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(公社)日本柔道整復師会第50回東海学術大会愛知大会 開催

2015/12/16

平成27年12月6日(日)、ウインクあいち(愛知県名古屋市)において、公益社団法人日本柔道整復師会第50回東海学術大会愛知大会が開催された。

表彰

本大会は(公社)日本柔道整復師会・松岡保副会長の開会の辞により幕を開けた。

工藤会長学術大会長である(公社)日本柔道整復師会・工藤鉄男会長は〝最近わが柔道整復業界のみならず、医療業界全体が反社会的組織に侵食されてきているように感じている。日本柔道整復師会はこの業界のルールメーカーとして、そのようなことがないよう厚生労働省や医師会と協力しながら新しい仕組みを作る流れになっている。安心・安全な医療、柔道整復術を提供するためには、しっかりと制度を守りながら日々努力していかなければならない。会員の皆さんや学生の皆さんには、未来の柔道整復師の参考となるような業界づくりをしていただきたい。2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界のプレイヤーに我々の技術を提供することになる。柔道整復術はWHOにも日本の伝統医療として認識されていて、世界に広める活動がされている。また、これからは介護の抜本的改革の中で在宅医療が始まる。これは地域住民みんなで支え合おうという改革である。日本柔道整復師会は全国11ブロックで学術大会を開催し意見交換をして、「利他の精神」で人の幸せを喜びとする職業として頑張ってまいりたい〟と熱く語った。

森川会長主管の(公社)愛知県柔道整復師会・森川伸治会長は〝私たち公益社団法人は、柔道整復師としての研究と臨床の学技の場を提供することにより、柔道整復業界の進歩・発展はもとより、住民の皆様に最新の医療情報と良質な施術を提供し、県民や地域住民の皆様方の健康福祉に寄与することを、今回の学会の主目的としている〟と本学会の趣旨を説明。さらに〝愛知県は健康寿命日本一を目指しており、医療の一翼を担うわが愛知県柔道整復師会も協力させていただいている。そこで特別講演では日本の死因第1位であるがんを取り上げ、愛知県がんセンターの名誉総長である二村雄次先生にご講演いただく。午後からは接骨院・整骨院や病院勤務の柔道整復師による10題の研究発表、8題の学生発表が行われる。さらに「地域連携を考える」をテーマに介護セミナーが行われる。ぜひ最後までご聴講いただきたい。今日一日しっかりと勉強し、明日からの施術に役立ててほしい〟とプログラムを紹介し参加者を激励した。

その後、来賓祝辞および紹介があり、特別講演が開始された。

 

【特別講演】
『最近のがん医療とがん対策』

愛知県病院事業庁長・愛知県がんセンター名誉総長・
名古屋大学名誉教授・名古屋大学柔道部師範・講道館理事 二村雄次

二村氏二村氏は、まず〝日本人の2人に1人ががんにかかり、3分の1ががんで亡くなっている。女優の坂口良子さんが亡くなってから、女性の大腸がんが増えてきたとニュースになっている。最近では大相撲の北の湖理事長が直腸がんによる多臓器不全で亡くなった〟と著名人の訃報を例に、がんによる死亡数が多いことを示した。〝がんは1981年には死因第1位となり、国を挙げて対策も行われているし医学も進歩してきているが、現在も死亡率は下げられていない。戦後のがんの種類としては胃がんが多かったが、日本は早期発見の技術が進んできている。今は1センチ以下の胃がんでも見つけることができ、開腹せず内視鏡で切除できるため減少傾向にある。ところが大腸がんはじわじわ増えてきている。最新のがん統計では、2013年には男性は肺がん・胃がん・大腸がんの順、女性は大腸がん・肺がん・胃がんの順に死亡数が多い。年齢別にみると、男性では全年齢において肺がんが多く60代以降に前立腺がんが増え、女性では40代に乳がんが多く加齢とともに減っていること、また反対に加齢とともに胆のうがんが増えていることが特徴である。長期的な傾向として、過去約40年間のがんの罹患数・死亡数を見ると、肺がん・大腸がん・胃がんにかかる患者数が鰻上りに増えている。罹患数と死亡数に大きな差がみられるのが胃がんであり、罹患数の急増に対し、死亡数は早期治療の成果でほぼ横ばいとなっている〟等、がんに関する最新の統計を紹介。がんの診断方法や、内視鏡や腹腔鏡などによる侵襲の少ない手術法、さらにはがんの増殖のメカニズムまで、写真やイラストを用いてわかりやすく解説した。

また抗がん剤だけではなく、がん細胞の増殖・浸潤・転移などの特徴を裏付ける遺伝子と、そのたんぱく質を標的とした薬物である「分子標的治療薬」を用いた治療などを組み合わせることで、治療成績も向上してきているとした。さらには日本におけるがん対策では受動喫煙防止による対策が進められているとし、〝口腔喫煙をすると呼気に有害物質が含まれて排出されるため、受動喫煙ではがんになる確率が、肺がんや食道がんでは倍、喉頭がんでは32倍にも跳ね上がる。そのため受動喫煙を防止しようということで、平成24年6月には「がん対策推進基本計画」が閣議決定され、全国に都道府県がん診療連携拠点病院が設置された〟と説明した。検診の精度も上がってきており〝がんにならない世界を作って、がんになったとしても治して社会復帰できるように活動している。がんに負けることのない社会にするため、皆さんもぜひ予防対策に取り組んでほしい〟と呼びかけ、講演を終了した。

 

【日整介護セミナー】(概要)
2015・柔道整復師と介護保険について-柔道整復師として地域連携を考える-

(公社)日本柔道整復師会保険部介護対策課 川口貴弘

川口氏平成26年6月18日介護保険法改正法が成立して、平成27年4月から順次施行されている。今回の改正で施設を含めた様々な形態の住まいを整備した上で、在宅医療整備をはじめとする医療の充実、地域に密着した施設の整備、医療・介護の連携による効果的なサービス提供、効果的な介護予防手法の開発、様々なニーズに対応する生活支援サービスを確保した形での新しいまちづくり、すなわち地域包括ケアシステムの構築を行っていくことになる。地域包括ケアは関係機関の連携と介護保険等で不足するサービスを地域に新たに作り出し、それを活用できる仕組みを作ることである。全国的に人口減少下で、少子化・高齢化が一層進む中で、要介護者が増加し認知症高齢者も増加している。これらの高齢者の人たちが人生を終えるまでの期間、QOLを維持し、「生きてきたことを後悔して亡くなる」ことがないよう、医療・介護等の受け皿を柔道整復師も一緒になって地域に整える必要がある。この中で、柔道整復師は何ができて、何に貢献できるのか考えなければならない。

 

 
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