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調査票の実態【第10回:受診者照会の目的】

特集 調査票の実態

受診者照会の目的は、保険者サイドから実施する柔道整復療養費支給に係る適正化の一環であり、受診を抑制することや被保険者の負担を増すことではありません。

また、受診者照会の結果と、当該の柔道整復療養費支給申請書の内容が単に異なることを理由に安易な返戻を行うことも目的ではありません。あくまでも保険者が公平中立な視点に立ち、保険者としての適正化への取り組みが主眼とされ、いわゆる4課長通知が発令されました。このコーナーでは幾度となくその通知内容もお知らせしていますが、通知本来の意図を無視されたような返戻屋任せの対応などが後を絶ちません。我国の厚生労働行政の確かな先読みを専らとされ、その公務専念を旨とされる行政の皆様は、柔道整復の受診抑制ありきで通知発令をされているとは考えたくもありません。

今一度4課長通知の一部を抜粋いたします。

『この通知は、患者調査等の実施にあたり、「被保険者及び施術所の負担の軽減」、「支給決定までの迅速化」及び「手続きの公平さ」と言った点を勘案しつつ、保険者が療養費の適正化に取り組むことを主眼としています。』
『申請書の返戻については、主に記載内容や添付書類の不備などの補完を行わせるものであり、明確な理由を示さずに返戻を繰り返すことのないよう、適切に対応されたい事。』
『申請書の記載内容と患者からの回答内容とが一致しなかったものなど、申請書内容に疑義が生じたものについては、文書だけによらず電話又は面会により、患者に対し、再照会を行い、疑義を解消するよう十分な調査に努めること。』などと規定されています。

回答書①
回答書②

(クリックすると拡大表示されます)

協定または取扱規定(個人契約)には、柔道整復師法等関係法令に照らして、医師の診療を受けさせることが適当であると判断される場合は、医師の診療を受けさせること。と規定されています。今回お示ししている健康保険組合による文面には、「急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷に対するもの」とされながら、「急性の負傷の治療に長期間を要し、また同じ部位を繰り返し負傷されていることから慢性的な疾患に罹られていることも考えられる。」と文面的には急性に限られるかのごとく文面がつづられています。

また、整形外科・外科での診断を受けるように記載がされていますが、受診者サイドに立った医師受診勧奨であるならば、「受診先の柔道整復師に相談し医師の診療を受けられるよう相談をされることや、かかりつけ医に相談する事をお勧めいたします。」と記載されるのが一般的な配慮だと考えられますが、読者の皆様はどのようにお感じになられますか?

この健康保険組合では、受療に係る相談を受け付けておられ、その対応は柔道整復師が行っているようです。柔道整復に係る解釈等は非常に難解を要する部分もあり相当な経験と知識を備えた柔道整復師の方による対応であるならば、まさに組合員への大きな保護だと言えます。どうか公平中立で適正な相談対応や申請書確認作業が遂行されることを切に願います。

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