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何故、柔道整復は国民に支持されてきたのか?
【第10回:柔道整復界の黎明期】

2018/07/01

昭和の中期から後半は、柔道整復界の黎明とも言える時期を迎えます。
昭和28年11月に社団法人組織として認可され、法人設立後には「骨折・脱臼治療に係る医師の同意書」が撤廃され、「医師から同意を得た旨を施術録に記載することにより同意書の添付を必要としない」とする通知が発令されました。
昭和43年には金井良太郎会長が勇退され、後任は行岡忠雄医博が就任されます。
これまでの歴代会長は、概ね医師(医博)が就任されていましたが昭和44年4月より谷田部通一氏が柔道整復師として会長となり、昭和45年4月14日には議員立法により単独法として遂に柔道整復師法が制定されました。

柔道整復は医業類似行為だと表される場合がありますが、単独法として柔道整復師法が制定されるまでの経緯から必ずしもそうであるとは言えません。いわゆる無資格療術行為を示す法的特定者を呼称するための用語であると言えそうです。また、柔道整復は医療でないことからその治療行為を表す用語として「施術」が用いられますが、昭和25年に厚生省医務局長より、柔道整復師が施術を営業として行う場合には、医師法にある医業の一部であると示されています。

※施術:
手術・催眠術などをおこなうこと。(広辞苑)
医者が医療の術を行うこと。特に手術にいう。(デジタル大辞泉)
医者などが医療(特に手術)を行うこと。(角川新国語辞典)

 

昭和29年に社団法人として、登記の完了後から昭和45年の単独法獲得に至るまでの柔道整復師会の主な活動は、身分法である営業法第五条(柔道整復師法第十七条)にある医師の同意撤廃やレントゲン撮影許可の獲得に向けた運動、学制四年、保険協定の充実、技術研究、税金対策などです。レントゲンについては、X線技師法(昭和26年制定)により柔道整復師の単独使用は禁じられており、要望として「柔道整復師の免許を有するものであって厚生大臣が認定し各都道府県知事が監督する一定の講習期間を設けX線に対する防災並びに撮影技術を習得した者に限り医師の指示を受け柔道整復の業務の範囲において検査のため撮影することが出来る。」としたが、残念ながら柔道整復師法に関する付帯決議(参院社会労働委員会昭和45年3月31日)では以下のように定められています。

一、
将来柔道整復師は、その施術に当たり脱臼及び骨折の患部にエックス線照射するには、診療エックス線技師の資格を取得し、診療放射線技師及び診療エックス線技師法に基づいて行わなければならない。
二、
柔道整復師の技術研修の充実に関しては、一層の強化を図ること。

また応急手当以外の骨折・脱臼に対する継続した治療に必要な医師の同意に関しては、以下の通知が発令された。

厚生省保険局長通牒(医発第六二七号)昭和31年7月11日

各都道府県知事殿 柔道整復師の施術について
標記の件に関しては、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法の運用並びに社会保険関係療養費請求の取扱いの面から、従来から縷々通知しているところであるが、今後特に下記の点につき御配意相成りたい。

一、
地方医師会等の申し合わせ等により、医師が柔道整復師から、脱臼又は骨折の患部に施術するにつき同意を求められた場合、故なくこれを拒否することのないよう指導すること。
二、
社会保険関係療養費請求の場合には、実際に医師から施術につき同意を得たむねが施術録に記載してあることが認められれば、必ずしも医師の同意書の添付を要しないものであること。
三、
応急手当の場合は、医師の同意は必要としないものであること。
四、
柔道整復師が、施術につき同意を求める医師は、必ずしも、整形外科、外科等を標榜する医師に限らないものであること。
五、
以上の諸点について留意するとともに、従前から柔道整復師団体と都道府県知事、健康保険組合等との料金協定等を行っている都道府県については、諸般の行政運営について特に円滑に行われるよう指導すること。

 

医師の同意の必要性については柔道整復師法で明確に規定されているものの、実際には同意が得られた旨を施術録に記載することで足りると規程され、同意した医師の氏名や住所などのいわゆる同意書は不要となり、負傷の原因についても業務災害(通勤災害)や第三者行為でない場合には、保険請求の書面上に記載することも不要であるとされました。

これら限定されたように受け止められる内容ではありますが、やはり柔道整復師の先生方に寄せられる信頼や国民の絶大なニーズが基本となっていることは言うまでもありません。

レントゲン撮影は残念ながら許可されるに至りませんが、現在の柔道整復の現場では治療行為の範囲において超音波観察装置(エコー機器)による患部の検査・観察は認められており、被爆の心配もなく妊婦や乳幼児への利用も安心して行えることから、患者の健康の保持増進上妥当適切に行う施術のための的確な判断材料として、且つ患者保護の観点からも十分な学習と技術習得の上、有効に活用いただくことを望みます。

 

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