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スペシャルインタビュー:瑞穂町長 杉浦裕之氏

インタビュー 特集

瑞穂町の人口は約3万3千人(平成30年11月現在)、総面積は16.8平方km。緑豊かで美しい長閑な景色が広がる瑞穂町の背後には、トトロの森と呼ばれる狭山丘陵と横田基地をひかえている。そんな瑞穂町のシクラメンは都内最大の生産量を誇り、また工業製品の出荷額は都内第5位の工業地帯でもある。
その瑞穂町を任せられた杉浦町長は百戦錬磨の行政マンである。鋭い視点で、いま現在から未来までを大きく捉え、今後の大枠のプランは既に出来ている。時代のニーズを的確に捉えることが出来るのも、杉浦町長自身が瑞穂という町を他のどこよりも愛し、地域住民に寄り添い健康と幸せを願う強い信念を持っている人物だからである。
杉浦町長にまちづくりへの思いをわかりやすく話して頂いた。

瑞穂町の地域性をしっかり捉え地域の資源を有効活用しながら住民みんなが幸せになるまちづくりを目指します!

瑞穂町長 杉浦裕之氏

瑞穂町長
杉浦 裕之   氏

―日本の社会保障制度について杉浦町長のお考えや思いを聞かせてください。

日本全体で見ると社会保障制度というのは、戦後日本人がこうあれば良いと思ってきた道ですから決して間違いではないと思います。ただ、これから高齢者が増えていく中でどうやって社会保障制度を維持していくのかということがとても問題になっています。中でも根幹になるのが、やはり医療保険制度であり、被用者保険と国民健康保険の、大きく2つです。地方行政としては、国民健康保険を扱う訳ですが、内情を見てみますと今まで国民健康保険は各市町村、それぞれの自治体で経営するのが建前で、これまで瑞穂町は赤字補填をなるべく高く維持してきた経緯があります。個人負担が可能な範囲内に抑えるよう努力をしてきましたが、それを行っているとどんどん赤字が増えていくことになり、国民健康保険の赤字が膨らめば膨らむほど各自治体で医療体制を維持できなくなるということで、財政の安定化を図るために都道府県一括になりました。

しかしながら、例えば東京都は、区部と市町村部では運営が違います。区部は一律で行っておりますが、市町村部ではそれぞれが行います。また保険料は区部のほうが高い。従って、それを合わせない限り東京都全体では運営出来ないことになってしまいます。瑞穂町は毎年個人の負担率を少しずつ上げておりまして、それはどんな時でも緩めないのです。一度に増やしてしまえば、皆さんとても負担に感じますし、増やさなければ運営出来ないことになりますから、必ず年間3%前後高めてきています。そうしなければやはり所得の低い方やお年寄りを担いきれないのです。また赤字補填をした結果、余ったお金をどうするのかが問題で、医療、介護、予防の関係にどれ位お金が使えるかみたいな話になってきます。全体的に大きなところを見逃してしまうと経営を誤まることになりかねません。つまり、地域性をしっかり掴まえないと何をやっても無駄になってしまいます。

一律でやらなければいけないものとその地域に合わせて変えなければいけないものが必ずありますので、そこのところはしっかり見極めていくことが大事です。今のこういう状況になることを、実は私は職員上がりで約40年行政に携わっており、福祉課に居た若い頃から既に見えていました。厚生労働省もその頃から動き始めて制度改革を行っておりますが、スピードがあまりにも遅い。しかも厚生労働省が一度決めてしまうとその枠から外れることが出来ないため、それを推進していると地域では不具合なことが起きてしまうこともあり、見えないところがいっぱいありますので、そこをどうやってつなげていくかという話なんですね。

―人口減少社会に突入しました。超高齢化の進展と少子化に対する瑞穂町の取組みを教えてください。

私がちょっと違うなと感じていることが1つあります。それは「人口減少」と「少子高齢化」は、切っても切り離せない現象ではありますが、そういった現象のどういう所に視点を置くかで少し異なってきます。「人口減少」というとみんなの頭の中に浮かぶのは〝労働人口が減る〟〝GDPが減る〟そうなれば〝消費が減る〟と、みんな経済的な面で捉えています。しかし、大元の原因である「超少子高齢化」というと問題がもっと身近に見えてくるのです。つまり、関連はしているけれども、その見え方が全然異なるということです。

現在、瑞穂町の高齢化率は、28%位ですが、2040年辺りには何もしなければ40%前後までいくだろうと予測されています。半分近い方が高齢者になってしまうということは、これはもう異常事態ですから、何とか乗り切らなければなりませんが、もう防ぐことは出来ないでしょう。従って乗り切るには、どうするかという話です。「超少子高齢化」と1つの言葉になっていますが「少子化」と「高齢化」において同じことが起きているかというと、子どもが少ないということと老人が多くなるということは、意味は全然違います。何故言葉で一緒になるのかと、私はずっと考えておりました。出てくる現象は全く同じで、子どもが少なくなって、地域に子ども達、同世代の子どもが居なくなる。保護者も同世代の人たちが居なくなる。そうすると孤立化が始まるのです。

瑞穂町では、孤立化と孤独化は同じであると捉え、孤立イコール孤独です。防ぐことは難しいと思いますが、どうやって見守るのかや相談体制はどうするのかを考えなければいけないと思います。瑞穂町には、各地区に老人会がありまして、子ども達や高齢者にもっともっと声かけをしてくださいということで見守り活動に補助金を出して、見守り体制をみんなで作り上げていこうと考えています。それをやらないと子ども達やお年寄りへの見守る目が無くなってしまいます。もう1つ子ども達の話ですが、今まで子ども達に点で関わってきた行政をなんとか線でつなげられないかと考えました。つまり、生まれると役所に届けて戸籍や住民票を作って、予防接種等を受けるために福祉課に行って、学校に上がる時には教育委員会に行く等、あまりにも点で関わっていることが多い。それを一貫して子ども達の情報をつなげられないか、生まれた時から18歳位まで一貫して子どもに関わっていく体制をとりたいとして「子育て応援課」という特別な課を作りました。あと1つは、待機児童の問題です。政府がお父さんお母さんに〝働いてください〟としている中で、発生する問題は〝子どもはどうするの?〟という話になります。従って、需要は減らないであろうと見ています。例えば行政が保育園を作るとなれば莫大なお金がかかりますので、柔軟に対応していく必要があり、民間の方達ともいろいろ話しをしながら進めております。

―繰り返しになりますが、待機児童対策についてもう少し教えてください。また女性の雇用対策や働き方改革などについ杉浦町長のお考えを教えてください。

平成24年度まで瑞穂町の待機児はゼロでした。それ以降少しずつ増えてきまして、平成30年11月現在で待機児童21名となっています。0歳児が8人、1歳児が8人で、年齢が低いほうが待機児童が多いということは、0歳児、1歳児、2歳児の預かる所が少ないということで、それだけ人手がかかり、お金もかかりますから、中々民間の方も手を出し難いという面がありますが、それを解消したいと思っております。行政は子どもの親代わりは出来ません。中でも一番心配なのは、病児・病後児で、病気になった時にお母さんかお父さんのどちらかが子どもの傍に居られる社会を作らなければダメなんです。子ども達が一番安心するのはお父さんやお母さんが傍に居てくれて、体が辛い時に〝大丈夫?〟って言ってくれるのがとても安心出来ますので、その時くらいは家に帰してあげられる社会を築かなければダメです。病後児については行政は取り組むことがいっぱいあります。また、行政が保育を行うのは限界が来ていますので、企業自体が保育を開始しないと中々解消しないと思っています。中小の企業が集まって、少しずつお金を出し合って保育園を作るという取り組みが行われており、行政はその経営を支援しましょうという形を少しずつ増やしていかないと待機児は無くならないと思っています。企業は働く人たちのためにも、一緒に考えて頂ければと思います。

女性が輝く社会や働き方改革についてですが、私はもう30年位男女参画の仕事に関わっています。つまり、子どもを産めるのは女性しか居ないということを男が認識していないのです。それを分かっていないものだから、子どもが生まれると〝子どもの世話は頼んだよ〟と、男は言いますし、それが当たり前だという社会に未だなっています。女性が自分自身を生きられて、しかも社会の中でいろいろ考えて自分の子どもをちゃんと育てられるような、それに男もちゃんと関わっていくという社会にしなければいけないとずっと思っています。政府は労働人口が減ってきていることや女性が働くと生産性が上がるため〝女性に働いてください〟と推奨している訳ですが、それには〝今までと違う社会を目指す〟というところがとても大事で、そういうことを忘れてはいけないと思っています。

―近年、社会保障費の財源が苦しくなっていることに加えて、高齢社会で医療費も介護費も大変な増加が見込まれ、それに伴い在宅ケアを含め包括型の医療ケアシステムの構築が求められております。瑞穂町で現在取り組まれている地域包括ケアシステムの構築状況についてお聞かせください。

以前よりは進んでいると思いますが、社会的に求められているように全部が上手く連携しているかというと、決してそうではないだろうと思います。医療でいいますと、二次医療圏に青梅市立病院がありますが、福生市・羽村市・瑞穂町で「福生病院」を経営しています。みんなが一緒になってやったほうが良いだろうという発想です。医療との連携もそうですが、買い物等についても広域的な連携を積み上げましょうとしています。1つだけ違うところは、「予防」です。地域包括ケアシステムの中で唯一地方自治体が独自性を出せるところは「予防」で、自治体の状況によって少しずつ取り組みが違うと思いますが、いま瑞穂町では保健行政に特に力を入れています。何故、保険行政に力を入れるかというと、いろんなデータベースを実際に取り寄せて、お年寄りが一番困るのは何だろうと調べてみたところ「人工透析」でした。次に「人工透析」は何故起きるのかという視点で調べていくと生活習慣病にまで行きついてしまいました。そういうことが分かってきましたので、なんとか其処までいかないようにしましょうということで、その地域毎に合った特性を捉えようと話をしています。

―地域包括支援センターの力量差が言われており、地域力が弱くなっている現在、「互助」による支援体制が機能する可能性についてもお聞かせください。

実は、町内会や自治会の加入率がすごく下がっています。また既存の支援団体等では構成員の方がどんどん減っています。どういう所が増えているかというと、趣味のサークルやスポーツ人口で、コミュニティ形成が今までとは異なって来ています。そういうところをしっかり捉えなければいけないのですが、スポーツをやっている人が地域に目を向けてくれるかというと中々そうはいきません。高齢者を中心に「地域包括支援センター」があり、子育て世代に向けた「子育て包括支援センター」を既に作って稼働していますが、互助関係が薄れてきておりますので、もう一度見直す必要がありますし、今は過渡期だと思います。子ども達やお年寄りの暴力問題が少なからずありますが、結局〝いざという時に何所に頼れるか?〟ということです。最も地域のつながりが必要なのは、地震や大雨です。〝その時に貴方が行政のほうに言ってきても行政は身動きとれませんよ〟とはっきり伝えています。〝ですから普段からのご近所付き合いが大事なんですよ〟と話しています。他の地域よりも瑞穂町は町内会・自治会の構成率が高かったと思いますが、今それが落ちてきて、やっと皆さんの目の前に現実が迫って来ていると思います。若い人たちが必ず言うのは、例えば町内会・自治会に入る時に〝何かメリットがあるの?〟と。はっきり言ってメリット・デメリットの世界ではないのです。自分たちでこの地域をどうするのかを考えることが地方自治であり、そのために地縁団体がある訳で、それを忘れてしまって〝私に何の得があるの?〟という話になってしまうと〝個人的には何もありません〟となり〝じゃ入りません〟となってしまうのです。しかし、何かあったらどうするのか?地震があった時に、あそこの家にお年寄りが居るということを分かっているから、みんなが助けに行ったりする訳で、その縁を切ってしまうと何も分からないことになります。個人で生活の質を守ることは出来ません。お金がなくなれば生活の質は必ず劣化します。自分の町を担う、守っていくんだという若い人を育成することも地方自治体の大きな使命です。少なからず若い人たちで考えてくれている人たちもおりますので、今後一生懸命やってくれるだろうと実は期待しています。

―介護の人材不足、在宅系看護師不足等、人材が不足していると聞きます。瑞穂町において、人材は足りているのでしょうか。また人材を育成するための取組みについても教えてください。

やはり人材不足は言われております。これまで厚生労働省に〝賃金体系を考えてください〟とお願いしています。例えば、東京都内で賃金をいろんな風に設定するのは無理があります。瑞穂町は3%ですが、何故3%なんですか?と。人材は20%の所に行くという話になります。つまり地域性をしっかり見て〝差をつけてしまうと、機能しません〟と話しています。一方、多摩地域に出来るだけ介護施設を作ろうとする動きがありますが、〝作っても働く人が居ませんから、それは無理です〟という話もしています。しかも、何故か勘違いしているところがありまして、福祉関係だから賃金が安くても良いと思ったら大間違いです。一番大変な仕事をしている人達がもっと評価されなければなりませんし、介護保険の地域手当が低いと他の保育士等までが賃金が低くなってしまいます。そういう影響が出てしまいますので〝上乗せしてほしい〟ということを再三にわたってお願いしています。

人材育成に関しては、必要な資格取得のための支援を幾つも行っています。また介護職の方が移動したり退職されてしまったがためにその職場の働き手がいなくなってしまうことはあってはならないことです。それを補うための人材を確保することが大事で、補助金を出したり、講座を開いたりして育成を行っております。その他にも瑞穂町では介護人材とは別に、30歳位までの若い人が海外留学をして自分の技術を磨く時に補助金を出しています。150万円を支給限度としています。基金を作って運営し審査を行っています。これまでに音楽家やバレーをやっている人、経済学をやっている人等、若者を送りだして、自分の技術を磨いてくださいという支援をしており、若い人たちが羽ばたくような政策をとりたいと思っております。

―やはり、医療のいきづまりといいますか、今後は治す医療ではなく、生活支援型の医療を目指すといわれているお医者様も多くいらっしゃいます。生活支援、QOLの向上をはかっていくことは今後重要になっていくと思います。瑞穂町でも健康教室、転倒予防教室、町民ウオーキング等、予防医療の取り組み並びに様々な取り組みをされていることが分ります。たとえば転倒予防教室などはどのような方を対象に行われ、その指導者はどうやって選ばれているのでしょうか?よろしければ教えてください。

他の市町村でもやっていると思いますが、各地にいろんな講座や教室がありますし、介護予防教室もあります。介護予防リーダー育成のための養成講座も行っており、40代~80代までの幅広い層の方達が地域で活躍できるような対策をとっています。保健師を増やして、転倒予防やロコモティブシンドロームをどうやろうかとして動いてもらっています。瑞穂町は目標だけを定めて、そのための道筋は保健師さん自身で考えてくださいとしています。細かく全部決めてしまうと保健師さんは動き難いので〝自分たちで道筋をひいてください、それについては全面的にバックアップします〟と。保健師のリーダーを中心に、介護予防のリーダーと一般的な健康を保つリーダーが一緒になって動いてもらっています。

―昨今、地球規模で大災害が多発しています。瑞穂町の防災計画等について教えてください。

瑞穂町で一番懸念していのは、大雨です。2,3年前に1時間120ミリの集中豪雨がありました。その時に町中の道路が冠水しまして、私も〝危ない〟と思って現場の確認に出たところ、逆に今度は戻れなくなってしまって、車の中で指示を出した経験があります。また瑞穂町は立川断層が通っており、確率的には後2000年近く大きな地震は起きないだろうとされていますが、断層が通っていることは間違いありません。また直下型地震が起こると言われておりますし、東南海沖地震も迫っていると思います。防災をなんとかしたい、危機管理体制を強めようということで「危機管理官」を設置しました。陸上自衛隊を退官された方を起用して連携しながら取り組んでいるところです。何が起きるのかは地形によって違ってきますので、そういうことも含めて地域オーダーメイドで防災計画の見直しを開始しています。当然防災教育も行いますが、既に住民の方達が動いてくれています。

各地域毎に防災組織がありまして、これは町内会とは別にそれぞれが訓練を開始したり、防災の運動会など、いろいろ工夫して防災活動を行っています。そういう動きは非常に有難いと思っています。「防災体制の確立」は私の政治目標の1つでもあり、今新庁舎を建設中ですが、たとえ断層が動いたとしても絶対壊れないようにということで、特殊な最新の耐震装置をつけて建てています。それについてはお金がかかってもやらざるを得ません。結局、本部が壊れてしまうと司令塔が無くなってしまいます。更に、どうやれば情報収集出来るか、本部が立ち上がった時に上手く連携をはかれるようにということで、国交省、東京都、警察・消防と連携を取り始めています。他には、東日本の時に10日間位食糧の供給が滞ったのを経験していますので、防災の食糧品を備蓄しなければなりません。

中でも「アレルギー対応食」が足りないため、しっかり集めて欲しいということで開始しています。いま瑞穂町の中でアレルギーを持った子が小中学生だけで200名位おり、災害時にその子達が何も食べられない状況が発生してしまいます。新しい庁舎が建ったならば、「アレルギー対応食」を一括して庁舎に集めてくれと指示しています。また、様々な医療器具を使って生活している人もおりますので、そういう方達への対応としては、広域的に、例えばゴミの焼却場では24時間態勢で燃やして発電しています。その電気を生命維持装置を使っている人達に使えないかという検討に入っています。

―柔道整復は阪神淡路の大震災、2011年の東日本大震災時においても、その後の熊本地震等でも活躍してきました。また柔道整復は、高度診断機器、薬物を用いることなく救護にあたれる医療職種です。古来から地域医療を支えてきた柔道整復師は、骨接ぎ・接骨院の先生として地域住民の方々に親しまれ、スポーツ現場でもスポーツトレーナーとしてアスリートの怪我やパフォーマンスの向上に役立つ指導を行ってきました。今後の超高齢化社会においては、運動能力の維持管理が重要なテーマの一つと感じます。介護分野では柔道整復師は機能訓練指導員として機能訓練を行える職種であります。地域包括型ケアシステムの中に柔道整復師の参入は可能でしょうか。杉浦町長のお考えをお聞かせ下さい。

かなり期待しております。どういうところに期待しているかと言いますと、お爺ちゃん、お婆ちゃん達がどこに集まるかを聞いてみますと、柔道整復師の所に集まると仰られ、私がその前を通ると〝町長!!〟と言って皆さん手を振ってくれます。瑞穂町でも転倒予防の講座等開いておりますが、実は講座に来られる人と来られない人がおり〝他の人と一緒にやるのが嫌だ〟という人もいます。あるいは障害を持っていてその人に合わせたものをやらなければいけない等、そういう人たちのリハビリや運動療法をどうするのか。実は個別のメニューを作って対応して頂いているのは柔道整復師の方です。そういうメニューやプランを介護保険の中に取り入れながらやって頂いておりますので、非常に助かっております。

―今後、病院で死ぬことが出来ない時代がやってくる中で、どのような地域社会を構築できるか。地域における健康づくりを従来型の健康政策のみではなく、機能の集約化、住居環境及び交通網の整備などまちづくりの視点も加えた総合的な施策の構築等についてはどのようなお考えをおもちでしょうか。

まちづくりというのは、結局まちの人達がどういう生活を送っていて、どこを埋めればその生活を維持できるのか。また維持し始めるともっともっと良いほうへ良いほうへと考える訳で、その発展性をどこに留めるべきかということもあります。幾つか目標を分けて考えたほうが良いと思っています。つまり医療や介護について、行政が出来る分、介護施設が出来る分、そういうところを分けた上で、全体的なまちの活性化を考えないと自治体を維持出来ません。どのように収益を出して、地域にどうやってお金を循環させるかを考えないと、政策自体が死んでしまいます。この町には横田基地をひかえ、大きな丘陵を抱えておりますので、残った場所でまちを運営しなければなりません。

工業だけを振興すれば良いかというと決してそうではありません。工場は他から材料をいっぱい買ってそれを組み立てて売る訳で、何が残るかというと技術料だけ瑞穂町に残ります。また、瑞穂町は昼間人口率が高いため、他の地域に所得が移ってしまいます。実は一番地域の中にお金が残るのは農業です。種を買って育てて、それを地産地消で地域に残せば地域に全部お金が残りますので循環率が高いんですが、農業自体が高齢化しており、後継ぎが居ないため農地が残ってしまうという現象が起きています。農業だけで言いますと、東京都内で新しく農業を始める人口は、瑞穂町が一番多い。中にはやめてしまう方も居ますけれども、農家を始める方が多いので、上手く循環すれば農地は活きるのです。これから農業をやっていくには企業化が大切だと思っていますが、一部分では若い人たちが集まって組合を作る動きもあります。計画的に農業をやらなければいけないと思いますし、発展させてあげたいと思っています。そのために町長になっていますので。

実は、いま一番欲しいと思っているのは都市モノレールです。朝晩の渋滞を解消するためにも都市モノレールを導入して人の流れをスムーズにしなければなりません。都市モノレールの沿線というのはいろいろな商業が起こり始めます。なぜ古い商店が閉まるかというと年をとってしまうからで、やはり若い人たちが商業を始めたり起業することで、上手く循環させていかなければいけないと思っております。

杉浦裕之(すぎうら ひろゆき)氏プロフィール

昭和29年2月18日生まれ。昭和53年3月、中央大学文学部卒。昭和53年4月、瑞穂町役場入庁。平成21年10月、瑞穂町副町長就任。平成29年5月、瑞穂町長就任。
好きな言葉は「一所懸命」。町役場一筋で、「ひとつのところで懸命に働く」。家で料理を作るのが趣味、得意料理は「イタリアン」。

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