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第18回社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会 開催

2021/08/18

令和3年8月6日(金)、全国都市会館第2会議室(東京都千代田区)において、第18回社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会(以下、検討専門委員会)が開催された。新型コロナウイルス感染拡大防止への配慮から、WEBと対面のハイブリッド方式での開催となった。

今回は、「柔道整復療養費の適正化について」を議題とし、「明細書の義務化」「不適切な患者の償還払い」「療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み」の3点に絞って意見が交わされた。

 

厚生労働省事務局による説明

社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会において、平成28年3月29日から同年9月23日の4回にわたり、中長期的な視点に立った柔道整復療養費の在り方について検討を行い、その議論の内容について「柔道整復療養費に関する議論の整理」として、平成28年9月に取りまとめを行った。その後の専門委員会等においても、適正化策の具体化等を議論してきた。

適正化対策として、これまでに▼同一建物の複数患者への往療の見直し、▼「部位転がし」等の重点的な審査の実施に向けた審査基準の策定、▼柔整審査会の権限を強化し、不正請求の疑いが強い施術所に資料の提出や説明を求める仕組み、▼保険者や柔整審査会が施術所に対して領収書の発行履歴その他通院の履歴がわかる資料の提示を求めることができる仕組み、▼施術管理者について研修受講や実務経験を要件とする仕組みの導入、が行われた。

引き続き検討するものとしては、▼問題のある患者を特定する仕組みや事後的に償還払いとする場合の取扱いについて、▼1部位目から負傷原因を記述することについて、▼患者が施術・請求内容を確認する取組について、等がある。

明細書の義務化について

現状では患者から施術に要する費用に係る明細書の発行を求められた場合にのみ、明細書を交付することとされているが、施術に要する費用に係る明細書を患者に渡すことは、業界の健全な発展のためにも必要であることから、明細書の発行を義務化してはどうか。なお、実施に当たっては、施術所の事務負担軽減に最大限配慮する。

不適切な患者の償還払いについて

現状では不正が「明らか」な患者及び不正の「疑い」が強い患者であっても、引き続き受領委任払いとされておるが、問題のある患者については、保険者において、受領委任払いではなく、償還払いしか認めないようにする権限を与えるべきとの意見があった。 今後の対応方針として、不適切な患者の償還払いについては、自己施術を行ったことがある者等の『不正が「明らか」な患者』に加え、複数の施術所において同部位の施術を重複して受けている、保険者が繰り返し患者照会を送付しても回答しない等の『不正の「疑い」が強い患者』も対象としてはどうか。ただし、真に不適切な患者に対象を絞る観点から、「償還払いとする範囲」、「償還払いとするプロセス」について年末までに検討する。

療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み

現状として、復委任団体の中に悪質な団体が存在する。請求代行業者による不正事例により、療養費が施術管理者に支払われないことがある。具体的事例として、令和3年1月には、株式会社ホープ接骨師会において前代表が資金を私的流用したことにより、会員の柔道整復師への振り込みができなくなった。 対策として、療養費を施術管理者に確実に支払うため不正防止や事務の効率化・合理化の観点から、公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組みを検討してはどうか。併せて、オンライン請求、オンライン資格確認につながる仕組みとできないか検討してはどうか。

 

主な意見
明細書の義務化について

施術者側:

  • 義務化には反対する。施術所ではすでに患者の要望に応じて明細書を発行しているが、発行を希望する患者はほとんどおらず、「自分で受けた施術はわかっている。領収書だけで十分だ」と言われる。
  • 施術所によっては作業の負担が大きい。診療所における明細書の取り扱いを参考にするのであれば、「明細書が必要でない方はお申し出ください」といったように患者の意向を確認できるようにする必要があるのではないか。
  • 患者が施術内容を確認できる取り組みとして明細書を発行するのであれば、毎回発行ではなく月ごとに発行でもいいのではないか。
  • 患者に発行するのが当たり前という保険者側のご意見は十分理解している。ただ、調査会社の中には明細書や領収書の添付を要求するところもあり、それが受診抑制につながってしまっている。
  • 領収書も明細書も、患者が望むのであれば反対しないが、そうではなく単に患者調査に利用することを目的としているならば反対する。

保険者側:

  • 「義務化は不要」という考えは全く理解できない。患者照会をする際に療養費の内訳を確認する必要がある。患者が希望する・しないは問題ではない。ぜひ義務化してもらいたい。
  • 医療保険制度の中で、柔道整復師が被保険者の理解を得て適切な施術を行っていただく。その正当な評価として療養費を支払うということであり、療養費の仕組みを理解していただいて、軽微なものであっても納得して支払われる必要があるとご理解いただきたい。
  • なぜ明細書発行を嫌がられるのか理解できない。嫌がられているところに不信感を感じる。
  • 明細書発行は患者のためだけではない。保険給付をしているのは保険者であり、保険者のためにも発行していただきたい。

有識者側:

  • 医科においても、明細書の発行には仕事量が増えるということで戸惑いがあった。今でも大変なのにまた仕事量が増えるという懸念は大いに理解できる。医科との違いとしては、調査会社が調査を行っているということ。保険者が必要と判断されてのことだと思うが、今後は患者が施術内容を把握して適正に施術を受けるということを目指す意味でも、施術者側もさらなる努力をしていただくことになると思うが、保険者側もご理解いただきたい。

事務局:

  • 明細書はその日にどのような施術を行ったかを患者に伝えるものだと考えている。月まとめとする案に関して、患者から特に希望がない限りは毎回発行していただくが、不要の申し出があった場合には発行する必要はないと考えている。
  • 施術所の負担軽減も考慮したい。現行の明細書様式では合計金額の記載欄があるが、別途発行を義務付けている領収書の発行と重複する部分がある。現行の明細書の位置づけを、例えば領収書兼明細書というように、明細書を発行していただいた場合には領収書の代わりになるという仕組みも考えられる。患者に対してサービスを行った際にその内容を伝えることが大切だと考えており、施術所の負担にならない形で検討していきたいと考えている。
不適切な患者の償還払いについて

施術者側:

  • 保険者側が「問題がある」とする患者と、我々施術者が「問題がある」とする患者には差異があると考える。あはきでは保険者裁量で償還払いとされているが、柔道整復療養費は協定があり、すべてを保険者裁量で償還払いとすることは難しいのではないか。
  • 保険者の判断で「患者に問題があるから償還払いにする」というのは問題があるように思う。まずは不適切な患者の定義をする必要がある。我々施術者や保険者ではなく、厚生労働省に定めていただいて公正に運用するのが適切と考える。
  • これを議論するのであれば、被保険者も交えて検討する必要があるのではないか。

保険者側:

  • 受領委任払いのデメリットを排除するために非常に有効な方法だと考えている。支払わないわけではなく、我々保険者が自分たちで患者に確認をしたうえで支払いたいということ。どのような患者を対象とするかは年明けまでに議論し、受領委任既定の中に謳うべきだ。
  • 療養の給付と療養費の扱いの違いをはっきり理解していただきたい。医療費は現物給付が原則で、療養費は保険者が認めた場合に支払うもの。償還払いに戻すというのはペナルティではなく、本則に戻すということ。
  • 不正を防ぐ手段として導入をお願いしたい。

有識者側:

  • 療養費の支給については保険者が必要と認めたときに支給するということで、裁量が認められているという大前提があるが、裁量権の濫用は認められない。どう線引きをするかが問題かと思うが、明らかな不正を行う被保険者については、保険者の裁量で償還払いに変更しても良いのではないか。不正の疑いのあるものについては個別の事例をもとに検討する必要があると考える。

事務局:

  • 不正が「明らか」な患者、「疑われる」患者の例については、施術者側また保険者側で基準が違う部分もあると思うが、施術者側にとっても保険者側にとっても明らかに不正であるという事例もあると思う。どういった類型にするかは我々厚生労働省で検討するが、合意が取れたものから実施させていただきたい。その際には保険者から被保険者に対して償還払いとなる旨を通知することが前提と考えている。
療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み

施術者側:

  • 請求金額は施術管理者が施術した患者から直接受領を委任され支給申請していたものであるが、今回問題となったホープ接骨師会のケースでは、柔道整復療養費という公的資産を民間企業の代表者が私的流用したことになる。最大の問題は受領委任制度が取り扱い規定通りに運用されていないことだと考える。「公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組みを検討」という対応案には賛成する。
  • ホープ接骨師会については、不正を未然に防げなかったことは同じ個人契約者として残念に思う。しかし、これは前会長一個人の資質の問題だと考えている。
    全国柔道整復師連合会では、日本個人契約柔道整復師連盟と協調し、個人契約者の総合団体「全国柔道整復師統合協議会」を設立した。同協議会では二度とこのような事件が起こらないよう、加盟団体が相互に監査する仕組みの構築を検討している。
    また、厚生労働省でも柔道整復施術療養費支給申請書において、すでに個人契約を認め、通知として発出されている。取り扱い規定にも任意団体の在り方等も明記していただきたい。
  • 柔道整復師はもともと三者協定により受領委任の取り扱いが認められていたが、昭和63年に個人契約による受領委任が認められた。公益社団法人は大変厳しい条件をクリアして公益認定されており、その後も第三者による立ち入り検査等もあるため、復委任で起こるような問題は起こり得ないと考えている。原点に立ち返って対策を検討する必要がある。
  • 原点に立ち返るという意見もあるが、昭和63年と現在とでは状況が大きく異なる。現在は個人請求者の割合が約7割を占めているなかで、数から考えても、協定のみで扱っていた頃に戻そうというのは無理がある。新しい枠組みが必要ではないか。
  • 療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組みには、オンラインシステムが非常に重要。我々柔道整復師も審査・支払いに協力できるようなスキームを組みたいと考えている。

保険者側:

  • 「公的な関与の下に」とされているが、審査・支払いのインフラを大きく変えることになり、大変な事業になると思われる。数年でできることではない。公的な関与の前に、審査・支払いの抜本的な改革が必要。明確な審査・支払い基準がないまま公的関与ができるはずもなく、まずはそこから始めるべきではないか。オンライン請求、オンライン資格確認につながる仕組みの構築についても重要と考えている。施術者と保険者の双方にメリットのある仕組みを作る必要がある。
  • 請求代行団体を介さず、被保険者が受領委任をしているところに支払うということを、我々も徹底していかなければならないと思う。

事務局:

  • 「公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組み」については様々なアイデアがあると思うが、例えば社会保険診療報酬支払基金等が審査・支払いを行うという案も念頭に置きながら議論させていただきたい。関係者のご意見をいただきながら次期療養費改定までに方向性を定めたい。
  • 令和4年6月までに方向性を定めるべく、関係者と議論させていただきたい。仕組みを検討する中で多くの課題や論点が出てくると思うが、丁寧に議論を進めていきたい。

 


 

今回の検討専門委員会の議論の結果、「療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み」については施術者側・保険者側で概ね意見が一致したため、厚生労働省事務局案の通り、令和4年6月までに方向性を定め、令和6年度中を目途に施行を目指す、とされた。
「明細書の義務化」及び「不適切な患者の償還払い」については、意見が割れているためさらに議論を重ねる必要はあるものの、年明けを目途に施行するという流れについては委員の了承が得られた。

次回検討専門委員会の開催日程は未定となっている。

 

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