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第2回療養費適正化勉強会が開催!

2016/07/26
「このままでいいのか?柔道整復業界」と題して(公社)大阪府柔道整復師会前会長・安田剛氏が講演。

安田氏は、〝私が柔道整復師になって開業したのが32年前です。後半の15年間を大阪社団柔道整復師会の役員をさせて頂きました。いま浜西先生のお話を聴いて、平成14年当時、浜西先生のお名前をよく耳にした頃だったと思い返していました。近畿大学医学部の浜西教授のお名前は柔道整復師で知らない者はいないと言われています。柔整バッシングというのは何がどうなのか、臨床整形外科の先生方は一番何を怒っているのか、どうしてほしいのか、如何すべきかを理解していませんでした。今日、本音で言って頂いて、こういう機会を与えて頂きました。丁度一年前に大阪社団の副会長とこの勉強会に参加させてほしいとお願いしました。柔道整復が療養費である以上、整形外科の先生方とだけ話しても解決しない、最終決定権は保険者の方が持っておられます。こういう形が良いのではというところも含めて腹を割って話をさせて頂きたい。

私どもの業界で一番まずかったと思うのは、見て見ないふりをしてきたということです。会員によく言われるのは、いま臨床整形外科医の先生の何処に行っても同意を全くしてくれないと。当会には協力指導病院という非常に柔道整復師頑張れといってくれる先生もおられますが、数年来、「同意したらだめ」という話の中で、逆にいえば患者さんにとって非常に良くないことで、かかえたくない患者もかかえてしまう状況が起こり始めていた。「どうして適正化が必要なのか」。今日は大阪柔道整復師会の今後の取組みについて考えてみたい。適正化は、行政・保険者側からすると金額を減らすことだというのが定説のように言われていますが、私自身、適正化というのは単にお金が安くなるという問題ではなく誰がみても「それはそうだ」といえるものが適正だと思っています。誰が見てもおかしいだろうというのは、やはりおかしいんです。

昭和63年に個人契約が認められて、柔整業界は大きな変革期を迎えました。昭和63年までは社団法人の柔道整復師会に入らないと保険の請求は出来ませんという非常に厳しい指導がありました。しかも大阪社団では1部位が当り前で2部位が多部位というのが私が入会した時代でしたが、既に業界内では自浄作用が必要だといわれていました。いま、恐らく大阪府下の接骨院の数は6500を上回っていると思います。しかし現在の大阪社団の会員は2000人を切り組織率は3分の1に達していません。というのは60人入って60人がやめていきます。オーナーに入れてもらった人は簡単にやめていきます。適正化の意味さえ分からない会員がどれだけ居るのだろうというプレッシャーで潰されそうになります。私が開業した時には、近隣の先生と労働災害の講習会を一緒に受けた時代でした。そういった近隣の先生方を講師に招いて怪我の勉強をさせて頂きました。しかし30年の間にそういった形が本当になくなってきました。柔道整復師はそれじゃダメだという先生も居ますが、そうではなくなってきたというのが現実です。

一番のキーワードになっているのは整形外科の先生方に連携してもらわないと患者さんのためにならない、保険者さんもやはり一番大事な被保険者、費用負担をしている被保険者の方の医療について、これからより良い形を作り上げていけるのではないか。それを大阪で作っていくというのが私にとって一番のモチベーションが高いところであり、これを頑張ってやっていこうということです。保険財政も厳しい、少子高齢化もどんどん進む中で10年後の自分はどうしているのかを考えてみてください。プライドのある柔整師になりましょうということで、業界自ら適正化を掲げても良いのではないかという思いで動いて参りました。「柔整師がおらんようになったね」と言われることは、私にとって非常に耐え難い話です。そんな中で、自分たちの後輩や子ども達が、沢山柔整師になっています。日本の民族医療であり伝統医療である柔道整復は心構えや魂だけではなく武道の精神も必要であると思っており、こういう良いところを残していきたい。

先ほど浜西先生が言われたように、ちゃんと可視化をしていかなければいけないということでこの取り組みを積極的にやっていくというのが適正化理念の発表です。中でも毎月往療のあった申請書は全部リストアップして、これはおかしいという往療の算定について毎月書き出し、全ての往療にチェックをかける体制を作る、これは簡単に出来ると思います。総会の場で「この理念は反対です。今でも飯食えないのにそんなことしたら終ってしまう」という意見もありました。でも大半の意見は逆で、当り前のことができていない業界に対して腹が立っているという人が沢山おられて少し安心しました。当会は平成23年に公益社団法人を取得して5年目になります。公益社団の取得が会員の意識改革のチャンスであったことは事実です。誰のための受領委任制度だという原点に戻ると、受領委任制度システム自体が元々柔道整復師のためのものではなく、患者さんのためのシステムだったということを考えると、やはり会員の先生方の所に来ている患者さんを如何大事にしていくかを考え、そして保険財源のことをしっかり考えましょうと。私が役員になった頃に健保連の人に言われたのは、「この受領委任制度について真剣に考えたことありますか?白紙委任の問題も信頼関係があって初めて成り立つ話です。そもそも支払側と患者さんと柔道整復師の間に信頼関係がなかったら成り立つものではない」と言われたことを思い出します。原点に戻って考えると、この受領委任払いというのは、特例的な扱いをされているもので、その特例は二度と生まれないと私は思っています。大事にしていくためには努力しかない。信頼関係をなくしてしまったらもう二度と復活はない。こうしろ、こうしたほうが良いという話をいただけることに感謝です。ややもすると臨床整形外科医会の先生方に「必要ない」と言われるかもしれません。でも勝負どころはやはり患者さんだと思っています。自分の信頼できる整形の先生を紹介させて頂くことで、患者さんはきっと信頼して来てくれると思います。先ほど浜西先生から「ゲートキーパー」という非常に良い言葉を頂き、会に戻って役員みんなでそれを目指してモチベーションを上げて「良いゲートキーパーになろう!」を掲げたいと思います。私は日本柔道整復師会の学術部長を務めておりますので、みんなで勉強しようということをどんどん考えて、もっともっとハードルを高くしていきたいと思っています。

また私共は平成19年から学校を開設し定員が30名と少数ですが良い教育をしていこう、人間力を身につけさせて倫理観のある柔道整復師を誕生させることを目指しています。是非興味のあるドクターの方がおられたら、講師料は安いですが、教授いただけたら助かります。浜西先生が話されたように、日本柔道整復接骨医学会は完全に独立した組織です。いろんな情報を発信して方向性を示していきたい。柔道整復師は営利を目的としないという原点に戻りながら大阪の良さを出し、地域の整形外科の先生とキチッと連携している、全国どこにもない独自の体制を示していきたい。これをやれば5年先10年先には一番拙い柔整業界といわれてきた大阪が、一番良い形が作れるのではないかという気がします。その可能性を持っていると思っています。大阪が適正化への努力をこれだけしたと示すことが出来れば、モデルとして国が取り上げてくれるのではないかという大きな期待を持っています。遣り甲斐があると思います。今後の取組みとしてはロードマップを作成し、具体的な内容を公表しながら数値化してHP上にアップしていきたいと考えています。よろしくご指導お願いします〟と結んだ。

 

○会場の保険者から〝こうして挙げられた適正化の理念は見守っていきたいと個人的には思っています。今日安田前会長がこの場に出られると聞いて、工程表を配布されると私は思っていましたが、具体化されていないのが非常に残念です。3月に適正化を発表されてから、もう7月です。民間ではこの段階で実行に移っていなければとても許されないことです。何時公表されるのか確認させて頂きたい〟とあり、安田氏は〝遅れた1つの原因は、大阪社団の総会があり、今の執行部で継続してもらう必要がありました。結果、同じ考えで継続してやってくれるということで、少なくとも7月中には中味を検討してオープンにしていきたいと思っています〟と答えた。

講演の他にも「柔整療養費適正化のために必要なこと」と題した事例発表及びパネルディスカッション、質疑応答が行われ第2回療養費適正化勉強会は終了となった。

 

 
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