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シンポジウム『反社会的勢力から柔道整復師業界を守るための提言』開催

2016/01/01

3. 今後の対策について

菊地氏佐野氏は〝柔道整復師の倫理教育に関する指摘があったが、今後どうしていけばいいと考えるか〟と問うと、大学職員である白石氏は〝公的資金を療養費という形で使用しているわけで、大変高い倫理観が求められる。教育を受け、モラルを守って施術ができると認定されて初めて請求を行なえるようにするなど、何らかの条件をもって保険請求をできるようにすべきではないか〟と述べ、菊地氏は〝学生に対しては学科の内容に応じて、技術者倫理という必修科目があり専門家や法律家が講義にあたっている。職員はコンプライアンスの研修会を年に4回~5回受けている。繰り返し啓蒙活動をしていくことが大切だ〟と、常に倫理観を持って業務にあたることの重要性を意識づける必要があるとした。

また個人的に行っている教育として、研修生を受け入れた経験のある嶋木氏は〝倫理教育以前に、報告・連絡・相談のような基本的な規範ができていない学生が多い。専門教育を受ける前の基本的な教育が疎かになっているように感じる。繰り返し伝えるしかないと思う〟と厳しく指摘した。

栗山氏栗山氏は〝免許を取ってすぐに開業する柔道整復師が開業資金を工面するために甘い誘惑に乗ってしまうことで、業界全体が不正を行っているという目で見られることが非常に残念。若い柔道整復師に対して教育していくことが必要であり、もし関わってしまった場合には所属団体等に相談できるようなシステムを整備しておく必要がある〟とし、反社会的勢力とのかかわりを未然に防ぐことは勿論、万が一関わりを持ってしまった際の対応についても検討する必要があることを示唆した。

厚生労働省に勤めた経験を持つ参加者は〝三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)では新規会員に対し、保険を扱う上での倫理や医療費使用に際する規則等を厚生労働省が指導する。柔道整復師についても指導を受けることになっているが、厚生労働省も点数の高い医師等に対する指導に力を入れているという実情がある〟とし、厚生労働省をはじめとする行政の指導体制にも問題があると指摘した。また〝柔道整復師になるには、昔は研修を行ってどこかの団体に入らなければならなかった。しかし現在は団体に所属する必要もない。免許の更新制度や講習を必須とすべきではないか。どんどん開業する人が増えているなかで、問題が起こらないような制度に国をあげて改正してもらいたい。そうすれば柔道整復師の地位も上がると思う〟と不正を働くことができないような厳しい制度への改正を望む参加者もいた。

 

 

最後に佐野氏は〝柔道整復を業として行っている人、あるいはこれからこの道に進もうとしている人のために、業界が汚染されないようにすることが大切。そのための取り組みを各団体でも行なってもらいたい。相談業務をどうしていくかも重要であり、学術団体などとも連携を取りながら提言を行いたい。養成学校等に関しても倫理教育の重要性が出てきており、カリキュラムをどうしていくかなど細かい点を組み入れながら提言を纏めたい〟としてシンポジウムを締めくくった。

 
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