menu

(公社)日本柔道整復師会主催、第2回柔道整復師意見交換会が開催

2021/05/01
三橋氏による解説

続いて、三橋氏から意見交換会の内容をまとめた解説がなされた。

柔道整復師の保険制度

我々柔道整復師が扱う療養費は現物給付である療養の給付(保険医療機関における受診)をあくまでも補完する位置づけにある保険給付であり、その支払いの可否は保険者がやむを得ないと認めた場合に支給される現金給付である。柔道整復師が扱う受領委任払い方式も療養費であり、協定または契約により患者保護の観点から認められた特例方式であるということを理解しておかなくてはならない。
一連の医療行為の中で保険診療と自由診療が混在することを混合診療と呼ぶが、これは歯科と一部の例外を除いて認められていない。例えば腰部捻挫の治療をしていて、保険の治療はここまでで特別治療をするなら追加費用が掛かる、というのは混合診療にあたる。柔整療養費協定契約の中にも「請求に当たって他の療法に係わる費用を請求しないこと」と記載されている。

柔整業界の問題点

平成24年に、国から必ず患者調査をしてから支払うよう保険者・審査会に通知が出され、過剰な調査が受診抑制につながっていることが問題となっていた。しかし交渉の結果、平成29年に上記通知を覆す文書通知を国が発出された。これにより、受診抑制となるような照会は慎むこととされ、厚生労働省には不適切な照会に関する苦情相談窓口が設置された。苦情から問題があると判断された調査会社は呼び出され、健保連立会いの下指導される。

柔整業界の改革

平成27年に反社会的勢力による整骨院不正受給事件が起こり、対策として様々な改革を行った。
教育改革としては、柔道整復師養成施設カリキュラム等改善検討会にて国家試験の問題数や出題範囲、養成校におけるカリキュラムを大幅に見直した。養成施設での最低履修時間は約300時間増やし、総単位数も引き上げた。新カリキュラムとして超音波観察の授業や高齢者の外傷予防、競技者の外傷予防に関する授業も追加された。 制度改革としては、新規開業には実務経験3年と16時間の講習受講を課し、柔整審査会の権限を強化、広告の規制にも取り組んでいる。柔整審査会の権限強化により、請求状況から不正が疑われるものや通知等で注意をしても改善が見られなかったもの等について、面接確認委員会で呼び出しを行えるようになった。その後の経過を観察し、改善されなければ審査結果を厚生局・都道府県福祉保健局に直接報告する。

最後に

教育改革・制度改革は歴史的偉業といわれている。柔道整復術を将来に残すために、柔整業界自ら改革を提案し実現してきたが、業界の問題点はまだまだ解決していない。より力を入れて進めていきたいと考えている。また、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷が柔道整復師の本来の業務であり、整体やリラクゼーションは業務ではないということをしっかり区別していただきたい。「これからの柔整は保険外だ」という声もあるが、受領委任の取り扱いがあっての保険外、自由料金であり、自ら業務を放棄すれば柔道整復術が消滅するおそれもある。

 

総括

総括として、三橋氏は〝今日は、会員外からもご意見をたくさんいただける非常に良い機会だった。日本柔道整復師会は全柔道整復師をサポートし守る組織として、今後もご意見を参考にしながら活動していきたい。また今後もこのような機会を継続的に設けていきたい〟、長尾氏は〝我々柔道整復師が自分の子どもや家族に私の職業は堂々と「柔道整復師だ」、そして、子どもや家族が父親・母親の職業を問われたら堂々と「柔道整復師」と言える業界にしていきたい。どんな質問・ご意見でも結構なので寄せていただき、一緒に考えていきたい〟と語った。

藤井氏は〝柔道整復の制度はみんなで作り上げていく過程にあると思う。今あるものがすべてではなく変化していく。ぜひ「柔整One Team」でやっていきたい〟、久保氏は〝ずっと持っていた疑問を先生方に答えていただけて、本当に有意義な機会になった。自分のやってきたことに自信を持てた先生もいると思う。日本柔道整復師会が中心となって、全柔道整復師が豊かになるような環境ができればと考えている〟と締めくくった。

 

(公社)日本柔道整復師会は、今回のような形で今後も会員内外に広く情報を発信していくだろう。全国の柔道整復師が一丸となって活動していくためにも、このような意見交換の機会が増えていくことを期待する。

 
前のページ 次のページ
大会勉強会情報

施術の腕を磨こう!
大会・勉強会情報

※大会・勉強会情報を掲載したい方はこちら

編集部からのお知らせ

メニュー