menu

第8回柔道整復師団体情報交換会 開催

2017/08/04

平成29年7月21日(金)、衆議院第2議員会館第一会議室において「第8回柔道整復師団体情報交換会」が開催され、業界団体関係者や厚生労働省関係者など多くの出席者が集まった。

第8回柔道整復師団体情報交換会 開催

主催者の(一社)全国柔道整復師連合会(以下、全整連)の田中威勢夫会長は〝今日は厚生労働省から3名、(公社)東京都柔道整復師会からは伊藤述史会長にご出席いただいている。皆さんにはこの情報交換会で新しい情報を得て、また明日からの仕事に役立てていただきたい〟と挨拶を行った。

(公社)日本柔道整復師会の理事でもある(公社)東京都柔道整復師会・伊藤述史会長は〝全整連とはしっかりタッグを組んで前向きに改革を進めている。
昭和11年に結んだ協定は制度疲労を起こしている。
柔道整復師の急増による過当競争で患者が減少し、閉院する仲間も増えている。この歪んだ状態を解決するのが制度改革なのだとご理解いただきたい。国民を守るために全整連と団結して、変えるべきものは躊躇なく変え、守るべきものは守るというスタンスで行動していきたい〟と力強く語った。

厚生労働省保険局医療課・都竹克宜療養指導専門官からは、平成29年3月27日に発せられた「施術管理者の要件について」に関して、概要説明が行われた。
〝柔道整復療養費検討専門委員会(以下、専門委員会)において、平成28年3月から柔道整復の施術に係る療養費に関する中長期的な制度見直しについて議論しているが、その中で施術管理者の要件強化について議論された。現在は施術管理者の要件は、柔道整復師の資格を保有していることだけだが、資格取得後すぐに管理者となれる資格は他にはない。したがって、柔道整復の施術管理者についても要件を付してはどうかということになり、「施術管理者の要件について」として報告書を取りまとめた〟と、その趣旨を述べたうえで詳細を説明。
〝適切な保険請求をすることで国民の理解を得ることを第一歩として進めていきたい〟とした。

続いて、全整連まで事前に寄せられた柔道整復療養費検討専門委員会に関する質問事項に対し、厚生労働省担当官が回答を行った。

 

「部位転がし」等の重点的な審査の実施に向けた審査基準の作成
審査基準はどのようにとりまとめられるのか?

平成11年に「柔道整復師の施術に係る療養費に関する審査委員会の設置及び指導監査について」として通知を出している。この中で部位転がしについては重点的に審査を実施するよう改正を予定している。改正内容については、専門委員会にて示しているところ。

審査基準は全国で統一されるのか?また、開示されるのか?

各都道府県や協会けんぽ等関係団体への通知を予定している。また、厚生労働省ホームページにも掲載を予定しているので閲覧が可能になる。

 

柔整審査会の権限を強化し、不正請求の疑いが強い施術所に資料の提出や説明を求める仕組み
全国統一審査基準の策定が急務であるが未だ実施を見ない過渡期とするならば、審査を経て行われる資料の提出等に関しては、個別の審査委員の価値観や思い込み、あるいは個人的感情に左右されぬよう審査会を構成する委員による「合議制」の文言を、協定書・受領委任の取扱規程に盛り込み公平な審査を実現すべきであると考えるが如何?

非常に良いご意見だと思う。合議制が必要と考えている。
現在は「審査会は公平かつ適正な審査を行わなければならない」という規定がある。「合議制」という文言の記載については、今後必要に応じて検討していくが、まずは現行の通知で適切に運用すべきと考える。

受領委任契約を理解していない審査会及び審査官が存在している。柔整審査会の権限強化を認めるための基準を設けるべきだと考えるが如何?

柔整審査会の設置要綱には、審査会委員は施術者を代表する方、保険者を代表する方、学識経験者の内から委託をするとされている。施術者を代表する方、保険者を代表する方はそれぞれ関係団体から推薦を行う。また、学識経験者の嘱託については、医師および柔道整復師にかかる療養費制度に精通した者としている。
したがって、受領委任制度を理解している方が委員になるべきと考えている。まずは審査会の運用を適切に行っていただくということになる。

資料とは何を指すのか?

審査会が審査に当たって必要となる資料で、具体的には施術の事実が確認できるもの、あるいは施術の内容が確認できるものだと考えている。

説明を求めるとは具体的に何を指すのか?

審査会が審査に当たって必要となる説明ということで、施術の事実や施術の内容の事実確認を求めるものと考えている。

 

地方厚生(支)局らにおける個別指導・監査の迅速化、「受領委任の取扱の中止」を確実に運用する仕組み
保険者、柔整審査会の地方厚生(支)局への情報提供はどのようなプロセスで行われるのか?

傾向審査や縦覧点検をした結果、不正請求が判明したりその疑いが濃厚であると判断された場合には地方厚生局に対して情報提供を行う。

地方厚生(支)局の個別指導・監査の迅速化は具体的にどのくらいの速さを示しているのか?また、「受領委任の取扱の中止」の決定までのプロセスはどうなるのか?

不正請求の疑いが強いものについては優先して個別指導・監査を実施する。現行の受領委任取り扱い中止となるまでの過程については、個別指導を行って監査を実施して中止、という流れになっている。証拠がそろっているものについては、個別指導を省略して監査を実施することとしている。

「柔道整復施術療養費に係る疑義解釈資料の送付について(その1)」(平成22年6 月30日発出事務連絡)の問21において、患者本人から不要の申し出があった場合は領収証の発行義務が免除されるとあるが、この場合発行履歴は存在しない。
あくまで保険者等がこれを求めた場合、療養費の支給に影響は出るのか?

ただちに療養費の支給が止められるものではないが、施術の事実が確認できる書類が全くない場合には、適切な運用にはならないと判断され、地方厚生局の指導の対象になる可能性があるということはご理解いただきたい。

「その他通院の履歴がわかる資料」とは、例えば日計表等が考えられるが、日計表等の作成・保管義務は存在しない。
あくまで保険者等がこれを求めた場合、療養費の支給に影響は出るのか?

これについても直ちに支給が止められるものではないが、支給申請書を作成するにあたってその根拠となる書類は存在すると考えているので、それが通院の履歴が分かる書類に該当すると考えていただきたい。

受領委任協定・契約や厚労省通知に記載の無い資料の提出を求められた場合、柔道整復師に拒否権はあるのか?

受領委任の協定・契約には、「施術管理者は申請書の記載内容等について保険者から照会を受けた場合には的確に回答する」とされている。したがって保険者から照会があった場合には的確に回答していただきたい。

 

施術管理者について研修受講や実務経験を要件とする仕組みの導入
どのような資料をもって実務経験を証明するのか?

柔道整復の実務を経験した施術所がその証明をすることを考えている。
現在、具体的に検討を進めているので、疑義解釈Q&Aという形で示していきたい。

実務経験3年間とは、具体的に1日何時間勤務が該当するのか?

具体的な期間算定の内容についても現在検討している。
必要に応じて疑義解釈Q&Aで示していきたい。

償還払いをもって施術所を開設した柔道整復師(勤務柔道整復師を含む)による3年以上の実務経験実績は、本件の実務経験実績としてカウントされると考えてよいか?

あくまで適切な保険請求を行なうための実務経験であるので、償還払いを行っている施術所あるいは自由診療の施術所での勤務はカウントされないと考えている。

過去に受領委任協定・契約番号を有したことがある者は、実務経験及び研修受講は除外されるのか?

今回の見直し以降に施術管理者の届け出を行う場合に実務経験と研修受講が必要とされると考えている。

過去に遡り、柔道整復師免許取得の後に指定保険医療機関における2年以上の勤務実績が何らかの(公的)資料によって証明可能な者については、施術所での1年間の実務経験を加えることにより、本件の実務経験要件を充たしていると考えてよいか?

求める実務経験が3年の場合には認められると考えている。

 

不適切な広告の是正
制度の主役である国民に向けた理解しやすい広告掲示とすべく柔道整復師法第24条を改正すべきである。具体的には「各種健康保険取扱い可」等。現時点での厚労省の考え方は如何?

広告に関するガイドライン作成を含めた見直しを予定している。
そのためまずは実態を把握するため、都道府県等に対して調査を行っている。広告の見直しの検討の中で、改正等についても検討していく。

施術所を管理する保健所あるいは担当者間の広告に対する認識を全国一律とし、誤った指導を是正するべきだと考えるが如何?

今後作成していく広告に関するガイドラインにおいて、全国統一となるようにしていきたい。

ホームページ等のインターネット広報に関するガイドラインの早急なる策定。不特定多数に向けた望まない広告(行動ターゲティング広告等)は柔道整復師法第24条に準拠した規制を設けるべきであると考えるが如何?

医療機関のウェブサイトについては、虚偽や誇大広告等の不適切な表示の禁止として、中止や是正命令、罰則を課すことができるように改正した。柔道整復も同様に規制するかについては様々な意見があり、慎重に検討していく必要がある。

不適切な広告とは具体的にどのようなものを指すのか?

柔道整復における広告は法律や告示等で規制されているが、これが守られていない施術所があり、規制を強化するべきではないかとの意見がある。
また、ホームページは広告規制の対象外としているが、自賠責の広告などひどいものはガイドラインなどで対応したほうがいいのではないかとの指摘を受けている。

 

支給申請書における負傷原因の記載を1部位目から記載する事
第三者行為や労務災害に対する厚労省の見解を明示されたい。「ボクシングのスパーリング中に負傷」の事例について、第三者行為として疑義返戻を行っている保険者が存在する。あるいは「社会人野球部での負傷」について労務災害の疑義返戻を行う保険者が存在する。

スポーツの中で行われたものと解釈すれば第三者行為には該当しないと考えられる。
社会人野球についても職務か、職務でないかで判断が変わる。
最終的には保険者の判断によるので、保険者とよく相談していただきたい。

すぐにでも実施するべき。申請書は施術録の抜粋であるので、「記録が大変だ」という意見に関しては、「不正請求している」の公言と同様だと考えるが如何?

専門委員会でも議論されているが、次期以降の改定における課題としている。

 

その他
電子施術録のシステム作成過程についての厚労省ガイドラインはあるのか?

現在は作成していない。

受領委任の取扱規程には「施術録を書ききれない場合は、別紙に記録して施術録に添付しておくこと」とあるが、現行の施術録では経過記入欄が狭すぎるため、殆どの場合において別紙記載が必要となる。
よって、初めから「書ききれない場合」を想定して別紙記載としても差し支えないか?

そのように対応していただいて構わない。

医科においては厚生労働省発出「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等が存在し、それらに基づき開発された電子カルテシステムが広く普及している。柔道整復領域においても同様に電子施術録システムの開発が想定されるが、上記のような厚生労働省が発出するガイドラインは存在しない。
したがって、そのシステム開発の過程においては、その都度厚生労働省に問い合わせを行い指導があれば修正するという方法で開発を模索しなければならないと考えるが、厚生労働省はそのような問い合わせに対して回答する用意はあるか?

柔道整復療養費の留意事項通知と協定契約の中で、前提は紙となっている。
そのため、留意事項通知の別添にある施術録の記載、整備事項に沿って対応していただきたい。

普及が想定される電子施術録システムに鑑み、施術録の経過形式について日々の印字ではなく月毎の印字とすることで差し支えないか?

施術録は療養費請求の根拠となるものなので、月々の記載というよりも施術の都度で記載していただきたい。

この他にも、「施術管理者の要件について」を中心に多くの質疑応答が行われた。
厚生労働省からは〝「このようなケースは施行日に問題が生じるのではないか」「施術者の不利益になるのではないか」という事例があれば、全整連を通じてご意見いただきたい〟と情報の提供を求めた。

 

 
大会勉強会情報

施術の腕を磨こう!
大会・勉強会情報

※大会・勉強会情報を掲載したい方はこちら

編集部からのお知らせ

メニュー