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デンソー健康保険組合・赤塚常勤顧問に聞く!

2013/10/16

毎年約1兆円ずつ増え続ける医療費。超高齢化社会が進展する中、健康保険組合はますます厳しい財政を強いられている。

国民の健康増進をはかることが健康保険組合の第一の役割として保険者機能を十分に発揮することを促し、提唱し続けるデンソー健康保険組合常勤顧問・赤塚氏に今後の方向性と取り組み等について、忌憚なく話していただいた。

果たして健康保険組合は柔整業界をどのように見て、またどのようであって欲しいと考えているのであろうか?

 

スペシャルインタビュー「保険者に聞く!」
デンソー健康保険組合 常勤顧問   赤塚  俊昭  氏

―はじめに貴健康保険組合の概要と方針、理念等についてお聞かせ願います。

デンソー健康保険組合の概要について簡単にご説明すると、加入事業所数は、㈱デンソーと国内グループ会社を合計すると53事業所です。加入者数は、被保険者7万人(平均39歳)、被扶養者8万人です。また財政規模は、約400億円です。

デンソー健保の方針は、加入者のQOL・生活の質を如何に維持・向上・改善するかということですが、それらは保険者機能と役割でもある訳です。従って加入者のQOLの向上に役立つかどうかが重要な点で、それがなければ総て意味がありません。つまり、我々のやることは総て其処に繋がるようにしなければダメだということです。二つ目は、疾病にかかった場合、セイフティネットとしての役割、経済的な面でもサポートしましょうということで、しっかりとした医療を提供するということです。3つ目が財政の健全化で、QOLの向上と十分な医療を提供するためには財政が健全でなければいけません。結局、財政の健全化は1番と2番を達成するための手段な訳です。3番のために1番2番を削減したり節減することは、本末転倒であると思っています。多くの場合、ここの観点がやや欠如しているように感じます。様々な保健事業を行い、いろいろな活動をするにも財政の制約で出来ないという保険者が多く、考え方が逆転しています。当然のことながら厳しい財政状況の中、また高齢者医療が増える中で更に厳しくなるのは当り前です。しかし、その中でも、自分たちができることは何なのか、やるべきことは何だろうかということを考えていかなければなりませんし、その辺が一番大事であると思っています。厚労省や関係団体とお話ししても其処がポイントで、そのためにはどうしたら良いかという方法論はいっぱいあります。健康の増進をはかるためには、患者と医療提供側と我々保険者が共同でやれることはないだろうかとして、やはり三位一体で働かないと目指すところには到達出来ないと思っていますので、常にそういう意味で医療提供側の意見若しくは立場を我々も尊重しなければいけませんし、医療者の方々にも我々の立場を尊重していただいて、患者のために何ができるかという観点を育てていかなければならないと思っています。

 

―これまで保険者と医療者側が共同で進められた事業がありましたら教えてください。

実際に、医師会とのコラボレーションで事業を立ち上げています。一番大きなものは、生活習慣病の特定保健指導制度を4年前に立ち上がりました。しかし、それに向けて大きな問題点がありました。代表保険者が何千もの個別の医療機関と契約しなさいという前提要件でしたので、実現不可能なものであり、制度を推進するのに大きな障害でそれを改善するためには困難を極めましたが、愛知県の医師会が医療機関を統合して、医師会と保険者代表が1対1の契約をしましょうという制度を構築することにしました。という経緯で愛知県情報処理センターを創設、医療機関を一本化し、更にIT化で効率化しました。其処に血液を採取して送っていただければ総ての分析とそれに基づく保健指導の要項を全部纏めてアウトプットしたものを送り返します。それに従って患者さんは保健指導の給付を受けられます。そういう仕組みにしましたから、お爺ちゃんお婆ちゃん、主婦の方達などが隣の診療所に行けば検診が出来て保健指導も受けられるようになりました。医者は保健指導を行なわず看護師さんが保健指導を行えるようにしました。そういうことで愛知県は受診率が高いんです。健保だけではなく国保や協会健保・共済組合にも開放しており、最近は他の保険者さんのほうが寧ろ利用率は高い。健保は様々な保健事業を行ってきましたので、元々受診率が高かったんですが、他の保険者さんはそういう経験や仕組みをあまり持っていないところが多く、結果的に健保の使い勝手が良いということで、最近参加が多くなってきました。

 

―健保の財政が厳しい状況が続く中で、本来の健康増進事業に取り組めないという話も耳にしますが。

ご存知の通り、健保組合は拠出金を半分位召し上げられて他の保険者のために使われている訳で、これまで健保はそのことに対して様々な反対活動を行ってきましたが限界があり、一定程度の効果はあったものの殆ど効果がないといったほうが良い程です。従って少しでも多くの被保険者や国民の健康増進をはかることが出来て、医療を必要とする人達を減少することが可能であれば、拠出金に波及するという考え方に立ち、健保が行っている様々な活動を全ての保険者が行うことで国民の健康が増進され、結果的に医療の適正化をはかることが出来れば、回りまわって自分達に還元されるというところまで見越して臨まないとダメだろうということです。〝なんで自分たちのお金で他の保険者の世話をするんだ〟という意見が必ず出てきます。当初5%から始まった拠出金が今や50%になっているにも関わらず、目の前のお金のほうが大事になってしまいます。そういった反対者もおられますので、信念をもって取り組まないととても出来ません。その辺が一番苦労するところで、自分たちの仲間の理解を得ることのほうが寧ろ難しい。

 

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