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患者紹介ビジネスが横行  不正請求疑いも

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高齢者施設で暮らす患者を医師にまとめて紹介し、見返りとして診療報酬の一部を受け取る「患者紹介ビジネス」を行なう業者が増えている。

紹介業者は、高齢者施設の患者を一挙に大量獲得し、訪問診療をする開業医に話を持ちかけることが多い。通院することが難しい患者を月2回訪問したら医師が受け取る診療報酬は6万円を超え、外来の15倍にもなる。高齢者施設の30人をまとめて訪問すれば、月180万円が入る。紹介料として、業者はその2割程度を毎月、自動的に手に入れることができる。

患者紹介ビジネスが広がる土壌は、国が旗を振る社会保障政策によって作られた。そのひとつが高齢者施設の建設促進だ。2011年、厚労省や国土交通省はサービス付き高齢者住宅制度を設けて規制を緩め、1年半で11万戸超が完成した。もうひとつの要因は、国が訪問診療の報酬を次々に上げてきたことだ。厚労省は高齢者の社会的入院を減らし、受け皿として訪問診療に着目。2006年の診療報酬改定では、24時間体制で自宅や有料老人ホームなどへ往診する診療報酬を倍増。その後も2年に1回の改定ごとに増額した。
法令の規制はないが、厚生労働省は過剰診療の可能性や患者の医療機関選択の自由を奪うことから「不適切な医療」と判断し、情報収集を進めている。

なかには鍼灸院に患者を集め、医師の診療を受けさせるケースもある。
鍼灸院にも利点があり、はり師やきゅう師の治療の保険適用には医師の診断と同意書が必要だが、医師が鍼灸院で同意書を書いてくれれば患者の自己負担は1~3割になり、「客」を呼び込みやすい。
患者の居住場所以外で診ても訪問診療として診療報酬を請求することは出来ないが、請求時に診察場所を記す必要はなく、医師は自宅で診たように装って不正請求した疑いが強い。厚生労働省は調査する方針だ。

<ニュースソース>
朝日新聞(2013/08/25・26)

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