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これだけは知っておいて【第34回:健康保険を使える「柔道整復」ありがたさを知る】

これだけは知っておいて 特集

明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦

療養費受領委任の取扱いとは言え、保険医療機関と同様に患者自身の健康保険の一部負担金支払いで治療が出来る「柔道整復」。健康保険証を接骨院の窓口に提示すると本来、現金給付である療養費償還払いが現状、現物給付となる受領委任制度。

これは、柔道整復師のためだけの制度でなく一時的であれ患者である国民の事務的労力、経済的負担の軽減のための制度です。
公益財団法人柔道整復師試験財団に登録されている柔道整復師は、平成9年度36,750名、20年後の平成28年度102,221名と3倍弱の増加です。
これだけ柔道整復師が急増してくると【療養費】【受領委任の取扱い】【償還払い】【現金給付】【現物給付】などの用語が何を意味しているかをまったく理解していない柔道整復師がいることも事実です。

各用語や制度が何を意味しているかを判らずして適切な柔道整復施術並びに支給申請書の作成は出来ません。この数年間、幾多の不正事件や不祥事が起こっていますが無知があるゆえに起った犯罪も少なくありません。柔道整復師法受領委任の取扱い協定・規程、柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準などを熟知して開業するのが通常であり、常識です。

また、施術録(いわゆるカルテ)を基に柔道整復施術療養費支給申請書(いわゆるレセプト)を作成するのが当たり前のことですが施術録の記載もせずレセプト用コンピューターのみに頼っている柔道整復師が増えています。嘆かわしいことです。

勤務する柔道整復師の届け出を怠ったり、一部負担金の正しい徴収方法を知らなかったり、温罨法の待機期間や往療料算定の要件を知らなかったり、おおよそ受領委任の取扱いを行う施術所に値しないところもあります。

施術録に記載のないものから作成された支給申請書は支給対象にならず、既に支給されたものは全て返還対象となります。また、勤務柔道整復師の届け出をしていない柔道整復師の施術は受領委任の取扱いが行えません。請求し支給されていれば返還対象です。

施術録は施術が完結した日から5年間は保存しなければなりません。
無くなったとか焼却したなどは正当な理由になりません。

国民(患者)から信頼されてきた「柔道整復」だからこそ、この療養費受領委任の取扱い制度が現在まで存在してきたのです。この制度を守り続けてこられた柔道整復師諸先輩の苦労を無にしないためにも現在の柔道整復師は良質な施術と良識ある支給申請書の作成を行わなくてはなりません。

日本発祥の伝統医療「柔道整復」が身近な医療として患者である国民にさらに認識され、健康保険を使える「柔道整復」を継続するには学と術の研鑽と法令遵守していくことだと思います。

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