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埼玉県農協健康保険組合・坂本昌之常務理事に聞く!

2014/05/01

いよいよ4月から消費税8%が実施された。この消費税が今後どのように膨大に増え続ける社会保障費をカバーしてくれるのか注視する必要がある。大切な命を守る医療、その医療を持続するための制度が立ち行かなくなってきているのである。ここで1度、私たち日本国民は基本的なことに立ち返る必要がある。

この度、『医療保険制度の理解促進に向けて』という本を出版された経緯と動機等についてもお聞きしました。

 

スペシャルインタビュー「保険者に聞く!」
埼玉県農協健康保険組合 常務理事   坂本  昌之  氏

―はじめに貴健康保険組合の設立の経緯と理念についてお聞かせ願います。

当健康保険組合は1974年、埼玉県内の農業協同組合に働く人を中心に169の事業所(農協)の参加で、被保険者数7,700人、家族加入者数8,000人の農協健保組合が設立されました。丁度この3月で40周年です。現在は、62事業所、被保険者数8,700人、家族加入者数7,500人です。

当健保組合の理念として私達の目指す事業は、加入者様の健康を第一に考え、加入者様が「健康で心豊かな生活」を送れるよう、加入者様に対する健康維持増進を支援し、農業団体と地域社会の発展に貢献していきたいと思っています。そのために、加入者様にとって信頼・安心できる存在意義のある健保をめざして保険者機能を十分に発揮し、快適な暮らしをサポートします。特に医療費の支払いは当然ですが、加入者様の健康づくりを推進すべく「病気にならない」「病気にさせない」ための健康増進に導くサービスを事業主の協力のもと提供します。

 

―坂本常務は、健保連埼玉連合会医療費対策委員会の委員長を務められているそうですが、どういった取り組みをされているのでしょうか?

私は今の仕事に就いてから3年目なので、解る範囲でお応えさせていただくという条件で、今回のインタビューをお引受けした次第です。

2年前になりますが、健保連埼玉連合会に医療費対策委員会が設置されており、以前からその委員会に参加していた関係で副委員長をお引受けしました。ところが、その時の委員長が1年で辞められてしまい私が委員長になった次第です。その時課題がいくつかありましたが、その1つが、照会をかけるための基準を連合会が作って担当者に示してあげなければということでした。そこで、埼玉連合会の理事会で承認を得て、委員会で照会基準の検討を始めました。現状をみると殆どの担当者は受領委任制度の中身を詳しく知りませんし、日本の医療制度の中身を熟知していない中で仕事をしているように思いました。しかし、一番の問題は患者さんが何も知らないということで、署名の問題にしても何故署名するのかが全く分っていません。私も何度か接骨院にかかった経験がありますが、一度も署名を求められたことはありません。今の仕事に就く前でしたから、署名する理由も勿論知りませんでした。ということから、私をはじめ多くの人(患者さん)は受領委任払い制度について何も知らないし、何も知らされていないんだと思いました。

24年3月に厚労省から出された通知や、その後の通知には施術療養費の適正化に向けた取組みについてが書かれております。しかし、厚労省の言われる適正化と我々健保組合がいう適正化と柔整師の方々が言われる適正化や或いは患者さんが望む適正化というのは夫々言い分が少しずつ異なると思います。原則という意味にしても非常に分り難い。先ほどの署名について、厚労省は施術を受けて月の最後に署名をもらって請求しなさいと、会計検査院の指摘もあってこれが原則だと言っている訳です。健保連でも署名するのは原則一番最後であると。しかし、そんなことをやっている人がいるんですか?という話です。柔整師の方々が主張している施術の最後では署名が貰えないというのが本当だとしたら、それは原則としてできないということです。本来、当たり前にできるのが原則だと思うのですが、あのやり方では無理ですよというのが柔整の先生方の言い分です。私も実際はその通りだと思います。だとすると、署名の時期を確認してもあまり意味がないということになります。

それよりも重要なのは、本人が委任しなければ法律上、委任行為は成立しないということです。勝手に他人が書いたものを本人が知らなければ受領委任払いは成立していない訳ですから健保組合は療養費を支払うことができないことになります。照会の基準を整理するにあたって、自筆で書いてあり領収証があるならば、原則として時期は問わなくて良いのかなと。それは、22年の9月から領収証は必ず発行しなければならないとなっていますし、基準に基づいて照会する時に〝領収証のコピーを見せてください〟と言えばその領収証と突き合わせることも可能です。従って、原則として時期は問わないとしても問題ないと思ったわけです。初検の時に怪我を診て、保険が適用され仮に一か月かかると判断された時に、〝この治療は保険を適用できる治療なので、代理受領委任という制度で保険から支払って貰うために署名が必要なんです。領収証を毎回発行しますので、保管しておいてください。〟と説明をした後に署名をいただく形でもよいのではないかと考えたわけです。署名の時期については、あくまで私見であり、国の原則を否定するものではありませんが、1カ月の金額が高額なもの、治療部位の多いもの、治療日数の多いもの、長期にわたる治療のもの、その他健保組合が必要と認めたものについて、照会した時に自署による署名と領収証の提出が確認できれば良いということで、あえて署名の時期については触れませんでした。しかし、ここでいう照会の基準はあくまで埼玉連合会の基準であって、強制力をもつものではありません。最終的には、各保険者の判断が優先されますことはいうまでもありません。

 

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