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これだけは知っておいて【第30回:柔道整復師はいつどこで勉強しているのだろう?】

これだけは知っておいて 特集

明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦

柔道整復師の唯一の学術団体である日本柔道整復接骨医学会の組織率は8%弱である。
今年の国家試験合格者を含めて7万人いる就業柔道整復師で学会に入会しているのが5500名。
悲しく情けない数字である。

他の医療職は、ほぼ100%自分の職域の学会に属している。かつ関連する複数の学会に参加している。自身の知識や技術の向上はもちろんのこと患者安全、医療安全のためにも最先端の情報を収集する。自身の業界を内外から精査して出来ること出来ないことを明らかにしていくのが学会です。柔道整復療養費の料金改定のエビデンスを提供するのも職域拡大の根拠を出すのも学会の役割です。

柔道整復師として柔道整復療養費の料金がどの様に決まるのかを知っている人はどれだけいるのでしょう?医療費や介護報酬などは料金の上げ下げや項目の追加や廃止はきちんとした論拠が示され、その論拠を医療の提供側、料金の支払い側が納得して決まっていくのです。
柔道整復療養費の決定にはまだそのような論拠の提供はありません。

超音波観察装置の取扱いには薬事法が関与しているとか患者情報の取扱いはどの様に行うのかなど柔道整復師として知っておかなければならないことを放置していても今まではさほど影響なかったかもしれませんがこれからは様々な研修事業が始まり資格や取扱い要件にも付記されるようになると正しく勉強をしていない柔道整復師は業として柔道整復を行えなくなるかもしれません。

是非、柔道整復師唯一の学術団体である日本柔道整復接骨医学会に入会していただき、柔道整復師皆で勉強していきましょう。最後に故人ではありますが 日本柔道整復師会 会長を歴任された原健先生のコラムを紹介します。


ここに人あり~ほねつぎ~

87歳となってもこのように「柔道整復」を語ることの機会を与えていただき感謝致します。
私が日整会長当時、接骨院開業者は地方公務員の部長クラスと同額の年収であったと記憶しております。養成施設が増え、おのずと開業者も増えます。日本の人口減少の中、限られたパイの奪い合いによる個々の減収は避けられないと思います。数は力とは言え、柔道整復師の仕事で食べていけなくては国家資格の価値は下がります。

私は日整役員になってからそして今も、柔道整復師の保険取扱い項目を増やさなければならないと言い続けています。骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷の5傷以外でも柔道整復師が国民の健康維持・増進に寄与出来るものは多々あります。柔道整復師の保険取扱い項目を増やすには柔道整復師にしか出来ないことを研究し立証することです。医療人として基礎学問を学ぶことは重要ですが「ミニ整形外科」「亜流整形外科」ではダメです。

当時、武見敬三先生が「我が国固有の武術や武道から派生し、純粋な民族医療でしかも地域に密着し、保険診療の中でも療養費という名目のもと多くの国民らが支持されているのに柔道整復は世界にちゃんと理解されていない。国内外に正しく柔道整復を知ってもらうにはWHOに認識してもらうことが最優先である。早急に働きかけよう!」というお言葉をもらい、工藤鉄男学術部長(現日整会長)、山口綱孝総務部長、橋本昇東京都総務部長を中心にプロジェクトチームを立ち上げ、2002年WHOに「日本の伝統医療 柔道整復師 Judo therapist」として紹介されました。この時の報告書の中にも出てきますが、柔道整復を世界に広げる5つの課題が与えられています。

  1. 日本の医療体系の中での柔道整復の位置付け
  2. 柔道整復の安全性
  3. 臨床研究と治療過程についてのプロトコル:臨床データの収集
  4. 施術提供者が教育を受け、その水準を維持しているか
  5. 治療効果についての他の医療との費用対効果

継続してこの課題の探求をお願いしたい。
「柔道整復」は日本で生まれ日本で育った日本の誇るべき伝統医療です。
我々柔道整復師は自信を持ち、堂々と患者さんに向き合い治療してきたからこそ多くの国民の支持を得られてきたのです。
自信を無くした柔道整復師が増えると業界は衰退します。柔道整復師は「柔整」の勉強をする!柔道整復師が「自信」と「誇り」を持って仕事をするために日本柔道整復接骨医学会の果たす役割と責任は非常に大きいものがあります。期待しております。

日本柔道整復接骨医学会広報誌「コラム」
平成27年3月25日

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