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調査票の実態【第6回:4課長通知の正しい運用】

2015/10/01

柔道整復師の先生方にとっては、適正化の名を借りた受診抑制政策であると受け止めることができるであろう通知(保医発0312第1号:平成24年3月12日)、いわゆる4課長通知の正しい運用を望んでおられることと察します。
4課長通知の趣旨とは、「これまでは、多部位請求の適正化・領収証発行義務付け・明細書発行義務付け・申請書への施術日記載等、主に柔道整復師側への適正化を実施完了している事から、保険者側の適正化取組について、適切な実施を目的」として発令されています。

4課長通知の勘案点として、患者調査の実施にあたり、「被保険者及び施術所等の負担の軽減」、「支給決定までの迅速化」及び「手続きの公平さ」が示されています。 今回、お示しする返戻屋による調査票は、保険者による適正化が伺える内容で構成されていると言える内容であるのか、多くの疑問が感じられます。

(クリックするとPDFが表示されます)

書面の冒頭では、健康保険法第59条、第121条に基づいて行うとの趣旨が示されています。

健康保険法第59条:保険者は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受ける者に(~略)対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員に質問若しくは診断をさせることができる。
健康保険法第121条:保険者は、保険給付を受ける者が、正当な理由なしに、第59条の規定による命令に従わず、又は答弁若しくは受診を拒んだときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

さて、この場合、どのような理由を持って「保険給付に関して必要があると認められたのか、その理由が明らかにされないまま受診者調査が行われている」ことになります。

4課長通知では、柔道整復師側の適正化を既に行っているので、保険者側の適正化を進めるという趣旨が謳われています。 適正化とは単に受診抑制を展開させる事ではありません。

しかし、この調査票は同4課長通知に則り実施されているのではなく、『健康保険法により保険給付を実行する上において必要があると認めた』から実施されていることになります。

ですから当然、この調査が法律上、いかに必要なことなのかを示さなければなりません。

保険給付について、どのような必要性を認めて文書提示を命じたのか?
理由を示さないままに健康保険法上、回答が無ければ保険給付を行わず「全額自己負担の場合がある」と記載されており、これは健康保険法を十分に理解されていないであろう受診者に対して、暴挙とも呼べなくもない文面です。
柔道整復療養費特例受領委任に係る協定(契約)や、支給基準、或は関係通知等において、調査票の回答が得られないことを理由として全額自己負担となる場合があるなどと示された通知があるのでしょうか。

4課長通知では法律上の制約規定はないが、保険者が有する機能(返戻、支給、不支給の決定など)の委託はできないと示されています。
であるにも関わらず、この調査票には委託した健康保険組合名称と共に、委託会社名称も併記されており、保険者の有する機能を事実上行使する場合があると記載されていることは甚だ遺憾な表記だと言えますが、柔整ホットニュース読者の皆様は、どのようにお考えでございましょうか?

健康保険法に規定する概念は、いわゆる不適正な保険給付による事実が明らかな疑義として認められるような場合に保険者の有する正当な権限として調査されるべきものであります。単に柔道整復の申請書内容を点検するために受診者調査として調査票を送付し、受診者回答を求める方法は、4課長通知に則り実施されるべき手法であると編集部では考えております。
勿論、この場合においても調査ありきではなく、適正に柔道整復療養費の支出を行う目的から保険者サイドも正しく取扱いすることを促している筈です。
柔道整復医療を十分に理解しきれていない受診者に対して、その受診を抑制したり調査回答を強要したりすることを奨励している訳ではないことを柔道整復師は勿論、保険者の皆様も受診者保護を中心として理解することが大切だと思われます。

 

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