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これだけは知っておいて【第10回:医療人としての「倫理観」】

これだけは知っておいて 特集

明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦

柔道整復師の倫理観の欠如が危惧されている。柔道整復師は医療に係る一業種だと私は確信している。よって崇高な倫理観を持って業を遂行しなければならない。

柔道整復師を目指す学生、既に資格を持ち就業している柔道整復師すべてに言えることである。

近年の柔道整復師養成施設の入学生はほとんどが新卒高校生であり、養成施設(大学を含む)の就学期間は3-4年間である。国家試験に合格し柔道整復師の資格を取得するのが最大の目的であり、その為に就学期間は「国試対策」が最優先される。最短で21,2歳で開業できる。養成施設時に倫理教育をしておかなければならないのだが時間が足りない。また、この倫理観は学生の問題だけでなく教員の資質も気になる点である。おおよそ人にものを教えるに堪えない風貌・服装・考え方の方々がいることも事実である。

昭和62年に制定された柔道整復師倫理綱領と医の倫理綱領を下記に合わせて載せてあるので熟読してほしい。

柔道整復師倫理綱領

国民医療の一端として柔道整復術は、国民大衆に広く受け入れられ、民族医学として伝承してきたところであるが、限りない未来へ連綿として更に継承発展すべく、倫理綱領を定めるものとする。

ここに柔道整復師は、その名誉を重んじ、倫理綱領の崇高な理念と、目的達成に全力を傾注することを誓うものである。

  1. 柔道整復師の職務に誇りと責任をもち、仁慈の心を以て人類への奉仕に生涯を貫く。
  2. 日本古来の柔道精神を涵養し、国民の規範となるべく人格の陶冶に努める。
  3. 相互に尊敬と協力に努め、分をわきまえ法を守り、業務を遂行する。
  4. 学問を尊重し技術の向上に努めると共に、患者に対して常に真摯な態度と誠意を以て接する。
  5. 業務上知りえた秘密を厳守すると共に、人種、信条、性別、社会的地位などにかかわらず患者の回復に全力を尽くす。

昭和62年6月14日制定

この倫理綱領は昭和62(1987)年に(社)日本柔道整復師会と(社)全国柔道整復学校協会で制定し採択したものである。組織団体を問わず柔道整復師ひとりひとりがこの倫理綱領の基本理念を理解し、これを遵守しなければならない。

医の倫理綱領

医学および医療は、病める人の治療はもとより、人びとの健康の維持もしくは増進を図るもので、医師は責任の重大性を認識し、人類愛を基にすべての人に奉仕するものである。

  1. 医師は生涯学習の精神を保ち、つねに医学の知識と技術の習得に努めるとともに、その進歩・発展に尽くす。
  2. 医師はこの職業の尊厳と責任を自覚し、教養を深め、人格を高めるように心掛ける。
  3. 医師は医療を受ける人びとの人格を尊重し、やさしい心で接するとともに、医療内容についてよく説明し、信頼を得るように努める。
  4. 医師は互いに尊敬し、医療関係者と協力して医療に尽くす。
  5. 医師は医療の公共性を重んじ、医療を通じて社会の発展に尽くすとともに、法規範の遵守および法秩序の形成に努める。
  6. 医師は医業にあたって営利を目的としない。
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