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ビッグインタビュー:公益財団法人日本水泳連盟医事委員長・早稲田大学院スポーツ科学学術院 教授 金岡 恒治氏

2017/05/01

昨年の第25回接骨医学会実践スポーツ医科学セミナーで講演された早稲田大学院スポーツ科学学術院教授・金岡恒治氏は、日本水泳連盟医事委員長を務められている。シドニー、アテネ、北京五輪では水泳チームのスポーツドクターとして、ロンドン五輪ではJOC本部ドクターとして帯同され、整形外科医とスポーツ現場の両方に跨って活躍されている方である。
日本人の10人に1人が腰痛患者であると言われており、世界には計り知れない数の腰痛患者が苦しんでいる。その腰痛治療の第一人者としても知られている金岡教授に腰痛に対する考え方と2020東京オリンピック・パラリンピックについて率直に話していただいた。

スポーツ医学は、アスリートのためにだけではなく、全人類に役立つためにあります!

公益財団法人
日本水泳連盟医事委員長
早稲田大学院
スポーツ科学学術院 教授
金岡 恒治 氏

 

 

―金岡教授が追及されている研究課題と内容について教えてください。

腰痛には様々な原因がありますが、結局体の使い方が問題で何所かに負担がかかり、その繰り返しで出現しているということですので、その体の使い方を正しくすることで痛みを減らし、予防していくことが出来るのではないかとして研究しています。

その理由としては、整形外科に患者さんが来る時にはある意味ある程度悪くなってから来られる方が多い。しかも整形外科といっても、大きな病院では、手術をすることを前提にして来院される患者さんが殆どです。また、開業医の先生の所に来られる患者さんの場合は、未だそれ程悪くなっていないけれども痛みがある。今までそういった腰痛は、非特異的腰痛と称され、あまり原因がよく分らないとされて対処方法も定まっておりませんでした。

結局、薬を貰って様子をみるとなっていましたが、私としては、そのような人達こそキチンとした病態の評価を行って、痛みの原因は何所から来ているのかをしっかり追及して、腰に負担のかからないような体の使い方、或いは体を鍛えていくようなことをすれば良いのではないかと考え、其処を課題に研究を続けてきました。
また、その研究成果を普及させていきたいと思っています。

 

―オリンピックにスポーツドクターとして帯同される以前からこの研究は始められていらっしゃったのでしょうか?

実は、私も大学病院で背骨を手術する医者でした。
当たり前ですが、スポーツの現場での腰痛には手術しなければいけないような人はほぼおりません。つまり、軽い段階で痛みを起こしている人たちが多いのです。

従って、アスリート達の腰痛をみて、こういう腰痛も治さなければいけないということで研究を始めました。大学病院とスポーツの現場を両方兼務しており、それが良かったと思っています。

 

―昨年、仙台で開催された接骨医学会・実践スポーツ医科学セミナーにおいて『腰部障害の発生機序と病態別運動療法』と題した講演で、金岡教授は〝最近アスレチックトレーナーはいろんな障害予防について治験を固めてきており、股関節のモビリティ、体幹のスタビリティ、腰椎・胸郭・肩甲帯のモビリティが大事であり、肩甲上腕関節のスタビリティが大事であるとしてモビリティとスタビリティが交互に存在する状態が良い状態である。肩のインピンジメントに対する肩甲帯、肩の使い方、筋肉の使い方は結果的に伸展型の腰痛に対するアスレチックリハビリテーションだといえるのかと思います。人間の体は結局繋がっているので何所か一か所治せば良いものではなく、正しい体の使い方を修得することがこの様な障害を減らすためには何より重要と言えます〟と話されました。要点となる機序、メカニズムをどのように捉え、どう対応した指導をされているのでしょうか。

つまり、痛みが出た動作をしっかり聞いて、その痛みが出た動作の時に何所がちゃんと動かないために、何所に負担がかかったのかを所見しています。
もし手を挙げるような動作を繰り返す人で、肩が硬いことで腰に負担がかかっているのであれば、肩を治療しなければ良くならないだろうということです。

従って、薬だけ出して悪い箇所の炎症がおさまったとしても、また同じことを行えば、また痛くなってしまいます。マッサージや整体、ハリ等でもその痛い箇所に対する治療は、その時には効くと思いますが、その原因となるような動きを変えないと治ったことにはならない訳です。

 

―最近、腰痛にはストレス等心因性によるものが多いと言われるようになりましたが、金岡教授は、如何思われますか?

考え方の違いというのは中々埋まりません。私が整形外科の先生にいくら説明しても半分位の人しか理解されません。やはり、いろんなタイプの腰痛があって、心因性のものも中にはあるでしょう。しかしながら、それは1%以下です。

殆どは普段使っている日常動作、メカニカルストレスといいますが、物理的な負担によって痛みが起きています。それがベースにあって中々治らない、いろんなメンタルの問題等もあり悪循環に陥ってしまったものが心因性の腰痛と言われるようになりましたが、それは1%位だというのは、データも今いろいろ出て来ています。

つまり診る対象が違う訳です。私はスポーツの現場でアスリートの腰痛を診ていますから、心因性の腰痛については、アスリートはほぼゼロです。ただし、一般の整形外科外来であれば1%位いるということです。やはり大学病院には全国から中々治らない腰痛の人が集まって来ますので、心因性の腰痛の割合は増えると思います。従ってその整形外科医が居る場所によって異なるということです。

結局、柔整の人の所に来る人たちは殆どがメカニカルストレスでしょうし、整形外科の大きな病院であれば、そういう心因性のものが増えてくるでしょう。つまり、みんな自分の目の前に居る患者さんだけを診て、自分の診断や治療法が正しいと言っているからダメなんです。世の中広く見ればその割合は違います。自分の居る領域における分布であり、私が先ほど話したように大学病院で診ている患者さんとスポーツの現場で診る患者さんでは、その病態や痛みの原因は全く違います。

私の場合、それが1つのメリットでもあります。極端に異なる2つの腰痛、オリンピック選手の腰痛と手術をしなければ治らない癌の転移の腰痛等を診たことは、経験的に他の人より恵まれていたと思います。
しかしながら、自分の領域の中だけにずっと居る方は、自分の世界が全てだと思っていますので、その方に説得しようと思っても中々難しい。その人の世界ではそれが正しいのですから。

 

―同接骨医学会の講演で〝山口県の整形外科医院を受診した323名を対象に腰痛を細かく診断した報告で、323名中、MRIやレントゲンで明らかに異常のあった腰部障害は21%。画像で診断できなかったものが8割、鑑別するために触診、機能的な評価を行って4つに分類した結果、8割の非特異的腰痛といわれた中の7割において椎間関節約4割、筋筋膜性3割、椎間板性2割、仙腸関節1割とされ、それでも分らない人が3割おり、これを減らしていくのが1つの課題〟と仰られています。鑑別の要点といいますか、柔道整復師向けに具体的に臨床のヒントになるような点をお聞かせください。

講演の時にお話しましたように、椎間関節は後ろにある関節なので、反ると痛みが出る、或いは斜め後ろに反らすと痛みが出やすい。また腰の骨を押すと椎間関節に圧痛があるなど、そういうところから評価していきます。椎間板であれば前屈みで痛みが出やすく、仙腸関節なら仙腸関節の部分に痛みが出て、骨盤にストレスを加えると痛みが出やすい。しかも筋筋膜性は今述べたような場所ではなく、筋肉や筋肉と骨の境目に痛みが出やすい。そういう風な診察所見から、あくまでも推定ですけれども、推定をして評価していきます。

その評価に対してアスレチックリハビリテーションを行って、結果的に痛みが減っていけばOKだということで、そのまま診ていけば良いので、別に注射をしたりレントゲンを撮ったり、MRIを撮ったり、そういうことを行って、目で見えないものを見えるまで追求する必要はありません。患者さんも選手も治れば良い訳です。診断しないと気が済まないのは医者だけですから、それで評価して良いと思います。

 

―同講演にて、やはり金岡教授は〝筋肉の収縮をみるのに一番良いのは超音波です。もし治療院に超音波のある人は、腰痛の患者さんに実際にエコーをみせながらやるのが一番良い教育効果がある〟と話されています。具体的に金岡教授の場合、最も多く観察される筋肉あるいは部位はどこでしょうか。

具体的には、腹横筋とお腹の横のところにプログを当てて、ちゃんと筋肉が収縮しているかどうかを観察します。実際に画像を本人に見せながら、いろいろ指示をして、その上で練習をさせるのが一番分かりやすいと思いますし、手っとり早いと思います。

 

―金岡教授は公益財団法人日本水泳連盟医事委員長を務めていらっしゃいますが、同講演にて〝水泳連盟とスポーツ科学センターが協力して水泳選手の腰部障害の予防プロジェクトを2008年から行っています。MRIを使った腰のメディカルチェック、ストレッチ、体幹筋の強化、コーディネーション等を重点的に行っています。アスリートに対する介入だけではなく、一般の人への腰痛対策としても非常に有効で、体幹深部筋の賦活化を指導することによって腰痛の頻度が半年で減った〟と話されていましたように、運動指導は、プロの競技選手ばかりではなく一般の市民にも大切であると思います。この「腰部障害の予防プロジェクト」という事の概要をよろしければお聞かせください。

シドニーオリンピックに行った時に、腰痛でレースを棄権するという選手が一人居ました。その後の北京オリンピックの時にも椎間板性腰痛の人が一人居ました。それで椎間板の障害を減らしましょうということで、最初は疫学的調査でどの種目に椎間板性が多いかを調べました。

調査結果では、運動していない人は3割位なのに対して、競泳選手の6割位が椎間板を痛めていました。競泳選手が椎間板を痛める1つの原因として、壁を蹴ってスタートをする時に腰の椎間板にかなり負担がくるのではないかという仮説を立てて、日本代表選手は、年に1回腰のMRIを撮っています。椎間板が徐々に黒くなっていってヘルニアになりますので、黒くなりかけているかどうかをしっかりチェックして、その中で黒くなりかけている人には試合前にはあまり椎間板に過度な負担をかけないように指示をします。

ただし普段は腰の椎間板に負担のかからないストレッチを指導して、他には体幹の安定性を高める筋力の強化をしています。それを2008年から行ってきた結果、腰痛の発症件数はこの2002年~2016年までを見ると段々減っています。

 

―やはりそういった指導が行われるようになったことで、日本の水泳チームが金メダルを取るなど、水泳日本を復活することが出来たのでしょうか?またトレーニングについてはどの職種の方がされているのでしょうか?

私は、せいぜい合宿で教える程度ですが、コーチやトレーナーがしっかりやってくれているからだと思います。トレーニング指導を行うのは、やはり理学療法士が多いです。鍼灸師さんもおりますが、どちらかというと鍼灸の人たちは、痛みが辛い時にとるというコンディショニングを担当しています。先ほども言いましたように、同じ椎間板の障害でもいろいろなレベルがあり、手術をしなくてはいけないようなものから椎間板が痛いけれども神経の圧迫はなく、ちょっとした動きで痛いなど、そういう人にはコンディショニングをしなければなりません。

従って、大学病院で手術しなければいけないようなレベルに対しては整形外科医や脊椎の専門医が関わります。日常生活に全く問題がなくてちょっと運動をすると痛いというような人は、病院でのリハビリ、或いはアスレチックのリハビリをATが行っています。柔整の人がどういう介入をするかは人によって違うと思いますし、鍼灸の人は張った筋肉のリラクゼーション、コンディショニングという形で関わっています。

ただし、現場にはトレーナーという形で入っています。という様な役割分担であると思います。やはり、お互いが出来る範囲を見極めて其処をキッチリ守ることが大事です。スポーツ現場でのメディカルスタッフは、柔整2人、鍼灸2人、あん摩マッサージ1人、PT3人、MDの私とで構成されています。夫々みんな、自分が腰痛を治せると思っているんです。

ただ自分の領域がある筈で、筋肉から来ている腰痛は、鍼灸やマッサージで治るでしょう。何か整体的なことをやって治るのは柔整で治せるでしょう。またPTはトレーニング指導が出来るでしょうし、みんな腰痛に対する何らかの介入が出来ると思っている訳で、夫々が良い方向に持っていく技術を持っている筈です。

しかし自分の活動する領域がありますので、それをキチンと弁える必要があります。一応、整形外科医は一番酷い状態を知っておりますから、全体を見回して、今の選手の状態はどういう状態でそれに対してどういう対処が良いのかを判断します。

このようにスポーツの世界では、役割分担が一応出来ています。自分が対処してダメなものについては私に相談するようになっています。そういう連携が大事です。私は誰がゴールを決めても良いと思っていますので、最終的に〝俺が治した〟と言える人は誰でも良い。

そんなに酷い人はいないのでゴールを決められる人は多分柔整の人や鍼灸の人のほうが多いと思います。手術して治すことは殆ど無いので、私がゴールを決めることはまずありません。
つまり、治すことが出来れば誰でも良いんです。世の中もこういう形になれたら、相当医療費が削減されると思いますし、患者さんもあちこちうろうろ行かなくても済むため、そうなって欲しいと思っています。

 

―同講演で〝腰痛難民はかなりの社会的問題で、それをどう解決すれば良いか。自分の体の機能を改善することによって腰痛の再発予防が可能です。身体機能を高めることが重要で、言うのは良いが、それは何処で誰が保険適用をどういう形で行えば良いのかその辺はハッキリしていません〟とも述べられています。病気にならなければ、保険適用はされないため、予防で整形外科や接骨院に通うことは難しいと思います。その辺をクリアするには、また一般市民はどのように運動指導を受けられるようになるでしょうか?

本来は腰痛で日常生活を送るのが辛いという人以外は、保険を使ってはいけない訳ですね。原則はダメということですが、まあいろんな形で行っているとは思います。

結局、誰が何処でやるかということは未だ解決されていません。ある程度まで良くする方法論は、いろいろとあるでしょうけれども、更に機能を高めて、また機能が落ちてこないように予防する、或いはもっと高いレベルに機能を改善させることが大切です。

そのためには、やはり運動器に関わる人たちは、機能障害の評価と機能を改善させる方法を知っておいて、患者さんへの治療が終わった日には〝これを行うことで再発を予防できますよ。今後、年をとっても同じようにならないように出来ますよ〟と、運動指導ができることが大事です。

 

―同講演の最後に〝腰痛を機能的に評価をして、それに対する運動療法をちゃんと出来る人をなるべく育てたいとして身体機能研究会を作って腰痛運動療法セミナーを行っています〟と締めくくられましたが、柔道整復師の方々の参加は多いでしょうか?またどの位の頻度でセミナーを開催されているのでしょうか?

理論編と実技編との2つに分けております。

理論編は東伏見キャンパスで開いており、2か月に1回、年に5回、実技編も5回、計10回位やっています。今度12月に行いますが、110人位受講されます。理学療法士と柔整師とほぼ半々で、最近柔整の方が多いです。

実技編は35人定員のところを、もう随分前からいっぱいになっています。この理論と実技を知っていると自分のやっている技術に付加価値がつくようになると思います。

みんなが腰痛を治せると思っていて、それである程度楽になっても、それを維持するためには、やはりちゃんとした身体機能をつけなければダメですし、例えば柔整の方の治療院で教えてもらえるとなれば、それだけ評判も高まると思います。

理論編という所謂座学ですが、座学5回と実技を5回をトータルで受講された人に、これから何らかの認定証を出そうと考えております。また受講後に技術や指導力をキープするような研修会も時々行っています。

 

―金岡教授は整形外科医として、スポーツドクターとして、水泳連盟の医事委員として水泳競技のメディカルサポートに関わり、水泳日本代表選手団チームドクターとしてシドニー・アテネ・北京五輪に帯同された方です。競技会でのメディカルサポートの一番の目的はケガや故障で選手の競技力が落ちないようにすることと話されておりますが、現在のメディカルサポートにおける課題など教えていただけますか?

最近、腰痛は減っておりますが、肩の痛みが結構あります。勿論腰痛は今まで通りやっていきますけれども、今後は他の障害にもちゃんとその原因を明らかにして対処するということをしていきたいと思っています。

水泳はインピンジメント等の肩の障害が多く、そのために腱甲骨の周りの筋肉を上手く使うようなトレーニング指導を行う必要がありますし、しかもそれは肩こりにも関係します。従って腰痛の次は首とか肩の痛み、肩こりに対して良いような運動療法を考えていこうと思っています。

 

―2020東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日体大総合研究所所長・武藤芳照氏は、〝バランスの良いスポーツ構造の育成、それを社会に根付かせること〟と仰られております。金岡教授は2020東京オリンピック・パラリンピックに対して、どんなことを思われていらっしゃいますか?

2012年のロンドンオリンピックが終わった後の調査「社会的変化所謂レガシーでどのようなことが起きたか?」を調べた論文によると、イギリス人のナショナルプライドが昂揚した。自分がイギリス人であることを誇りに思う。多様性の肯定、障害者や人種の違いを認める傾向になってきた。もう一つの目標である「スポーツ習慣の創造」については、一般の国民がスポーツをちゃんとしましょうというもので、それまでスポーツの参加率が35%位ですけれども、ロンドンオリンピックの後、全然増えておりません。

〝オリンピック開催でスポーツを行うことをインスパイアされましたか?〟で、イエスは2割位です。という様にあまり成功とはいえない結果です。一方、日本の場合、運動実施率が年々伸びています。今47%ですから、大体国民の半分が週1回以上、スポーツを行っています。その割合は、60歳以上が6割と多いんですね。やはり世界で一番の超高齢社会で、皆さん寝たきりにならないために運動しなきゃと思っている人はいっぱい居る訳です。

ただ、この方たちがスポーツにお金を幾らかけるかというと、毎月5千円位ということですので、消極的であるように思います。こういう方たちが自分で体を動かして身体機能を高めて、腰痛にもならない、肩こりにもならないような体に自分でしていって欲しい。これは自費で行うべきだと思いますし、2020を契機にそういう方が増えてくれれば良いと思っています。

つまり、私の立場から2020年に期待するのは、オリンピックに出場するアスリート達の体の機能の素晴らしさを見て〝私もああなりたい〟と。もうちょっと今よりも歩くのが速くなりたい、長生きをして腰が痛くならずに歩きたい、何か仕事を肩がこらずにやりたいと。そういう体の機能を高めることをみんなが求めるような社会になって欲しいと考えております。

きっと今でも他の国々より良いとは思いますが、自分のお金を支払ってでもやって欲しいと思います。これをやったら腰痛が減りますよ、歩くスピード伸びますよ、劇的に肩こりが減りますよ、というちゃんとしたエビデンスがあればきっと皆さんお金を出してもやりたいと思います。ちゃんとしたものを示していくことで、何時か産業の1つになって欲しいと考えています。そうなれば医療費も減るし、良い事ずくめだと思うんですけど。
それを2020年に期待しています。(笑)

 

―今後、スポーツの果たす役割はますます大きく、世界の人々にもたらす貢献はもっともっと高まるものと思います。スポーツ医学の重要性も含めて金岡教授からのメッセージをお願いします。

少し強調したいことは、スポーツ医学は決してアスリートのためだけではなく、寝たきり予防にも転倒予防にも腰痛予防にもロコモ予防にも体全部の機能を高める方法を研究し、その正しい方法を普及させるのがスポーツ医学であり、スポーツ医学は全人類のためにあるということです。

いま日本で一番問題になっているのは超高齢社会です。その中で、レガシーとして競技場が幾つあったとしても何にも良いことはない。お年寄りの方達もオリンピックは一部の人がやっているだけだと思っています。でもそうではなく、自分の体のことにも関係しているんだということが伝わってくれれば良いなと思っております。 

 

●金岡 恒治(カネオカ コウジ)氏プロフィール

1962年4月13日生まれ。
1988年筑波大学を卒業。整形外科医師。筑波大学講師を務めた後に2007年から早稲田大学でスポーツ医学の教育・研究にたずさわる。シドニー、アテネ、北京五輪の水泳チームドクターを務め、ロンドン五輪にはJOC本部ドクターとして帯同。アスリートの腰痛予防研究に従事しており、体幹深部筋研究の第一人者。

資格:日本整形外科認定医。日本脊椎脊髄病学会認定指導医。日本体育協会認定スポーツドクター。日本水泳連盟医事委員長。

主な著書:「一生痛まない強い腰をつくる」、「体が生まれ変わる「ローカル筋」トレーニング」、「腰痛の病態別運動療法ー体幹筋の機能向上プログラム」他多数。

 

 
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