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「第11回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」開催

トピック

2024年7月12日(金)、航空会館 大会議室(東京都港区)において「第11回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」(以下、検討会)が開催された。

本検討会では、施術所の名称としての「整骨院」の使用と、あはき・柔整広告ガイドライン(案)について議論が交わされた。

施術所の名称としての「整骨院」の使用

議論に先立ち、公益社団法人日本柔道整復師会理事・徳山健司氏より、名称としての「整骨院」の使用に関する意見が述べられた。
徳山氏は〝柔道整復師と柔道整復術の歴史について文献を基に完結に述べさせていただき、参考にしていただきたく、また、整骨という名称の重みや私たちの想いをご理解いただければ非常に有難い〟として、これまでの柔道整復術の歩みと整骨という名称の深い関係性を説明した。
さらに「整骨院」を名称として使用している施術所について、日本柔道整復師会と全国柔道整復師統合協議会に所属する柔道整復師を対象に調査したところ、その割合は57.8%にも及び、「接骨院」の使用率を上回っていたと報告。〝このような状況から、整骨院は国民一般にも深く浸透し、整骨院と言えば痛みを治してくれる、また骨折や脱臼を非観血的療法で治してくれるという認識や評価を得ていることは間違いないのではないか。これらのことを踏まえ、これまで通り「整骨院」を名称として使用できるよう切に要望する〟と主張した。

厚生労働省は〝「整骨院」という名称について、ガイドラインにおいてどのように取り扱うか(考えられる取扱いの例:①広告可能な名称の例として記載する、②広告不可な名称の例として記載する、③ガイドラインには記載しない)をご議論いただきたい〟と提起した。加えて、先の通常国会期間中における参議院の内閣委員会の質疑において「整骨院という名称が国民に不利益を与えているために使用不可とするのであれば、そのエビデンスを検討会として出すべきではないか」との発言があったと報告した。

主な意見

  • ガイドラインには記載しない。現状では答えが出せない。
  • ガイドラインには記載すべきではないと考える。しかし整形外科、リハビリテーションなどの施設と明確に区別できるようにはすべき。
  • 広告不可とすべき。大臣告示に記載のない名称を使用することは不適切と考えている。仮に調整がつかず記載できなかったとしても、整骨院が大臣告示に記載されていないという事実、そして調整がつかずに記載されていないということについて、厚生労働省から開設届の受付担当部署等に周知を図る必要がある。
  • 現状で決められないのであればガイドラインには記載できない。ただ本来はどうすべきなのかということは書いたほうが良いと考える。「整骨」はかなり昔からあるとのことだが、であれば柔道整復師法ができた時点で認められなかったのか疑問。そもそもこれまでの検討会において、新規開設する施術所は「接骨院」と名乗って、既存の施術所については看板の掛け替えのタイミング等で「整骨院」から「接骨院」に変えるという方向性で一旦合意がなされた後でそれを覆してしまうということになると検討会自体として問題があると考える。
  • ガイドラインには記載しなくて良いのではないか。医療機関と誤認するおそれもないだろうと考えている。「整骨院」を不可とする確実な根拠を示すことができるほど、議論を尽くしていない印象。
  • 検討会の議論の決定プロセスに対する懸念は理解できるが、「整骨院」という名称が問題になるとは思わない。この検討会の現時点においては、ガイドラインに記載するまでには至らなかったとして不記載とするしかないように思う。
  • ガイドラインに記載しない場合であっても、現場が判断できるようにしっかりと情報共有しなければならない。
  • 今までOKだったものを規制するのであれば、それは弊害や規制する必要性についてのエビデンスを示さなければならないというのは尤もな話。57%以上も「整骨院」を使っているという現状があるのであれば、それを突然不可とするのはかなり乱暴だと思う。
  • 現場としてはどう指導すべきか、明確にしていただきたい。
  • 「整骨院」という言葉は一般的によく使われている言葉で、患者からしても柔道整復を行う場所という認識であると考える。敢えて可否を決めるのであれば可で良い。
  • 数的にも「整骨院」を使用している施術所の方が多い。柔道整復師という名称すら知らなくても、整骨院・接骨院の先生と認識して来院している患者はたくさんいる。可か不可かどちらか選ぶとすれば、患者さんの利便性を考えると「整骨院」も可としていく方向で良いのではないか。
  • ガイドラインには記載しないということは、使っても良いというように受け取れる。ガイドラインに書かないことにより使用可となるのは不自然。
  • 記載しないということであれば現場が混乱しないよう、現場に検討会での議論の流れを説明しておく必要がある。丸投げすべきではない。
  • 今までの議論に一貫性を持たせるなら認めないという方向性だが、ここで決まらず記載しないのであれば、一定の方向性は示すよう行政に強く要望する。

この議論は結論には至らず、座長は〝現状で「整骨院」使用の可否が決められないのであればガイドラインには記載をしないとして進め、その後の実際の運用に関しては現場と話し合っていただくという形にしたい〟と収めた。

厚生労働省も〝いろいろな立場でご意見いただいた。このガイドライン上の取り扱いについては、多くの構成員の方から記載をしないという発言があったが、やはり一番大事なのは現場で混乱しないようにすることだとのご意見も多く挙がった。我々としては、今回、ガイドラインには記載をしないということで、ひとまずガイドラインを発出し、その上で、単にガイドラインに書いてある、書いていないということだけではなくて、これまでこの検討会でどういう議論があったのかという経緯についてその現場の自治体の方々に情報共有させていただき、なるべく混乱がないようにさせていただきたい。ご意見やご質問等あれば我々も適切に対応していき、また適時議論を長期的な観点で進めていければと考えている〟と述べた。

あはき・柔整広告ガイドライン(案)について

厚生労働省からガイドライン案について、前回検討会での議論を受けて修正した部分について説明がなされ、その後各構成員から意見が述べられた。

主な意見

  • P.30の広告違反の指導及び措置、イ.告発に関して、違反広告を発見した場合には、通常は違反広告の中止や内容の是正を求めることとなるというこの前提だが、施術所設置後に届け出る仕組みのため看板やステッカーなどが出来てしまっている。今後、先に相談・指導ができる制度への改正を希望する。
  • P.18の医療保険療養費支給申請ができる旨、①広告可能な事項について、『又は「一旦施術費用の全額を負担いただきますが、後で保険者に対してその費用の一部を請求することができます」』という表現は、受領委任払いが基本となっている柔道整復には必要のない文言と考える。
  • 早期にガイドラインを出すことが肝要であり、全体的には事務局案で進めていただきたい。その上で、このガイドラインには広告可能な事項の例または広告不可な事項の例というように例示されているものが多くあるが、広告可能な事項の例以外は広告不可であるというのが大前提であり、あくまで特に留意すべき表現として掲載しているものと考えている。広告不可な事項の例に示されていないことを以て広告可能であるという誤った解釈にならないよう関係各所にしっかり周知していただきたい。また、ガイドラインの補完として通知やQ&Aの発出、マニュアルの策定などの仕組みも対応いただきたい。

ガイドライン案については大きな反対意見はなく、最後に座長から〝大きな訂正はなく概ね合意いただけた。厚生労働省で所要の手続きへと進んでいただくことで合意したということとする。2018年5月10日に第1回目の検討会を開始して以降、6年2か月という非常に長い間、活発なご意見をいただきありがとうございました。この間、新型コロナウイルスの蔓延があって議論が進まないこともあったが、柔整やあはきの施術が国民にとって利益となるよう、ガイドラインを発出していただくと同時に、厚生労働省にはその普及と問題への対応をお願いしたい〟と述べられ、また厚生労働省は〝長きに渡りありがとうございました。政策決定のプロセスにおいては後戻りにならないようにステップバイステップで丁寧に議論していくということが非常に重要だと認識している。一方で、広告ガイドラインに実効性を持たせるという観点では、当事者の皆様方の一定のご理解がなければ実効性に結びつかない。今日も様々の現場の困難、あるいは利用者の安全性の担保等、様々なご指摘があった。ガイドラインの改正と発出ということのみならず、幅広くしっかり取り組んでいきたい〟と締めくくり、本検討会は終了となった。

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