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(公社)大阪府柔道整復師会、療養費適正化理念を発表

2016/04/04
公開討論「10年後の柔整療養費はどうあるべきか?」

平成28年大阪保険講演会公開討論

理念発表後、大阪府柔道整復師会・安田剛会長の他、一般社団法人大阪臨床整形外科医会・宮田重樹理事、太陽生命健康保険組合・長嶺秀一常務理事、大阪府岸和田市国民健康保険課・北川直正氏、奈良県橿原市保険医療課・今井大介氏の4名をコメンテーターとして迎え、「10年後の柔整療養費はどうあるべきか?」をテーマに公開討論が行われた。尚、コーディネーターは日経ビジネス・庄子育子編集委員が務めた。

〝先ほど大阪府柔道整復師会の並々ならぬ強い意欲を語っていただいたが、理念を聞いてどう感じたか?〟と庄司氏が尋ねると、コメンテーターからは〝本当に素晴らしいことだと思う。実行していただければ大阪の療養費は必ず適正化が推進される〟や〝守られれば保険者も点検に手間がかからなくなる〟〝公益社団法人として、患者のためということが前面に出ており、公益としての役割をしっかり認識されている〟等、好意的な意見が多く上がったが、〝賛成だが当たり前のことが書かれているというのが本音〟や〝このような理念を作られることは初めてだと思う。しかし、本来であれば10年前に出来ているべきだったようにも思う〟との辛辣な意見も上がった。

理念実行に際する課題として、宮田氏は〝療養費適正化特別対策班を設置しても、会員以外への指導は難しいだろう。しっかりルールを決めて、不正のラインをはっきりさせてほしい〟と鋭く指摘した。今井氏は保険者と行政という2つの立場から〝保険者・患者・柔道整復師に加えて行政も一緒になって4者で適正化していく必要がある。理念に盛り込まれている通報についてだが、通報先が動かなければ仕方がないので行政も協力していく必要がある。「どこもやっているから」と競争せざるを得ないからルール違反をしてしまうのだと思う。一斉にきれいにすればみんな改善されるだろう〟と述べた。安田氏は〝一番の問題点は支給基準に合致しないものを保険で請求すること。生計を立てるために支給基準を拡大解釈している柔道整復師もいるがそれでいいのか?ルールはしっかり守らなければならない。時代の医療ニーズに合わせ、柔道整復師が活躍できるよう支給基準を見直していく時期が来ている。しっかり審査会で線を引いていくことが大切。根本的な制度改革が必要になっているとも思っている〟と、ルールを整備するうえで大規模な改革が必要になる可能性も示した。

〝最近問題となっている反社会的勢力との関わりについては、国保加入者が狙われている事例が多かったが国保の審査の甘さもあるのでは?〟との庄司氏の問いに対しては、今井氏は〝連合会ごとに考え方が違うと思う。今まで奈良県では一次点検で問題があると思われても、その情報が保険者に流れてこなかった。そのため結果的に一から審査をやり直しているような状態だったが、現在は二次点検で調査が必要なものについては印をつけてもらえるように動き出している〟と述べ、点検の精度を上げるための取り組みを進めていることを明かした。

また、庄司氏は〝理念が実行されれば業務範囲の縮小にもつながってしまう恐れもある〟と指摘。これについて北川氏は〝療養費だけに限定せず、行政とタイアップするような事例やスポーツの場など、活動の場は広げられると思う。そうすると療養費は今ほど重要ではなくなる〟と述べ、続いて長嶺氏は〝腕のいい柔道整復師であれば口コミで自然に患者が集まるだろう。そうならば保険に頼らず自由診療でやっていけるのではないか〟、宮田氏は〝ジムなどでトレーナーとして働いている人もいる。地域包括ケアの中でも研修を受けて機能訓練士として活躍する道はあると思う。高齢化が進む中で、運動指導などをきちんと行い高齢者が元気に過ごせる国造りの一翼を担っていただきたい〟とし、療養費を扱わないという選択肢もあると示唆した。

これらの意見を受け、最後に安田氏は〝この理念を決意するには非常に勇気が要った。本音を言うと、これ以上辛い思いをさせるのかという先生も多いと思う。保険者には自費でやったらいいと言われるが、私は療養費を死守したい。柔道整復師として公的な医療保険を府民のために使っているという自覚さえしっかり持てるならば、療養費を使ってもらいたいと考えている。そのためにもう一度柔道整復についてみんなで考えよう。看板でしか集客できないのなら辞めればいい。国家資格という資格を与えたのであれば、生計が立てられるようにしてほしいが、そのためにまず自分たちが襟を正そう。伝統医療として日本人の気持ちのいいところを大阪から示していきたい。まだ第一歩であるので、これからに注目し、できれば後ろから背中を押していただきたい〟と力強く語り、改めて協力と団結を呼びかけた。

 

 
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