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徹底的に柔道整復師【第1回:連載にむけて】

徹底的に柔道整復師 特集

明治国際医療大学保健医療学部柔道整復学科
教授 長尾淳彦・助教 丸山顕嘉

新シリーズとして「徹底的に柔道整復師」を連載いたします。柔道整復師の背骨は骨折・脱臼の整復・固定であります。これをベースに骨・筋・腱・靭帯・関節の対象疾患の治療を行います。

しかし、この十数年間で、柔道整復師の数も施術所の数も急増し、施術ガイドラインがないこともあり、治療現場では全ての接骨院で施術の方法が全て異なるといっても過言でない状況が起こっています。

「不妊治療」「更年期障害治療」「美容整体」「ダイエット整体」「巻き爪治療」「骨盤・頭蓋矯正」など凡そ、柔道整復師が行うものでない対象をあたかも接骨院で保険を使って治療できるようなチラシや看板、HPでの広告を掲げる施術所を多く見かけます。

昭和45年単行法となった柔道整復師法には柔道整復師の明確な業務範囲が記載されておりません。「療養費の支給基準」内の「柔道整復師の施術料金の算定方法」、「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」で負傷名などが記載されているだけです。「いつでも」「どこでも」「誰もが」「良質な柔道整復施術」を受けられる環境作りを早急に構築しなければなりません。これは患者さんである国民のためであります。

柔道整復師の資格を基に「介護支援専門員」(通称ケアマネージャー)や「機能訓練指導員」として介護・福祉の世界で業務が出来ます。地域包括ケアシステムや災害救護現場でも他の医療職の人達と共に作業を行います。共通の知識・技術を持っていないと良き仕事は出来ません。「柔道整復師さんはちょっと・・・・」と言われないように医療職としての知識も技術も持ち合わせていないといけません。

そうした意味で、このシリーズでは、まず、柔道整復師が接骨院で骨・筋・腱・靭帯・関節の対象疾患の治療を行う上で当然知っていて実施しなければならないものを取り上げ解説していきます。

例えば、下肢の疾患で患肢の免荷のために松葉杖を用いることがあります。開業時に必ず常備品として接骨院には用意されていますが、片松葉杖使用の患者さんに「先生!松葉杖どちらに副えるの?」「先生!松葉杖の長さこれでいいの?」と問われた時、理論的に答えられ実施出来ますか?施術管理者の先生は分かっていても勤務柔道整復師の先生は出来ないのでは院としての評価はマイナスです。その他、提肘のための三角巾の装着方法や肩周辺の疾患の疼痛軽減の夜間就寝時姿勢など分かっているようでどこか不安な点を取り上げていきます。その中に他の医療職と共通の認識を持つべき事柄も入れていきます。

まずは「徹底的に柔道整復師」を求めて一緒に勉強しましょう。

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