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第8回帝京大学・(公社)栃木県柔道整復師会ジョイントシンポジウム開催

2016/08/16
学生発表
『肩関節屈曲伸展、内転外転運動における大胸筋と三角筋の作用について
~神経生理学的手法を用いた解析~』

帝京大学大学院医療技術学部柔道整復学専攻2年 吉元拓也

ヒト大胸筋は前胸壁にある大きな扇状の筋であり、三角筋は肩から上腕の上部にかけて丸みをつくる筋である。一般的に大胸筋と三角筋は拮抗する筋と考えられているが、運動方向によっては共同して働く筋としても考えられる。そこで、神経生理学的手法を用いて肩関節屈曲伸展、内転外転運動における大胸筋と三角筋の作用について調べた。

 

『ヒト三角筋各線維間の脊髄内神経結合について
~PSTHを用いた解析~』

帝京大学大学院医療技術学部柔道整復学専攻2年 佐藤史人

ヒト三角筋は広い可動域を持つ肩関節において、その大部分を覆っている筋であるが、三角筋各線維間と他筋間との脊髄内神経結合は上腕三頭筋、上腕二頭筋、橈側手根伸筋から三角筋前部線維に投射する促通性の神経結合の報告はあるものの、中部線維、後部線維に対しての神経結合や三角筋各線維間の神経結合に関する報告はないため、神経生理学的手法の1つであるPSTH法を用いて調べた。

 

『ラグビーのスクラム動作におけるパフォーマンスを向上させる要因の検討』

帝京大学大学院医療技術学部柔道整復学専攻2年 二連木巧

ラグビーではスクラム時に相手に負けないことで試合を優位に進めることができることから、練習時にスクラムトレーニングが繰り返し行われている。スクラム動作においては筋筋膜性腰痛が多いことが報告されている。本研究ではスクラムを組む際の膝関節の角度に着目し、スクラム動作時に膝関節角度、表面筋電図を計測し、より大きな力で組むことができるスクラム姿勢を検討した。

 

『温熱療法(ホットパック)による施術効果の認知度が及ぼす身体反応の違いについて
~プラセボ効果の物理療法への適応の可能性~』

帝京大学大学院医療技術学部柔道整復学専攻2年 野田祐輔

柔道整復理論の権能と施術目的の一文に「生体の自然治癒力を促して損傷組織の修復力を高め、経過を再評価・再処方して、早期に社会復帰させることが目的である」と書いてある。自然治癒力を促す方法としてプラセボ効果の利用を思いついた。プラセボ効果の根拠には意味づけ仮説、期待仮説、学習仮説が知られており、いずれも対象者の認知の関与が示唆されている。

 

『滑膜線維芽細胞を用いたin virto 軟骨分化アッセイ系におけるToll様受容体リガンドと細胞凝集の関係』

帝京大学大学院医療技術学部柔道整復学専攻2年 星川侑樹

関節リウマチ(RA)は滑膜炎により軟骨破壊が生じる炎症性疾患であるが、RAの滑膜線維芽細胞は変形性関節症のそれと比べてより高いin virto 軟骨分化能を有していることを明らかにした。我々は炎症カスケードの出発点かその近傍にFBSの軟骨分化の方向を決める機序があると考え、炎症の初動に関与するToll様受容体に着目した。

 

会員発表
『県内少年柔道大会における救護活動報告』

(公社)栃木県柔道整復師会塩谷支部学術部員 滝田藤夫

(公社)栃木県柔道整復師会は、県内の少年柔道大会において救護ボランティア活動を行っている。十数年前からこの活動を開始し、依頼を受けたすべての大会に会員を救護員として派遣している。少年柔道の外傷発生に対する抑止力になればと思い、平成24年~26年の3年間の159会場の救護活動における負傷状況を調査・分析したので報告する。

 

『膝蓋骨不全骨折(横骨折・縦骨折)の施術についての一考察』

(公社)栃木県柔道整復師会足利支部 片柳敏彦

膝蓋骨骨折は自転車やバイクでの転倒や階段からの落下など直達外力での受傷が多く、あらゆる年齢層に発生する。受傷部位が関節であるため、腫脹、運動障害などの症状が長期化する原因となり得る。今回、膝蓋骨不全骨折の横骨折と軟骨骨折を伴う縦骨折を同時期に施術した。患部・近接組織の浮腫軽減と膝関節可動域改善に着目し施術したところ、いい結果が得られたので報告する。

 

最後に、特別講演②として帝京大学・冲永佳史学長による『帝京大学50年の歩み 歴史をしのぐ未来へ』と題した講演が行われ、〝大学の沿革として、1966年に八王子・多摩市などにおいてキャンパスを開設した。1971年に医学部を設置して医学領域に進出し、2004年には医療技術学部を設置して医療にかかわる様々な技術発展に取り組んだ。柔道整復師養成の歴史としては、1968年に専門学校(夜間部)として開校、1978年に専修学校として認可された。福岡地裁における柔道整復師養成施設不指定処分取り消し請求事件判決後、養成校増加の流れを受けながら短期大学・4年制大学へと遷移し、帝京短期大学ライフケア学科に柔道整復コースを開設、さらに帝京平成大学、帝京大学に柔道整復学科を設置した。そして2012年に帝京大学柔道整復学科に修士課程を設置した〟と柔道整復の歴史とともに、帝京大学の歩みについて語った。そして未来に向けて〝国民の健康維持のために、地域における医療においてどうしていくべきかをきちんと考え、他の医療者と敵対することなくどうすれば国民の健康向上につながるかを検討し、志の高い同業者と切磋琢磨することが必要だ〟と、これからの時代を担う柔道整復師像について話し、学生にエールを送って本シンポジウムは閉会となった。

 

 
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