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スペシャルインタビュー:アスリートの夢を支援して

2015/01/01

11月29・30日に開催された第23回日本柔道整復接骨医学会インターナショナルセッションで「私が柔道整復師を目指した理由」と題して発表された中華人民共和国の兪勁楠氏に終了後インタビューをさせていただいた。

 

―まず初めに、兪さんは中国全国ショートトラックスピードスケートチャンピオン大会で第一位に輝かれ、長野冬季オリンピックに出場されましたが、小さい頃からスピードスケートをされていたのでしょうか?

アスリートやはり小さい時は遊びみたいな感じでした。最初は、フィギュアスケートもスピードスケートもアイスホッケーもほぼ同じような練習を行っていました。だんだん大きくなっていくにつれてコーチの見方や〝こういう風に練習したら良い〟などアドバイスもありまして、競技種目を選ぶようになります。はじめからその競技種目をやることが目的で始めた選手も勿論おります。私自身、自分の記憶では、遊び程度で練習しておりましたが、その後スピードスケートをやるようになり子どもの合宿チームに入りまして、それ以降ショートトラックのスピードスケートをずっと続けてきました。

 

―選抜されてその合宿チームに入られるんでしょうか?

そうです。最初にコーチが選んだ子どもが10人ほど居ましたが途中でやめたりしまして、残る人は本当に少なく1人か2人になります。スカウトの方が学校に来て、走るのが速いとか、素質のある子どもをスカウトすることも多いです。中国が発展する時代、80年代はやはりコーチが学校に選びに行くことが多かったと思います。でも、80年代後半90年代になって一人っ子政策を行ってから、自ら〝私はこれを習いたい、私はこれをやりたい〟として、或いは親が望んで育てることが多いと思います。私の場合は親から言われたのではなく、自分がスケートをやりたくて始めました。始めたのが12歳ですから、早いとは言えないです。

 

―中国のスピードスケートの競技人口ってどの位いらっしゃるんですか?又、スキーとスケートの人気は?

詳しい数字は分かりませんが、やはり中国は広く、北京より上の東北地方が寒い地域で、8~9割の選手を育成しており地域性があります。中国はソチオリンピックで、ショートトラックスピードスケートの金メダルを取ったこともあって、いま中国での基盤にあるスケート競技はショートトラックスピードスケートになっております。そのため、全国的に誘導して南のほうにもショートトラックスピードスケートを紹介し、室内のリンクでやりましょうというプロジェクトがあると思います。日本では趣味で山に行くのは普通ですし、日本のスキーは優秀な選手が沢山います。どちらかというと中国は、スキーは山に行かないと出来ないため、スケート人口のほうが多いと思います。

 

―スピードとフィギュアとの人気はどうですか?

中国は成績が良いほど優遇されます。日本ほどフィギュアの人気はないと思うんですが、いまフィギュアはペアの選手が凄く有名になって力を入れているとされています。ショートトラックもオリンピックで金メダルを取ってから国から凄く優遇されていますが、中国の場合、ショートトラックスピードスケートとフィギュアスケートを比較しますと、いま同じくらいの人気だと思います。

 

―長野冬季オリンピックの印象や感想など教えてください。

随分前のことになりますが、自分の人生にとっては、とても良い思い出になりました。日本に初めて来た訳ですが、清潔さとシンプルな美しさが凄く印象が深く、しかも大会スタッフは大変丁寧で、ボランティアの方もとても清潔感がありましたね。

 

―柔整の方達も救護やトレーナー活動で参加されておりましたが、そういう方々の印象はどうですか?

現場で自分が体験したことではありませんが、救急処置をされているところを見ました。短い時間で信頼感を作るのは凄く難しいことですが、専門的な立場からそういった怪我をした現場での指示、その後のアドバイスなどを言ってあげたらとても役に立つと思います。それにより段々信頼感が生まれます。また日本では、アスリート以外のスタッフの方達にもサポートしてくれる組織があるという印象が深くなったら、ますます信頼感が出来てくると思います。

 

―兪さんは中国の瀋陽体育学院を平成11年に卒業され、平成16年に大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科修士課程に入学されていらっしゃいますが、どんな研究テーマだったのか教えてください。

引退してから、私の今までの世界が、本当に狭いと思っていました。もう1つは、自分がやっている競技について、練習方法等は分っているけれども本当のメカニズムはどうなっているのかということに凄く興味がありました。紹介してくれた大学の先生にいろいろ話を聞くと、バイオメカニクスの研究で、スケートの競技を分析したら更に仕組みが分かるということで興味を持って、スケートのスタート動作分析と筋電図の分析を行いました。

 

―大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科修士課程を修了された後に西日本柔道整復専門学校に入学されたのは何故でしょうか?

2006年に修士を卒業して、修士課程の時に結婚しておりましたので、その後、柔道整復師の専門学校に入ったんですが、途中で長男が生まれまして、休学して2010年に免許資格を取りました。選手時代に怪我をしたことと主人のお父さんが柔道整復師でいろいろなことを教えてくれました。将来的に選手に役に立つ手法として、自分も更に勉強しようと思って、柔道整復師の免許を取ろうと思いました。自分自身の気持ちと周りの方のアドバイスがあったからです。

 

―西日本柔道整復専門学校を卒業されてから再び大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科博士課程に入学されたのは、どういう研究を志されているからなのでしょうか?

研究内容は変わらないのですが、修士課程というのは、研究する方法を学ぶ段階と思っております。やはり後期、博士課程にいくのは、自分がやってきた競技についてもっと深い研究をしたいという気持ちがあるからです。勿論その研究方法とその研究内容が、柔道整復理論や技術をプラスすることで更に良い内容になるだろうという考えもあります。研究の立場から、柔道整復師の仕事が役に立つ面もあると思いますし、逆に柔道整復師の治療法をもっと科学的に解明するチャンスもあるのではないかという思いがありました。

 

 

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