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(公社)日本柔道整復師会第12回大阪学術大会が開催される

2018/08/28

平成30年8月19日(日)、シティプラザ大阪にて「公益社団法人日本柔道整復師会第12回大阪学術大会」が開催された。

主催者である公益社団法人日本柔道整復師会・工藤鉄男会長は〝本日は市民の皆さんをはじめ、柔道整復師を目指している学生の皆さんや柔道整復師も各地から集まっている。ポスターにも「未来を拓く」という言葉が書かれている通り、特に学生にとってはこの学術大会は未来を拓いていくことに繋がると思う。柔道整復師は日本の文化に合わせて独自に発展した伝統医療であると肝に銘じていただきたい。柔道整復は今、保険請求の問題等で国民の信頼を失いかねない状況にあり、何とか信頼を回復したいとの想いから改革を行っている。まず教育改革として、養成校のカリキュラムを大幅に変更した。そして制度改革により、柔整審査会の権限強化や施術管理者の要件強化などを行った。また改革を進めると同時に、地域包括ケアなど社会保障のなかでの柔道整復師の職業としての立場をしっかりと築いていきたい。まだまだ柔道整復師の未来は拓いていけると確信している〟と熱い想いを挨拶に込めた。

 

主管である公益社団法人大阪府柔道整復師会・徳山健司会長は〝業界では今、学校教育をはじめ大規模な制度改革が進められている。これは柔道整復業界が質の向上と倫理観が求められているということであり、本学会は質の向上に大きく寄与できると考えている〟とし、当日のプログラムを紹介した。〝公益社団法人日本柔道整復師会保険部からは少子高齢化社会に対応するための講演として、柔道整復師と地域包括ケアシステムについてご講演いただく。加茂整形外科医院の加茂院長による教育講演は、我々の日々の臨床に直結する内容になっている。特別講演では富山大学大学院医学薬学研究部の髙本特任助教に、柔道整復のエビデンスの構築についてご講演いただく。会員発表、学生発表では日々の研究成果を報告していただけると期待している。いま医療業界はあらゆるニーズに対応していくために関連職種の教育改革が進められている。我々柔道整復師も真摯に取り組んでいかなければ医療業界から取り残されてしまう。大阪社団は療養費の適正化や学術の研鑽を積み、地域医療に貢献していきたい〟と力強く述べた。

 

柔道整復師と地域包括ケアシステム
-2018柔道整復師と介護予防-

公益社団法人日本柔道整復師会保険部
藤田正一氏

藤田氏は〝現在の医療は地域包括ケアシステムにシフトしている。地域包括ケアシステムは医療、介護、生活支援サービス等が身近な地域で包括的に確保される体制のことで、患者・利用者にサービスを提供する専門職として柔道整復師も含まれており、その役割を果たす必要がある。疾病を抱えていてもできるだけ自宅で療養していくためには、医師をはじめ看護師や薬剤師、柔道整復師など多職種が連携することが重要となる。例えば怪我をした患者が自宅で療養することが困難と思われた場合には、地域包括支援センターに連絡し、介護サービス事業者と連携する。柔道整復師が介護を行わなければならないということではなく、他職種と情報を共有することが大切となる〟として、地域包括ケアの概要を説明した。

〝介護保険において、柔道整復師は介護老人福祉施設や通所介護事業所などで機能訓練指導員として従事している。介護給付には指定基準や人員基準があり接骨院では行えないが、介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)は接骨院でも行なうことができる。総合事業は市区町村が権限を有しており、市区町村により条件が異なる。療養費が骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷を対象としているのに対し、総合事業では生活機能低下者を対象としており、総合事業で来院した患者には治療をするわけではなく、機能訓練を行うことになる。様々な疾病を抱える患者が来院することになるため、研修会等で様々な知識を身に付けておく必要がある。総合事業の中でも、通所型サービス(デイサービス)が最も参入しやすいと思われる。通所型サービスにもサービスA(運動・レクリエーション等)、サービスB(住民主体による支援)、サービスC(生活機能を改善するための運動器の機能向上や栄養改善等のプログラム)があり、サービスCの活動を行っている柔道整復師が多い〟として、実施までの流れやチェックリスト、支援計画書の記載等、具体例を示して解説を行なった。

藤田氏は〝介護予防に貢献するということは医療費や介護費の軽減につながる。また業務の適正化も図ることができる、柔道整復師の活動範囲が広がる、他職種との連携が図れる、柔道整復師過剰対策にもなる〟等、地域包括ケアシステムへの参入には多くの意義があるとした。

また、現在、『一般社団法人日本機能訓練指導員協会』の設立に向けて準備を行っているという。従来の『機能訓練指導員認定柔道整復師』を発展させたもので、『認定機能訓練指導員』に名称も変更する予定とのことで〝現役の柔道整復師はもちろん、今後資格を取得される学生の皆さんにもぜひ興味を持っていただきたい〟と語った。

 

教育講演
筋骨格系の痛み疾患のモデルチェンジを!

加茂整形外科医院
院長 加茂淳氏

加茂氏は〝「神経が圧迫を受けると痛みやしびれが生じる」「老化した関節や変形した骨は痛む」「筋肉痛は放っておいても治る」といった話を聞いたことがないだろうか。これらは全部、根拠のない間違った思い込みだと思う。専門医ですらそう思い込んでいる。近年は慢性痛が話題となっているが、筋膜性疼痛症候群(MPS)にはほとんど触れられていない。なかにはMPSの存在すら信じていない、筋肉の痛みに関して無知な医師も多い。「Pain in Japan 2010」によれば、日本成人のうち約22.5%が慢性疼痛を保有しているとされているが、7割の患者は適切に緩和されていないという。外傷の早期やリウマチ系、痛風などは組織損傷を伴うので、慢性ではなく急性痛が繰り返し起こっていると考えられる〟等述べて、慢性痛や神経障害性疼痛などの定義について解説した。

〝怪我で半月板を損傷したことにより痛みが生じた場合、あくまで怪我が疼痛の原因であり半月板損傷が原因と考えることは間違いである。構造的に治癒していても痛みが残っていては苦痛となってしまうため、痛みの治療が優先されるべきと考える。痛みの生理学は1980年代中頃に急速に進歩した。スコットランドでは腰痛であっても①活動的を保つ、②単純な疼痛緩和を試みる、③必要であればアドバイスを求める、ということが提唱されている。また、British journal of sports medicineは変形性関節症には運動療法を行うことで、短期間で良好な結果が得られたとしている。オランダの調査ではヘルニアは手術をしてもしなくても、1年後の結果は同じであると報告されている〟等、様々な文献や研究データを示しながら、組織損傷の治療と痛みの治療は別のものだと主張。痛みの発生機序等についても図解し、分かりやすく説明した。

最後に〝患者の訴えは正しいものだと考えること。医学的にあり得ないなどと考えずに耳を傾ける。病院は安心を売る商売である。親切にすることが最大の医療の補助となる。腰痛があっても「一大事だ」と思わせずに「動いていれば大丈夫」と思わせることで回復につながっていく。痛みがあってもまずはやってみること(やればやるほどいいというわけではない)、動くと悪化するという誤解を是正することが大切である〟と纏めた。

 

特別講演
「柔道整復を科学する」

富山大学大学院医学薬学研究部システム情動科学講座
特任助教 髙本考一氏

髙本氏は〝外傷には柔道整復術は効果的だと柔道整復師は考えているが、医療行政、また柔道整復師以外の医療従事者のなかには「エビデンスがないから信用しない」とその効果を疑念視する人もいる。そこで我々は富山大学で行ってきた研究をもとに、柔道整復施術の妥当性を検証した〟として講演をスタートした。

富山大学では2009年から2017年にかけて、日本柔道整復師会の寄付により、寄付講座として神経・整復学講座が設立され、10以上のプロジェクトで運動器疼痛の成因ならびに柔道整復の後療法である手技・温熱・電気刺激療法の有効性とメカニズムに関して研究が進められてきた。寄付講座の終了に伴い、半分以上のプロジェクトが継続困難となったが、現在、残りのプロジェクトにおいて数多くの研究が行われている。

現在、医療判断をする際に経験だけに頼るのではなく、計測された実験結果から得られた科学的根拠をもとに客観的かつ効果的で安全な医療(EBM:Evidence Based Medicine)が求められている。特にEBMで重要なのは、ヒトを対象とした臨床研究での実証報告とされている。

今回はその中でも、「整骨院に来院した患者(頚部痛、腰痛)の痛みの成因を明らかにする」、「柔道後療法の有効性を明らかにする」、「柔道後療法の鎮痛作用機序を明らかにする」の3つの研究テーマについて発表が行われた。

観察研究および画像診断研究、臨床試験、脳機能イメージング研究を行うことで、痛みの発生と外的要因の関係性、柔道後療法(トリガーポイント圧迫)の疼痛緩和への有用性とそのメカニズムが明らかとなってきているという。

最後に〝柔道整復には施術の妥当性を証明するために、特に臨床研究によりエビデンスを集積することが重要だ。研究室での研究だけではなく、臨床で活躍する柔道整復師による研究が必要となる〟と呼びかけた。

 

学生発表

有鉤骨骨折の治癒経験からわかるTFCC損傷との鑑別方法の検討
~誤診の原因から観える対処法~

大阪行岡医療専門学校 松元英祐

主運動に関連したウォーミングアップと非関連ウォーミングアップが
主運動のパフォーマンスに与える影響

大阪府柔道整復師会専門学校
松尾莉野、斎藤巧馬、坂中悠真、出口優太

交代浴が運動に与える影響

大阪ハイテクノロジー専門学校
伊藤星香、上田真夕、鵜飼まどか、田村恭平、東野沙恵

体幹に行うレジスタンストレーニングが成人のバランス能力に与える影響

大阪府柔道整復師会専門学校 藤原和輝、南尊敬

 

一般発表
足底腱鞘炎のテーピング及び施術

東大阪支部/松永栄整骨院 松永泰栄

ノルディック・ウォークポールの持ち方による歩き方の考察

豊中支部/おか鍼灸整骨院 岡喜与志

足関節捻挫の臨床例にみる柔道整復施術の有効性の検討

高石支部/阪本整骨院 阪本仁司

鎖骨遠位端骨折の偽骨折が骨癒合に至った一症例

羽曳野支部/かわむらクリニック 𠮷田健人

マレットフィンガー保存療法に対する固定法のポイント

東淀川支部・ヒグチ整骨院 樋口正宏

遷延治癒過程から骨癒合が得られた骨性マレットフィンガーの一症例

淀川支部/かわむらクリニック 墅間龍太郎

当院が経験した大腿骨辷り症の一症例

住之江支部/平沢整骨院
清水大地、幸田浩之、中田安季子、青柳紅輝、児島和也、平沢伸彦

 

 
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