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患者様インタビュー第2弾:JB日本接骨師会『患者相談ダイヤル』運営委員 菅 道子氏

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柔整ホットニュースでは、国民の声、患者様の意見が何より大事であるとして、患者様インタビューを掲載していくことにしました。第2弾は、JB日本接骨師会『患者相談ダイヤル』の運営委員である菅道子氏にインタビューさせていただきました。


 『患者相談ダイヤル』運営委員 菅 道子 氏 

―これまで接骨院には、どんな時にかかられましたか?

私は一歳過ぎの歩き始めのころ先天性股関節脱臼とわかり、当時のことですから、ギプスを着けたあと母親がマッサージに通ってくれたお陰で、成長期は特に問題なく過ごしました。

20歳くらいの時、スキーをしていて左ターンが上手くできず、病院で診てもらったら「変形性股関節症になっているので、いずれ痛みが出てくるでしょう」と言われました。28歳で出産のあと、30歳のとき痛みが酷くなりました。整形外科で、骨切り術という手術を勧められましたが、とりあえずの手立てのようで決心がつかず、鍼灸、マッサージ、カイロプラクティックなど色々な治療を試してみましたが痛みは辛く、杖なしでは歩けなくなってしまいました。

その時知り合いから評判の良い接骨院があるからと紹介されたのがきっかけでした。施術は手技のみで身体全体を軽くさすったり関節を動かしたりして、終わってみると身体全体がスッキリした感じでした。

薬も注射もなく高額な費用もかからず、人の身体の分析的な説明より、不安な気持ちを和らげてくれたように思います。

毎回の施術が終わるとだいぶ楽になったと感じることができたのでだんだん自分が元気になってきたと思えました。不調なときに気楽に通えて破行しながらも、長い間日常生活を続けていくことができました。

現在、満73歳ですが8年前に短期間の入院とリハビリで効果を期待できるという新しい人口股関節置換術に出会って、事前に公開講座に行って、とても納得できたので手術をうけました。結果は良好で足のバランスが良くなり少しづつ筋力も回復して今では杖なしで自由な歩行ができるようになりました。

この手術に辿り着くまで心身両面で支えてくださった接骨院にはとても感謝しています。

―何か柔道整復師の先生に対するご意見等ありましたら……

手技をしっかりやられていて、柔道整復師という仕事はとても大事だけれども、ただ学校を出れば誰でも出来るという仕事でもないということを凄く感じています。お医者さんもそうでしょうけど、国家資格を取ったからといって、その後正式に臨床の現場に入っていって、良い骨接ぎになれるというものではないのではないかと、この頃凄く思います。国家試験というのは、西洋現代医学の試験を受けて、資格を取ったからといって出来るものじゃないなと。学校も減り、生徒も減って、また国家試験も割と簡単に通るというようなことも聞いていますし、資格を取ってもチェーン店みたいな所が組織的に資本を持っている人が若い人にやらせて、それはいろいろ過誤があったり、不正請求があったりしますよね。本当に市場の商品として売り買いしているような状態で、所謂技術よりも、倫理的な問題や精神的な問題もあって当然と思います。私はこういう先天性股関節脱臼を抱えてずっと柔整の先生にお世話になっていたから分かるんですけど、治るというのはモノじゃない人間の命だから、本当に辛いような痛みは、目に見えないある意味霊的なものが影響して治るのではないかと思っています。怪我だけではなく、例えば癌なんかも退縮するような人は、凄く意識の変化とか、生活の変化とか、人間関係の変化等で、急に治ったり、急に悪くなったり、そういうものがありますよね。怪我なんかも本当にそういうことがあると思います。だからそういうものを引き出せる先生と引き出せない先生も居るんだと思います。

―超音波で診てもらったことはありますか?

そういう機器を全く使わない先生でした。私自身もそういうことを接骨院には望んでいません。接骨院というのは手で触って、所謂直感と経験とでやっている先生、昔風と言えば昔風だけど、そういう所の良さというのがあります。前回の阿部さんみたいに、自分で選ぶという強い意志を持っていて、判断が出来るような人であれば、やはりデータが欲しいでしょうし、それで自分の感覚とデータを合わせて判断する人も居ると思います。ただ、やはり体をモノとして診るのではなく、人としての全体を診るというか、命として診るにはそういう道具は、あっても良いかもしれないけど、絶対に必要なものでは無いと思っています。それをやりたかったら、整形に行けば良いと思うんです。整形に行ったら、お医者さんは責任があるから、資本も投下してそれだけの設備と人的な環境を作っていらっしゃるのだから、其処へ行って信用の出来る先生に診てもらう。私は接骨院に超音波を求めていません。

―保険組合から保険調査の用紙が届くということはご存知ですか?

そういう調査の用紙が患者に郵送されて回答を求められるということは存じております。用紙にはケガの原因や状態、通院回数、支払い額など詳しく記入しなければならないそうです。

通院から何ヶ月か経ってから送られてくるので記憶も確かとはいえませんし、自分のプライベートなケガのことを細かく報告しなければいけないのでは接骨院にかかりにくくなると思います。

最近したケガしか健康保険が認められないというのも、接骨院の施術を受けにくくしています。

―保険請求についての調査用紙が届くことで、だんだん患者さんも減って倒産している接骨院も増えているそうですが、どのような意見や感想をお持ちでしょうか?

以前、患者と柔整師の会の有識者会議に出させてもらっていて、そこにベテランの会計士の先生がみえていて、その先生が仰っていましたが、〝あまりにも保険の単価が安すぎる、やはり衣食足りて礼節を知るんだ、この値段じゃ悪いことをしたくなる〟と。それを聞いて、なるほどなあって思いました。医師と比べるには、医師は責任も大きいし、看護師さんやいろんな人を雇って機器も多くて、それはけた違いの資本がかかっている訳だけど、でも少なくても手技を中心に行うにしても家賃一つ払えないような経済状態だったら本当に不正請求の温床になってしまうと思います。もうちょっと本当に根本的な改革をしなければダメだなと思います。世の中の状況は、本当にそういう良いものをどんどん潰していってしまうというか、学術会議にしてもそうじゃないですか。そういう社会的状況から見ると柔整師の会が無くならないのも、なるほどなって思います。私がかかっていた先生なんかは、絶滅危惧種かなって時々冗談で言うんですけど、やはり仕事に情熱を向けられるという何処かで喜びがあるんですよね。

―接骨院に対する要望や日本の医療の現状について意見がありましたら教えてください。

大量生産、大量消費、大量廃棄の目まぐるしい世の中に近代的な機械など持たずに昔ながらの手技で自然そのものである人間の身体に触れて、心に寄り添い、痛みや苦しみを和らげる仕事は、国家や資本による健康保険制度には合わなかったのではないか?

鍼、灸、あんまなどの手技とも連携して患者がもっと気楽に治療を受けやすい仕組みを作ることができないものでしょうか?

感染症による危機などで今の医療が成り立たなくなったとき、骨つぎのような古い医療が見直されてくるのではないかとも考えております。

手技を大切に地域の信頼を培ってきた柔整師の存在が、安価で素朴な医療の大きな助けになれるように、保険者さんや自治体の方に接骨院を適切に利用しやすくできるような制度を作り出していただきたいです。

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