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第1回「柔整業界の未来を語る」セミナー開催される!

2017/11/01

去る10月23日(月)午後4時30分から参議院議員会館101会議室で第1回「柔整業界の未来を語る」セミナーが開催された。

開会にあたって(一社)全国柔道整復師連合会代表理事・田中威勢夫氏が〝会議を開きどのようにしたらこの業界を変えていけるのだろうかと戦略を見直していくことになり、その1つとして、今日は東京大学の大橋教授、松平先生をお招きしました。明日からの治療にいかして頂きたい〟と挨拶。

続いて来賓挨拶で参議院議員・石井苗子(みつこ)氏は〝この度、厚生労働委員会に入りました。意見を言う機会がありますので、新しい情報を頂きたいと思っています〟等、述べた。

 

第1部「腰痛診療のこれから~健康寿命の延伸に向けて」

第1部は、「腰痛診療のこれから~健康寿命の延伸に向けて」と題して、東京大学医学部付属病院22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座特任教授・松平浩氏による特別講演が行われた。

松平氏は〝YLDs(生活に支障をきたす年数)のランキングは1990年・2010年の調査でも、1番が腰痛、2番がうつ病、3番が貧血、4番が、肩こり、頸椎です。
私の施術は、マッケンジー法をベースにしたクリエイティブな動作です。
私はちょっと特殊でこんなことをやる整形外科医は世界に居ません〟と予め述べた後にモビライゼーションを行っているビデオ映像の解説をした。
〝受診1日で済むようにセルフマネージメントを行っている。私は通わせない。「一期一会外来」、基本的には一回で後は再来院しない。受診は1回で済むというのが私の考え方です。

椎間板ヘルニアは激痛をともない再発の不安や恐怖に捉われがちで、コルセットをして安静にし、腰を動かさないというのが日常化しています。
結果として、腰回りの筋肉が硬直し血液の流れが悪くなり、痛みを発する物質が生まれ、腰痛が再発するという悪循環が腰痛を慢性化させる原因の1つと考えられています。

慢性腰痛の人は、DLPFC(前頭前野背外側部)が届いている状態だと痛みがちゃんと抑えられるが、不安とか恐怖が強まると関係している扁桃体が過剰興奮してドーパミンが上手く出にくくなります。私は椎間板や椎間関節、仙腸関節に拘って、これまでやって来ました。

何所に原因があるのか、しっかりアライメントを調整してあげれば結果的に良くなります。
私が凄く大事にしているのが機械的な動作をする時に既存する痛みがどういう痛みでどういう傾向があって姿勢は如何かということをチェックし、それに対しアセスメントをしてアプローチをどうするかということが一つ基軸になります。

忘れていけないのは、心因性という言葉、脊髄も機能異常を起こして痛みを感じるというような、圧痛が広範囲にあるというのも夫々の場所に原因があるのではなく、中枢機能異常により痛みを強めるということがありアプローチが違ってくるので、其処は判断します〟等述べ、FAウイルス感染チェックリスト Keele STarT (Subgrouping for Targeted Treatment)Back スクリーニングツールについても紹介と説明を行い〝「これだけ体操」を1日10回。まず1回からお尻に手をあてるところから始めましょう!〟と話した。

また〝予防には運動と教育のコンビネーションが一番リスクを減らすと言われているが、どういう風な運動をどういう頻度で行うかは未だ確定されていない。

私は3つのタイプ(タイプ1.アライメントの適正化、タイプ2.深層部の強化、タイプ3.内因性物質の活性化)に分類しています。

適切な位置にアライメントをもってくることを一番重要視しています。
いきなりリセットは出来ないため節制の仕方とその意義を分ってもらって、結局セルフで自分で動機づけをして出来るかどうかに持っていくのが医療者のテクニックだと思っています〟と述べ、更に松平氏は、2025年問題を上げ〝団塊の世代の方が後期高齢者になり、介護する人が37.7万人不足し介護を担う人がいない。150兆円を減らすということ。アクティビティベストメディスン、活動することが一番の目的だと2011年のネイチャーに出ています。早歩きというのは高齢者の命綱。姿勢と骨粗鬆症の治療をちゃんとすることが重要です。

骨折したら、寝たきりになる。転倒させない。
セルフケアガイドシステムを来年くらいにリリースする予定です。
また股関節、肛門周囲がしびれる等をいう人で馬尾徴候があってアキレス腱反射が出る人は脊髄症を合併しています。何かおかしいと思ったら早めにMRIを撮ってもらう。一回相談する、診断をつけてもらうということだけ覚えておいてください〟と注意を促した。

最後に〝「認知行動療法」まで話をする時間はありませんでしたが、薬を飲む、注射に通う、施術に通う、これは痛み行動で痛みを治り難くするリスクファクターと言われています。なるべくセルフマネージメントをするということで、コルセットを外していくように持って行くことが認知行動療法です〟等述べ、近著の紹介と11月13日開催のセミナーについて話し終了した。

 

第2部 パネルディスカッション 「柔整業界の未来を語る」

パネリストは、東京大学名誉教授・大橋靖雄氏、松平浩氏、(一社)全国柔道整復師連合会代表理事・田中威勢夫氏、コーディネーターは常任理事・近藤昌之氏が務めた。

近藤:
第1部の松平先生のご講演にいっぱいヒントがあったと思います。
そういうことも踏まえて、柔道整復師の未来について、業界団体だけではなく東大の2人の先生のお知恵を拝借しながら教えて頂きたいと思います。
前提として、日本の社会保障の現状と柔道整復師の位置関係について皆さんと共通認識をしたい。日本はどうするんだという人口問題があります。
もう1つは、医療費の増加です。我々の業界に目を向けてみると、1つは全国津々浦々約5万軒、7万人のマンパワーがある。これは力です。
もう1つは、地域密着であり、国民ニーズがある。副作用のない物理療法、こういうメリットを前提に、柔道整復師の未来的な発展を両教授にお話いただきながら進めたいと思います。

大橋:
実は、厚労省は地域包括ケアシステムの中で健康ステーションという構想を持っています。
また、神奈川県の黒岩知事が未病社会について仰っています。出来るだけ早めに予防を地域密着型で行うようにしたいと思っているが中々上手くいかない。キーは幾つかあります。
日本は意外に科学的な根拠なく保健行政がなされています。
例えば、タバコが一番、その次は塩分ですがこれはあまり言われない。メタボ健診は正しかったかというと、疫学観点からは片手落ちでした。真央さんという方が亡くなって20代女性の乳癌健診希望者が殺到して大変でした。
しかし、40歳以下の乳癌マーモグラフィの健診は無意味です。
やはり地域住民に密着して住民全体の健康を上げるということは今の保険制度と中々なじまないので難しいのです。いくつかの要素、1つは住民と会う機会がないといけない。
そしてコミュニケーションが物凄く大事です。今のような話を住民目線で伝えないといけないので、其処が大事で傾聴ということも当然必要です。そういう場を柔道整復師の方々はお持ちだなと思っています。
あと何が必要か、それは正しい情報です。
日本のインターネットの情報は世界的にみると滅茶苦茶悪い。
運動の調査、食事の調査、睡眠ストレス、健診の受診率を上げる工夫、もう少しすると血糖値が血液なしで測れる時代が来ます。住民の方の状態をより正確に把握することがベースになり住民に対する介入とサービスです。
キチンと評価されたエビデンスがないと日本でやってきたような無駄な投資をしてしまうのです。運動療法、早歩き運動等のエビデンスを作らなければいけない。
一番の目標は転倒予防、認知症予防です。

近藤:
場としての整骨院を持っている。
正しい健康情報をどんどん発信したら良いのではないかと。

大橋:
はい、情報を整理して届けなければいけません。
健康情報をどうしようかというのは日本中の問題です。
日本は健康食品も酷い情報が巷にあふれています。

近藤:
柔道整復師の未来展望ということで整形外科の立場から

松平:
私は整形外科医という意識がないので。
大橋先生の言われることは大変勉強になり、その通りです。
繰り返しになりますが、地域包括ケアで言われているところの集会所、調剤薬局、皆さんの接骨院等とのコンビネーション。
私もずっと配慮しながらやってきたんですが、もう待ったなしなので、縦割りのことはちょっと置いておいて、どうやって予防的な早歩きを医療情報としてみんなに分かりやすく伝えていくか、それぞれ協働していけばいいと。

近藤:
素晴らしい理論をおもちになっています。
ハッキリ申し上げて整形外科学会は中々先生の理論に動きませんよね。
私どもは動く可能性があります。

松平:
そこは勿論共感して動こうと思っている個別の先生方はいらっしゃいます。
とりあえず時間がないので、其処は私もそろそろ割り切って行動しなければいけないかなと思っています。大義は大橋先生のような印籠、私は弱い人間なので何か一歩間違えると、坂道を転げるようなことだけは避けてやらなければとは思っています。(笑)

近藤:
よく理解しております。
場としての柔道整復師、7万軒もある。2025年問題を上手に組み合わせていきたいですね。

田中:
柔道整復師の現実について話してみたい。
委員会でよく話されている亜急性というのは、内科疾患からくるものはありません。
また慢性のものはダメですよ、慢性の疑いのないものという話になっています。
そういう中で、臨床整形の先生は〝柔道整復師はエビデンスを出せ〟ということをよく言われます。捻挫や挫傷を傷病名にすることがどうしてもできない。
適切な傷病名で請求できるようにしたいというのは連合会が発足する時の目標でした。
協定の内容を変えていきたいといろいろ活動してきました。
大橋先生にエビデンスを出していくために協力をして頂きたいと思っております。

近藤:
1つは、健康の情報センターみたいな役割をしていく。
先ほど松平先生からお話あったようにアクティビティベストメディスンというのは我々整骨院でやっているアライメントを整えて除痛するというのは、柔整イズベストメディスンになる訳で、そういう意味では寝たきりの高齢者、車椅子に座らせない。
もう少し一歩踏み込んで方法論についてお願いします。

大橋:
目標はやはり要介護、或いは自立と活動の低下を如何に防止できるか、その先には認知症に対し如何いう風なプログラムを作るか。アイデアは沢山ありますが、問題は誰と組むか、健保の場合はある程度のシステムを持っている。
地元密着の協会けんぽと組んで、医療費が安くなるプランが最大のインセンティブなので、其処と関係を作っていくのがいいのかなと思います。
保険者と組んでプログラムを提供することによって、どういうメリット、どういう効果があるか?生活活動、そして食事等の計画が立てられれば厚労省にも関心を持って頂けるのではないかと思います。今の日本の医療費の最大の問題は糖尿病なんです。
たまたま日曜日に、NHKスペシャルで腎臓をやっていました。
実は新しく「糖尿病性腎臓病」という疾患概念が出来ました。なんと腎臓学会と糖尿病学会が組んで「腎臓病療養指導士」を作ってしまう。つまり医者だけではもうどうしようもない。
パラメディカル、コメディカル、薬剤師さん、検査技師とか栄養士さん達に教育を行って資格を与えるのです。それで医療費をなんとか抑える。糖尿病や脳卒中に比べれば、運動器というのは随分認識が遅れていましたが要介護の大きな要因が運動器です。
ようやく其処に治験が出てきたので、介護士もおりますがサポーティングな指導士を作っていく形で目標にできるかもしれません。

松平:
みんな木を見て森を見ずなんですよ。
大橋先生が言われたように資格が取れるようにすることが皆さんにとっては大事だろうと。
田中さんの仰ったエビデンスも正しいが、2025年というのは待ったなしで、途中経過で中間的なマーカーという形で出して評価をしていくことが大事です。絞りすぎると20年30年かかる。
もう私の中でエビデンスは固まっており並行してやっていったほうがと思いました。

大橋:
効果があるかという視点の研究、データを出しながら普及させるということを考える時期に来ている。最高の高齢社会になってしまったから、そこで如何考えるかというと前例がないんです。
個別のテクニックとかニーズに関してのエビデンスが随分出てきています。
エビデンスの高い提供システムを考えて、提供した時に誰がそのお金を払うかということを考えながらやっていくべきでしょう。

近藤:
早歩きが出来るようになると寝たきりが少なくなります。
我々7万人いますので、適正な指導をすると、担い手になる可能性は非常に高い。

田中:
柔道整復師は薬も使えないし、手術もできない、故になんとか痛みを取ろうという思いで四苦八苦していろんな手技療法を持っています。
ここに居る多くの先生が、これに関して俺は出来るぞという自信を持った先生方がいると思います。私どものセミナーに参加して頂くのは如何でしょうか。

松平:
そろそろいろんな要望が出てきたので私自身がプログラム的なものを作らなければいけないのかなと最近思っています。
薬と注射と手術を使わないでどこまで出来るかというのを5年以上やってきて、自分なりの結論、そこで心理療法も勉強しなくちゃならないという話になるんですが、やはりチームでアカデミックな雰囲気も漂わせて、プレゼンの仕方は、あまり難しくならない。
というところで叡智を結集すればいいと思います。

近藤:
この続きは、第2回第3回の「柔道整復師の未来を語る」で行いたいと思います。

※時間の関係で終了。

 

 
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