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第21回NPO法人JATAC全国活動報告会を開催!

2016/08/22

第21回NPO法人JATAC全国活動報告会が平成28年7月17・18日に東京海洋大学越中島キャンパスにおいて開催され第1日目を取材、今回は午後の部を掲載します。

 

『アスレティックトレーナーに必要な各種体幹部トレーニングの実践講義(実技)』

帝京大学スポーツ医療学部教授(JATAC理事)・蛭間栄介氏

腰椎を安定させるためにどういう形で体幹は構成されているのか。腰部、背部、胸部あたりや頸部の痛みに分けていくと、背部痛は結構起こり格闘技は少ない傾向がある。胸部、胸椎のあたりをみていくと水泳やローラースケートが結構多い。子どもの腰部の痛みはどのスポーツにおいてもみられる。腰痛は加齢とともに増加し、スポーツ選手は10~20代の前半によくみられる。腰痛は、脊椎分離症が一番多いと言われているが必ず分離だから痛みが出ているという訳ではなく、たまたま腰が痛いといって分離になっていたというのがある。臨床的な症状とは必ずしも一致しない、ということはよくある。そういう意味でいろいろな治療法があるのではないかと思われるし、臨床症状の改善が患者さんのQOLの向上に最も効果的であり、痛みが軽減することが一番大切ではないかと思う。

急性の腰痛の方たちは85%が非特異的な腰痛であると言われている。そうした中で腰部を支配している筋肉の数は多い、どの筋肉を鍛えたら良いのか、どの筋肉が影響を及ぼしているのかを明らかにしなければいけない。腰椎の安定システムには、筋肉をコントロールしている神経系の制御システム(脊柱についている筋によるサポート)、多動化のシステム(骨・関節・靭帯など多動的なシステム)、これらが上手く作動することによって脊柱自体、或いは腰部であれば腰椎の安定性が担保されると言われている。一般的に各椎体の分節的な安定を高めるために働いているローカル筋と腰椎に直接付着はしていないが体幹を支えているグローバル筋、2つの筋肉システムに分けられる。(中略)

トレーニング方法については、グローバル筋とローカル筋のトレーニングを考えなければいけない。グローバル筋のトレーニングは、腹筋のトレーニングで、最近グローバル筋が最も鍛えられるのはウエイトトレーニングであると言われている。スクワットやレッグランニングはグローバル筋にも重要なトレーニングと言われている。ただ単に体幹を鍛えるだけではなく、スクワット等、下半身を使うトレーニング、或いはバランスが崩れるために体幹をしっかり使わなければいけないし、トレーニングを行うことで体幹部の筋肉も鍛えられるといわれている。逆にローカル筋をトレーニングする場合に重要なことは、体幹の屈曲速度の増加により腹斜筋よりも腹側筋の働きが後背部に増加している。ゆっくりとした動作自体を行いながらやっていく。或いは周りは動かすが体幹は動かさないようにする形でのトレーニングによってローカル筋は鍛えられると言われている。実際に動かすのではなくイメージトレーニングから入っていく。神経と筋を同時にトレーニングしていく。体の様々な部位の筋肉をエキセントリックに収縮させていく。体のイメージトレーニングがしっかりできるということは、脳でしっかりイメージしていくこと自体が筋を上手く働かせていくことに繋がっていると考えられる。上肢と下肢の動きによって体幹への刺激をより高めていく。

実際のパフォーマンス、ボールを使ったエクササイズ、マットを使ったものが最近ではよく行われている。いろんなピラテスエクササイズ*があるが、代表的・初級的なピラテスで足や手を動かしていくことによって、その時にその姿勢を維持していくものです。一番大切なことは体幹を意識するということ、そこをしっかり意識しないと体幹のトレーニングになっていかない。しっかりドローインした状態で負荷をかけ呼吸をしながら手足を動かす。今は各種トレーニング方法が出てきて、不安定にさせる方法はいろいろ出ています。出来れば1つの方法に対しての専門家意識を先ず持ってもらいたい等話し、参加者全員に実技指導も行った。

 

シンポジウム「2020年東京オリンピックのJATACの取り組みはいかに?」

昨年に引き続き2020東京オリンピック・パラリンピックに向けたシンポジウムが行われ、原和正氏(JATAC副理事長)、吉塚亮一氏(JATAC理事、福岡支部)、田中清久氏(JATAC理事、滋賀支部)、蛭間栄介氏(JATAC理事、帝京大学スポーツ医療学部教授)ら4名のシンポジスト、司会は原和正氏が務めた。

シンポジウム

シンポジウム開催にあたって、司会の原氏から〝2020年7月24日から2週間、選手村が開催するのはその2週間前で約1か月間オリンピックは開催されます。パラリンピックがその1か月後ですから、オリンピック終了後の翌日8月25日から9月6日まで開村になります。JATACとしてどういう風に取り組んでいくのかについてシンポジウムを開催します〟と話した。

 

吉塚氏吉塚氏は〝参加国197カ国、参加人数が約11060名という規模のオリンピックが開催される予定です。オリンピックにおいてJATACのATの認知度を向上させる絶好のビッグイベントではないかと考えます。課題は、JATACとしての参加協力は可能か?参加協力するためには、多くの時間と労力が必要です。

2020年の東京オリンピックに向かって関わるスポーツ関連事業の予算が今年300億円を超えオリンピック開催年度まで右肩上がりでどんどん上がっていきます。ATCとして参加できるのかを考えた時にATは日体協のAT、NATAのATC,と確実に競合します。鍼灸マッサージはいろいろな部分で活動しています。パラリンピックでは理学療法士の団体は現在動いています。JATACとして何が出来るのかということを考えていかなければいけない。JATACの強みは何かを考えた時に会員の殆どが医療資格をバックボーンにしたATであることは他の団体にはない強みであり、他の団体よりもフットワークが軽く機動性を持っていると考えられます。

実際に参入するとなった時にオリンピックに参加するアスリート達をターゲットにするのか。パラリンピックに参加するアスリートたちをターゲットにするのか。スタッフたちに対してのコンディショニングを行うのか。数は力です。我々九州や地方の会員が旗を振ることは難しいため、やはりJATAC関東支部の皆さん達において数は力なりで動くのが良いと思います。オリンピックにおいて全てアスリートに帯同するようなトレーナー活動を行うことが仕事ではないのではないか。発展途上国の方、トレーナーが居ない国の人たちへの可能性はあるのではないかと考えます。いろんな意味でJATACのATCが活動できる可能性は期待できると思います。今後50年、東京オリンピックの様なチャンスはありません。既存のJATACのメンバー、役員全てが本気でオリンピックに参加したい意志があるのであれば、早期決定をする必要があります。全国JATACのネットワークシステムの構築を行う必要があると考えます〟等提言を行った。

 

 
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