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調査票の実態【第7回:保険者向けマニュアルの出版社が作成するリーフレット】

特集 調査票の実態

柔整ホットニュース読者の皆様は医療機関を受診する場合、ご自身の病状などを自ら判断された上で医師の診察を受けられるのでしょうか?

仮に腹痛を自覚され、その痛みの様子から単純性腸炎などと判断し医師に受診される方がどの程度いらっしゃるのでしょうか?

おおよそ胃腸トラブルであろう・・・などと推測した場合には、胃腸科を掲げる医療機関への受診をされることになると思われますが一般的には、受診先の医師に委ねることになる筈です。例え局所的な損傷や傷病であっても、全身管理を責務とされる医師と、部位別局所治療処置を専らとされる柔道整復師とでは立場も異なりますが、柔道整復を受診する場合、なぜ受診者となる患者自らが骨折や脱臼、捻挫・挫傷などと自己判断した上で受診することになるのでしょうか、この点は編集部においても常に疑問となっています。

上記資料をご覧いただくと、保険証が使える場合や使えない場合を区別した記載となっており一見分かりやすい表記に思えますが、医学的知識や柔道整復知識の乏しい多くの方々にとって、適切な啓蒙用リーフレットとは言えないと考えられます。心得のある受診者の方なら、ある程度の判断をお持ちになり、筋の損傷なのか関節の症状なのかなどと区別をもって柔道整復受診されることになるでしょう。そのような方は柔道整復の受診者の中では僅かな方々であり、多くの受診者は単に痛みや局所の機能障害等に加えて不安を伴い接骨・整骨院を訪れておられるはずです。

柔道整復師法第24条において広告の制限がされており、柔整整復師の先生方が例え受診者への案内サービスの一環であるとしても、骨折や捻挫など広告やサインとして提示することは認められません。同法は、保険者に適用される法律ではありませんので保険者による啓蒙リーフレットなどには、これらの傷病名が殆ど記載されています。ある意味滑稽なことだと受け止めることも出来なくありません。なぜならば柔道整復特例受領委任に係る協定や契約には「~施術の必要があると認められる負傷に対して、的確な判断のもとに患者の健康の保持増進上妥当適切に施術を行うほか~」と規定がされています。

柔道整復による治療を望まれる受診者は、自ら骨折や打撲或は挫傷などと損傷を判断し来院される訳ではありません。骨折や捻挫など傷病名を下す判断は柔道整復師の先生方の責務であり、診断権を有さないなどと耳にすることがありますが少なくとも損傷を判断し認められた傷病名を決定するのは柔道整復師でなければならないはずです。

柔道整復師がその業務範囲において有するこれらの判断権や傷病名決定権について、これら編集部の解釈を踏まえて上記資料を再びご覧いただくと、適切とは言えない内容であることがお分かり頂けることでございましょう。

これらの資料は、保険者が業務マニュアルとして使われるであろう書物を扱う出版社により作成されたものですが、これらも保険者によって利用される頻度が高いものであると判断されます。

つまり、業務マニュアル等の書物を発行される出版社は正しく偏重することなく書物や出版物を作製しなければなりませんが、このリーフレット内容も適切とは到底程遠いと編集部では捉えております。

腰痛は支給基準の範疇にありますし、五十肩という病名は?症状の改善がない長期の施術は保険証が使えないとあり、応急処置は除くと付記されており意味が通っていません。

噴飯に値する記載が治療と施術の説明記載です。大辞林電子辞書版による「施術」とは、『しじゅつ』に同じとあり、「施術:しじゅつとは、医療の術、特に手術をおこなうこと。せじゅつ。」とあります。療養費の支給基準に掲載される“柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項”には「柔道整復の治療を完了して~」と『治療』と記された文言があります。

鍼灸治療との併記も大きな誤りであり、医師でない事から施術の行為が限定されるとは身分免許を有する柔道整復師や鍼灸師に対して誤った偏見による記載だと言えます。

読者の皆様はどのような感想をお持ちでしょうか。

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