menu

第4回「上手・適正な保険請求のためのセミナー」開催

2014/09/16
第三部:「療養費の審査基準の運用について・柔道整復施術ガイドラインの作成について」討論会

次に、討論会に移る前に「患者と柔整師の会」事務局およびJB日本接骨師会事務局より各報告が行なわれた。

保険者訪問報告

多くの保険者が現状に合わないルールで受領委任払いが行なわれていると認識している。患者が良くなるのならば急性外傷以外でも療養費扱いしても構わないが、医科の支払基金のような申請・支払いを取りまとめ、規律を持って柔道整復師を指導できる機関があると良いという保険者が多い。患者照会により徐々に請求額は減っているので、今度は併療について厳しく審査するという保険者が多くなってきている。受領委任払いがあるから不正が起きる、償還払いにすべきという厳しい意見や柔道整復師の質をどう担保するのかと懸念する声もある。

急性期経過外傷申請書提出後の報告

患者と柔整師の会は「柔道整復療養費請求受領委任払い制度運用改善方策案」に基づき、JB接骨院において昨年11月より急性期を経過した外傷についての申請書提出を開始している。半年以上が経過し、一部厳しい反応を示す保険者もあるが急性期を経過した外傷の請求を継続して推進していく。

医科との併療について

併療による返戻は増えてきている。患者が「1日しか病院に行っていない」と言っても、湿布薬を30日分もらっていればその期間は医師の管理下にあることになる。いつ併療があったのかと尋ねても「個人情報だから患者に聞くように」と言う保険者や一切返答のない保険者もあり、患者に情報開示に同意していただいて保険者へ情報開示の請求をしている。患者としっかりコミュニケーションをとり信頼関係を築くことで、併療での返戻も少なくなると思われる。

柔整業務浄化対策と広告についての委員会活動報告

接骨院・整骨院の看板や広告に適正な表示がなされていない施術所が増加しており、柔道整復師のモラル低下が懸念されている。厚生労働省は本年1月に広告の指導徹底を求め、一部都道府県では既に広告規制や指導が開始されている。当委員会では広告や看板等の柔道整復業務の情報提供のあり方について、現状に適したルールを作成するとともに知識・情報を共有していく。

 

続いて本論の討論会へと移り、まず進行役である本多清二氏が〝私どもは適正な請求がどうあるべきかを考えて活動してきた。患者・保険者・施術者各方面から話を聞いてきたが「柔道整復の施術内容が分からない」という意見が保険者から上がってきた。一枚の申請書では到底わからない。しっかり施術をやっていても原因をきちんと把握していないと書けない。嘘を書くから保険者に信用されなくなってしまった。だから原因がはっきりしない施術を療養費で扱ってもらいたいと正直に現状を訴えようとしている。ではどうしたら急性期を超えた外傷を適正な施術として治療してもらえるかと考え、「柔道整復施術ガイドライン」作成に至った〟としてガイドラインの要旨を説明。さらに、協定が締結された昭和11年当時のルールが現在まで適用され続けていることに言及し、〝当時にはなかった国民皆保険制度が始まった。労働状況も生活様式も食生活もすべて変わってきており、怪我の背景もずいぶん変わった〟として、時代に即した基準へと改革していく必要があると強調した。

会場の参加者からは

保険者に対してわかり易く情報を書くのが最も重要だと感じている。患者とのコミュニケーションも重要だが、申請書一枚に書ききれない情報をどうまとめるか。
初めて接した考え方だったので目から鱗が落ちた。
自分たちの生活に直接関係することでもあるので、真剣に考えていかなければならないと感じた。
もっと前から業界が一つにまとまって、陳旧性外傷を扱えるよう運動を起こしていれば現状は変わっていたのではないかと感じた。

などの意見・感想が上がり、参加者が自らの施術を見つめ直す機会となったことがうかがえた。

 

最後に本多氏は〝部位別請求は限界にきている。慢性期を扱う割合が増えると部位別で扱えなくなる。部位別を止めて一括請求で扱うなど新しい料金体系を作る必要がある〟と述べ、閉会となった。

 

前のページ 次のページ
大会勉強会情報

施術の腕を磨こう!
大会・勉強会情報

※大会・勉強会情報を掲載したい方はこちら

編集部からのお知らせ

メニュー