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これだけは知っておいて【第94回:「柔道整復師」「柔道整復術」を考える ―Ⅰ―】

これだけは知っておいて 特集

長尾淳彦

新年あけましておめでとうございます。

1920年の柔道整復術公認から100年余が過ぎ100年に一度の感染症パンデミック、100年に一度のデジタル革命と100年という節目が重なり柔道整復師業界も多大なる影響を受けています。

時まさに変革、変化を求めています。我々柔道整復師業界も良き慣習は継続し悪しき慣習は排除していかなければいけません。

現行制度や慣習を精査して「国民の為の柔道整復」を構築していかなければなりません。

柔道整復師として出来ること、出来ないことを明確にしていくことが大切です。

柔道整復師の業務とは何でしょう?

柔道整復師という国家資格者としての業務は柔道整復師法に沿うと思われます。また、療養費の受領委任の取扱いについては「療養費の支給基準」に沿うと思われます。

柔道整復師法2条1項には「厚生労働大臣の免許を受けて、柔道整復を業とする者」と柔道整復師を定義し柔道整復師法15条1項には「医師である場合を除き、柔道整復師でなければ、業として柔道整復を行ってはならない」柔道整復師法16条には「柔道整復師は外科手術を行い、又は薬品を投与し、若しくはその指示をする等の行為をしてはならない」

まず、「柔道整復師法」から「柔道整復師」「柔道整復術」をについて考えていきましょう。

(平成28年度版 柔道整復師のための保険請求の手引き 長尾淳彦著 より引用)

柔道整復師法の概要
Ⅰ  制定の経緯
柔道整復業については、戦前は按摩術営業取締規則(内務省令)の附則により、同規則の準用という形で取締りが行われ、昭和21年末からは、柔道整復術営業取締規則(厚生省令)により規制が行われていたが、現行憲法の施行に伴い、同省令が失効することとされたので昭和22年12月あん摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法として法制化が行われた。
その後、昭和28年にそれまで一律4年だった修業年限が、大学入学資格者については2年とされたほかは、とくに制度の変更は行われなかったが、昭和45年に至って、内容には変更を加えることなく、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律から柔道整復業に関する部分を分離し、単独法として本法が制定された。
なお、昭和63年には、受験資格の変更、免許権者を厚生大臣とすること、試験の実施者を厚生大臣とすること、指定登録機関、指定試験機関制度の導入等を内容とする法改正が行われ、免許及び試験に係る一部の規定以外は平成2年4月1日から施行された。そして、改正法附則第3条及び第4条の厚生大臣の告示する日が平成4年9月30日とされたことにより、残りの規定が施行され、10月1日から厚生大臣の試験、免許となった。
Ⅱ  法の趣旨、目的
本法は、柔道整復師の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規 律することを目的としている。
Ⅲ  制度の概要
1. 免許
免許は、柔道整復師国家試験に合格した者に対し厚生労働大臣が与えることになっている。
心身の障害により柔道整復師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの等欠格事由に該当する者に対しては、免許が与えられないことがある。
免許が与えられたときには柔道整復師免許証が交付される。
免許を受けた者が、欠格事由に該当するに至った場合には、免許取消又は一定期間の業務停止が命ぜられることがある。
また、厚生労働大臣は、指定登録機関に登録事務を行わせることができる。
2. 国家試験
国家試験は、柔道整復師として必要な知識及び技能について、厚生労働大臣が行い、大学に入学することができる者(高等学校卒業者等)であることを入学(入所)資格とする文部科学大臣認定の学校又は厚生労働大臣認定の養成施設で三年以上修業したものでなければ、受けることができない。
また、厚生労働大臣は、指定試験機関に試験事務を行わせることができ、この場合免許証明書が交付される。
3. 業務
1) 業務内容
柔道整復業は、柔道整復師の独占業務であるが、あん摩マッサージ指圧師などと同様、柔道整復師が、外科手術や投薬を行うことは禁じられている。
また、脱臼・骨折の患部に施術するには、応急手当を除き、医師の同意を得なければならない。同意なしで施術した場合には、30万円以下の罰金に処せられる。
都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、その市長又は区長。以下同じ。)は、衛生上害を生ずるおそれがあると認めるときは、柔道整復師に対し、必要な指示をすることができる。医師の団体はこの指示に関し意見を述べることができる。なお、この事務は緊急の必要があると厚生労働大臣が認める場合にあっては、厚生労働大臣又は都道府県知事が行う。
2) 施術所に対する規制
施術所を開設した者は、一定事項を所在地の都道府県知事に届出なければならない。届出事項の変更、休止、廃止、再開の場合も同様である。
施術所の構造設備については、施行規則により施術室の広さ、待合室の広さ、器具・消毒設備などについて基準が定められている。
3) 広告制限
柔道整復業や施術所に関しては、広告できる事項が限定列挙されている。その内容は、氏名、住所、施術所の名称等であるが、名称等についても、技能、施術方法又は経歴に関する事項は広告できないことになっている。違反した場合には、30万円以下の罰金に処せられる。
4) 報告要求、立入検査
都道府県知事は必要があると認めるときは、施術所の開設者若しくは柔道整復師から必要な報告を提出させ又は職員に立入検査をさせることができる。構造設備が基準に適合していないと認められる場合等には、都道府県知事は、施術所の使用制限、構造設備の改善等を命ずることができる。

次号につづく

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