです。少し柔整師の先生にご負担をかけるかもしれませんが、本当の施術をしていれば書けるんです。この請求は情報不足であるという指摘や意見を付して保険者に出します。保険者さんはその意見を参考にして支給するかしないかを決めることになります。私共で返戻するのは情報不足だけです。患者照会は我々でやりましょう。今、民間会社が行っていることを我々がやりましょうということを提案しているんです。

何故かというと、これまで患者照会で、柔整師と患者さんの信頼関係は崩れ始めています。信頼関係を保持していかないと良い治療は出来ません。何でも全て患者照会を行うではなく、疑義のあるものに限って照会します。勿論、施術所にも照会しますが疑義のあるものだけですから多くは無い。今、患者照会が機能しているかというと、最近被保険者も馴れてきて、返事が来なかったり、返事がきても聞きたい情報が書かれていないなど、あまり機能していないので、保険者さんも困っているのです。それで、我々が行えばちゃんと機能したものを作りますとなったんですね。

―最後に「柔道整復師施術療養費請求・受領委任払制度運用改善方策案」について最も知っていただきたいことをご説明ください。

まず支払機構は第三者機関であり、柔整師だけの思惑でやるのではないということです。運営費用は療養費の手数料で賄って、出来るだけその費用で運営します。決して、保険者に負担をおかけするものではありません。また、保険者の審査権を侵害しないために、情報収集に徹するということです。そして基準を見直すために保険者との協議会を、年に1回は開くとしています。支払機構は全国に1つしか作らないのですかという意見もありますが、それはご自由です。どれがより良いかということは保険者さんが思われることですし、1つ作ったから、他がやって悪いということでは決してありません。我々が作ったらそれを真似してもっと良いものを作っていただければ良いと思っています。

―今後の抱負などお聞かせください。

1つは慢性疾患ばかりではなく、柔整師の治療のガイドラインを負傷別でいっぱい作っていきたいと考えています。もう1つは、柔整師に類似している業種、整体やカイロなど結構あります。今は放置されておりますが、緩やかな枠組みを作りたいと思っています。その中で看板、宣伝等についてのコントロールもしていきたい。あと1つはこの業界を束ねていく意味で、業界がどういう方向で歩んでいくのかを認識できてトータルに行動できるようなことを伝えられる通信システムを作りたいと思っています。 あと1つ最後に、今は学会がいっぱいありますが、学会同士の連携が殆どありません。例えば半年に1回は合同で学会を開催するなど、研究成果を発表したり学術的な結合を可能にするための人的交流の場を作っていきたい。今JBでは、それを呼び掛けております。

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