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柔整探訪、業界内に埋もれている秀でた先生を発掘!【第1回:鶴亀(つるき)整骨院   伊藤篤  氏】

2013/09/01

―整形外科の保存療法と柔整の保存療法において違いはあるのでしょうか?

そんなには大きく変わらないと思いますが、捉え方は多少違うかもしれません。柔整のことをよく理解されている先生であれば、似ていると思います。ただ、ドクターが診るのと柔整が診るのでは視点が異なるところがあると思います。私自身、整形外科に居た時にカンファレンスの時の視点が違っていました。柔整は割と全体的にみますが、整形は疾患の部分的なものをよく診れらますし部分的な知識が非常にたけていますので、そういう点では、柔整はかなわないんですが、全体像を診るという点では我々のほうがいくらか良いと思います。余程の状況じゃない限り整形外科も、保存で様子を診ていてそれがダメだった場合、手術でということになる訳ですが、部分的に診ているという点で、よくなっていかないことが結構あります。私が整形に居たとき、そういった患者さんを任されて、部分的なものだけではなく、何故そうなっているのかという全体を診てやるようにしていて、それが結果に繋がっていった時に、〝あ、そうなんだね〟と院長から信頼をいただいたものですから、そういう点の違い、整形の良さと柔整の良さとの両方を併せてその病院でやって来ましたので、他には無い整形外科が出来上がったと思います。

 

―それは患者さんにとって理想的ではないでしょうか?

ええ、確かに理想的だと思いました。だからこそ、患者さんからの信頼も非常に厚かったと思います。今でも話を聞く限り、変わらないスタイルでやっていて、そういう基礎づくりに私も貢献出来たということで、相変わらず忙しいという話を聞いています。その後、今は理学療法士さんも雇ったりされている様ですが、院長先生は〝柔整のことは忘れていない〟と伺っていますし、大元にはそういうものがあったからであるというのは、常に頭にあるそうです。このことは私の励みになっています。その病院の地域の方々は非常に恵まれていると思いますし、患者さんにとってはとても良いと思いますが、周辺の整形外科や接骨院にとっては辛い面があると思います。逆にそういう整形と上手く密接に提携組んでやっていけるようになって患者さんのやり取りが出来るようになり、患者さんを送ってもちゃんと返ってきます。もし危険性があれば、返書に〝様子をみます〟等、必ず一方通行ではないやり取りが出来ます。患者さん中心でやるかやらないかでその辺が変わってくるように思います。

 

―伊藤先生は、柔整業界の現状についてどうお考えですか?

柔整の現状は、非常に危ない状態であるということは以前からずっと感じています。私の師匠である先生からも常に言い聞かされていたものですから、危機感は常に持っていました。未だその頃は具体的には全く分っておりませんで、ただ危ないという漠然とした思いがあり、いろんな技術を学んで、もし保険がダメになっても備えをしておく考えでした。しかし、実際に自分で開業してからはまだまだこの柔整は捨てたもんじゃない、この柔整をダメにしては勿体無い、この現状をなんとかしたいという思いがどんどん強くなってきています。

 

―伊藤先生は柔整業界が今後どのようになっていけばよいと思ってらっしゃいますか?

やはりこの現状を打破するためには、柔整業界自体の基準を明確、且つ公けに示さなければダメだということを最近よく感じます。それを今までやってきていなかったために、例えば保険者からの信用を失って、どんどんダメになっていってしまうのは、本当に危険だと思います。それには業界団体がバラバラに動いていたのでは、この現状は突破できないと思います。1つになることによって、大きな力が必ず生れると思いますし、どうしても大きな力が必要です。そのためにはみんなが1つにならなければいけないというのは常に感じています。

 

―中央と地方の違い等について、何か感じられていらっしゃいますか?

恐らくやっていることは何処でも一緒です。ただ経営的な面から見れば、都会と田舎の違いはあると思います。都会は人の数も多いですから、当然ニーズも多いと思います。一時期、名古屋で開業を考えたこともありましたが、それでも田舎、地元に帰ってやりたいという気持ちは強くありましたし、地元に貢献したいという気持ちがありましたので、今はここでやって良かったと思っています。地域にどれだけ貢献していけるかというのは、やはり本人次第ですので、何処でやろうが、そんなには大きく変わらないと思います。キチッと信念を持ってやれるかやれないかです。都会ではマッサージをして欲しいという患者さんが多く居て、医療サービスという言い方をされるんですけれども、確かにサービスもある意味で必要と思います。しかし、我々柔整師がしっかり患者さんをリードしていかなければなりません。患者さん中心でやっていても、そこは個人的ニーズに応えるのではなく、こちらの治療方針と指導管理のやり方を守っていただかなければ確実によくなっていかないということを分かっていただかなければなりません。要は説明をきちんと出来るかどうかです。開業当初は私もマッサージはやらないという考えでした。しかし、何故我々柔整が肩揉んだり腰揉んだりするのか、それが如何役に立っているのかということが理解できた時に〝あ、こういうものも必要だ!〟ということがよくよく分かったものですから、考え方は今は大きく変わっているんですが、やっていること自体はそんなには前と変わっておりません。ものの見方、考え方をちょっと変えるだけでマッサージに対する偏見がとれました。その様に説明責任があるのにそれが果たせていないから保険者さんにしてみればますます不安が募り、もう信用できないという今の現状に繋がっていると思います。従って説明責任を果たすことをしていかない限りは今の危機的な状況は変わらないと思いますし、寧ろ酷くなる一方だと思います。

 

―厚労省から保険者に通知が出されたこともあり、適正化という名のもとに患者照会や返戻が頻繁になっていますが、伊藤先生はそのことをどのように思われていますか?

沢山経験しています。以前は非常にイヤだなと思っていました。今も決して良い訳ではありませんが、1つ違う点は〝別に恐れることはない〟〝別に悪いことをやっている訳でもない〟と。そういうものに対して、普通にやっていれば別に何の問題もないことなのに、何故そんなに恐れなければいけないのかと思うようになりました。

 

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